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逆行令嬢と転生ヒロイン~緋色の令嬢  作者: 未羊
第三章 学園一年目

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111/113

第111話 マゼンダ侯爵領に到着して

 王都での留守番をシアンとニーズヘッグたちに任せたロゼリアたちは、マゼンダ侯爵領へと向かっている。ちなみにだが、アイリスも同行している。

 ちなみに移動手段はエアリアルソーサーだ。近いとはいえども、今回はいろいろと隠しておきたいこともあるので、ロゼリアたちたった四人での旅行である。

 今回の旅行で結構苦労したのは、それぞれの両親の説得。特に男親のであるヴァミリオとプラウスの説得だった。だが、困難が予想されたその説得も、様々な実績からあっさりと勝ち取っていた。


 さて、今回ロゼリアたちが向かうマゼンダ侯爵領は、ロゼリアの家が治める領地である。メインの生産物は果物だ。

 アクアマリン子爵領から川と岩山を経た位置に存在していて、その領地は南北に長い。北の方には雪が降る氷山エリアがある。

 そして、領地の都はアクアマリン子爵領からも近い南の地域に存在している。王都から馬車で四日程度の距離だ。エアリアルソーサーならば、朝に出て夕方に着くということが可能である。

 マゼンダ侯爵領に向かう理由は、シアンを通じてもたらされたセルリナからの報告書が原因だ。

 実は、報告書の中には、マゼンダ侯爵領には神獣と幻獣がそれぞれ一体ずつ存在していることが分かったのである。アイリスが同行しているのもそのためだ。

 ただ、その神獣と幻獣がどのような姿をしていて、どのような能力を持っているかというのは分からなかった。その点だけは、ちょっと不安のようである。


 無事にマゼンダ侯爵領にある本邸に到着したロゼリアたちは、早速屋敷の中へと入っていく。


「これはロゼリアお嬢様。お久しゅうございますな」


 本邸の執事が出迎え、ロゼリアに挨拶をしている。ところが、ロゼリアの周りを見た執事は、首を捻っている。


「おや、旦那様はいらっしゃらないのですかな?」


「ええ。ちょっと理由があって、私と友人たちだけでやってきたのよ。お父様たちは王都での仕事が溜まっているので、当面は動けないと思うわ」


「左様でございますか……」


 ロゼリアが理由を答えると、執事は残念そうな表情を浮かべている。

 このマゼンダ侯爵が動けない理由なのだが、それはすべて今年起きた様々な騒動のせいである。それに加えて、マゼンダ商会の方もかなり儲かっているようで、とにかくやることが多い。マゼンダ侯爵、コーラル伯爵、ともにご苦労さまとしか言いようのない状況だった。


 こうして、執事との話を終えたロゼリアたちは、部屋へと移動する。使う部屋はロゼリアは自分の部屋であり、チェリシアたちは客間を使う。

 夕食を終えたロゼリアたちは、ひとまず客間に集まって話し合いを行うことにした。

 当面はマゼンダ侯爵領内に留まるつもりなのだが、予定というものをしっかり立てておく必要があるからだ。


「えっと、マゼンダ攻略領内にいるのは、神獣と幻獣が一体ずつでしたわよね?」


 ペシエラが話を切り出す。


「ええ。セルリナ様からの報告では、それで間違いはないわ」


「で、名前は分かっているの?」


 ロゼリアが肯定すると、今度はチェリシアが問いかけている。この質問には、ロゼリアは首を縦に振る。


「アクアマリン子爵邸で調べてもらった結果、私の家の領地の中にいる神獣の名前は”インフェルノ”で、幻獣は”ファントム”というらしいわ」


「名前からして、火属性の神獣と闇属性の幻獣というところかしら」


 ロゼリアが名前を出すと、チェリシアが推測を話している。その推測には、アイリスも含めて同意している。


「マゼンダ侯爵領の北部は氷山地帯なのよね。でも、火の神獣ってどういうことなのかしら……」


 ロゼリアは難しい顔をしている。自分の知る限りでは、どこにも火属性に関係する地点が存在していないからだ。

 そして、もう一方のファントムの方は、文献に記されている限りでは、神出鬼没で特定の住処を持たないとのことらしい。

 いると分かっているのに、どちらも場所の特定とまではいかないようである。


「とりあえず、その氷山エリアから行きましょうか」


「どうして?」


 チェリシアが提案すると、ロゼリアが不思議そうな表情をしている。

 チェリシアによれば、山が火山の可能性があるからだという。火山であるならば、山の内部にはマグマという高温の物質があるということで、火の神獣が存在する理由付けとして適切ということになるわけだ。


「それは、前世の知識ですの、お姉様」


「そうよ。山ができること自体が、そういう火山活動によるものであることもあるからね。逆に山を消し飛ばすこともあるけどね」


「なるほどですわね」


 というわけで、ロゼリアたちの目的地が氷山エリアと決定した。

 ただ、今は冬の二の月だ。寒い時期にあたるため、氷山エリアでは吹雪が起きる可能性もある。防寒装備をしっかりと調えない限りは、とてもではないが近付けない可能性がある。

 氷山エリアに向かう前に防寒具をそろえる必要ができてしまったため、翌日はそのための準備を行う日に充てることになった。

 ロゼリアたちは無事に神獣と幻獣を見つけ出し、新たにアイリスと契約させることはできるのだろうか。

 一年次の冬の大冒険が始まろうとしている。

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