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視線

過激ないじめシーンがございます。(虫など)




浅木の世話をしてもうすぐ1ヶ月



僕はもう浅木の病室がどこか案内されずにわかるようになっていた。


今日も僕の幼馴染は記憶がない。


部屋に入れば自己紹介から始まる。


名前を言えばすぐに思い出してくれる。


僕は慣れたように病室のドアを開けて中にはいった。


浅木「、、?」


浅木は僕を見て不思議そうな顔で見つめる。


ゆか「ゆか。君の世話係。」



浅木「、、えーっと、」


浅木は首を傾げて思い出そうとこめかみに手を当てた。


数秒、


数分経っても沈黙が終わらない。


浅木「、ごめん。覚えてない。」


ゆか「じゃあ今覚えて」


自分が思っている以上に冷たい言葉が出た。


浅木は少し悲しそうな顔をしながらも「ゆかさん」と名前を呼んでくれた。


毎日毎日何回も同じことを聞かれてストレスが溜まっていないわけがない。


僕は深呼吸をして心を落ち着かせ、浅木の世話を始めた。




数分も経たないうちに、浅木は僕の顔を見つめた。


ゆか「、、どうした?」


浅木「、、君は、いくつだっけ。」


またこれだ。


ゆか「15」


浅木「、おれは、えっと、」


ゆか「同じだって」


浅木「ああ、そっか


じゃあ君は______」


ゆか「同い年だっていってるでしょ!」


浅木は少し困ったような顔をした。


浅木「、ごめん」


僕は浅木を横目に窓をみた。


胸の内側が焼けるように痛い。


自分でもどんな気持ちでどんな考えで言葉を並べているのかわからなかった。


ただ、浅木を困らせて、八つ当たりしている自覚だけはあった。







浅木「、ねぇ、君ってさ、いくつなんだっけ、?」


僕の中で何かがちぎれたような音がした。


パァンッ


乾いた音が病室に響いた。


僕の手にじんじんとした痛みが伝わる。


浅木はただ呆然と目を見開いて僕を見て、目に水の膜が張られた。


やだ。




いやだ。




そんな目で見ないで。





僕はそのまま病室から出ていった。


いつもより、病室の廊下の温度が冷たかった気がした。























学校。


2学期が始まった。


僕はあれ以来、浅木の世話ができなかった。


どんな顔をして会えばいいのかわからなかったから。


ある日、僕は職員室に呼び出された。


浅木の件で、ひどく説教をされた。


僕が浅木に手を上げたこと、担任は朝のHRでそれを注意喚起としてみんなの前で言った。


そこから僕への視線が180度変わった。


ゴミを見るような、汚いものを見るような


冷たくて、皮膚をちくちくと刺されている感じがした。


無視や菌扱いはエスカレートした。


あるときは女子トイレに呼び出された。



「ねぇwお前さ、浅木くんに手出しといてそのザマなの?」


「なんか前もさいじめに加担してたときあったもんね」


僕はただトイレの床のタイルの隙間に詰まったカビやすすわたりを見つめていた。


女子はスマホを構えた。


「なんとか言えよっ!」


女子は僕の後頭部を乱暴に掴み、便器に突っ込んだ。



アンモニアや他の何かが混ざった異臭と、消毒液の匂いが一気に鼻腔へ入り込む。


反射的に吐き気を催した。


水が目に入って強烈で、刺すような痛みを感じる。




「うっわwww便器漬けの白崎じゃんwww」


「便崎wwwww」


下品な笑い方をしている女子に構っている暇はなかった。


便器から解放された瞬間、喉奥から何かがせり上がってくる感覚がした。


けれど今ここで吐いたら「ゲロ崎」とか不名誉なあだ名を付けられるかもしれない。


僕はプライドと気合でせり上がって来たものを無理やり押し込んだ。






ある日のお昼休みには弁当に虫たちが詰められていた。


「あー!便崎さんじゃんwwお昼食べないの?」


圧倒的悪意を含む言い方で近づいてくる女子。


僕は静かに弁当の蓋を閉じようとすると、手を強く払われ地面に弁当の中身をぶちまけた。


何かの幼虫、岩の裏によくいる足がたくさん生えてる虫、ダンゴムシ、ミミズ、


いろんな虫がうごうごと地面の上でもがいている。


「早く食えよ」


突き飛ばし、足で僕の頭を踏みつけた。


顔や首に虫が這う感覚がした。


グロテスクな視覚的ショックと


腐敗したような虫にしかない臭さが鼻をついて強い恐怖感に襲われた。


食べるまで終わらないと察し、僕は虫を口に入れた。

潰れた瞬間の「プチッ」とした中身の液体の感触

生焼けで タンパク質特有のグニョっとした生々しい歯ごたえが残る。

口の中に青臭さが広がり、外殻が口の中に刺さるような異物感を覚えた。


僕は慌てて吐き出そうとしたが、乱暴に口を抑えられ吐き出せなかった。

ごく、と虫たちが喉を通った。


ぱっと女子の手から解放された僕は激しくえずいて嘔吐した。


何度吐いても虫特有の青臭さと異物感は消えなかった。



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