第三話・中編・中
今の状態では出勤しにくいけど……編集長に電話相談して、危険と判断したら直ぐに辞める事と、今はお祓いに行くこととなった。仕事は続けるけど、終わるまでは集中しつつ、生存確認する事で今は話が纏まっていた
ただ、止めれば良いと思ったけど……私が続けたいと頼んだ事もあってか、何を考えてるのか私にも分からなかった。ただ、関わった以上は……
「取り敢えず……お祓いかな……」
人形の方を見てそう呟いて人形で有名な神社へと向かう事にした。暫く走らせてから止めて神社の方へと向かった
歩くと人形の雰囲気が重く、紋様がある腕に痛みが走っていて足取りが重くなる。事前に連絡した時には来てくれと言われて向かったけど……
何処か敵意みたいなのを感じる気がする。重たい足取りで神社の前に着くと住職が顔色を強ばらせながら
「大丈夫では無いですね。来てください。お祓いします」
それを聞いて意識が遠のいて気が付くと意識が落ちていた。次に目を冷めると冷たいタオルが額に置かれていて
「目覚めましたね。お人形さん……拝見しました。どういう経緯で受け取られたのか聞いても良いですか?」
住職に聞かれて私は事の経緯を説明した。まだ敵意みたいなのを感じ事や、今は何だが重い空気が軽くなった気がするなど……それも踏まえて説明すると
「なるほど……記者でしたか。こう言う人達を見てきましたが……ここまで影響を受けて実害の出る人は初めてです
単刀直入に言いますと、この人形は幸運の人形です……ですが、幸運と言っても他人の幸運を吸って、持ち主に幸運を与える呪物みたいな人形です」
目を見開いて聞こうとしたら頭を抑えてしまう。頭痛がしていて目眩がすると住職に横にさせてもらい
「お祓いは……すみません出来ませんでしたので和らげるのが精一杯でした。変な話ですが、ここに居る子達は貴女にでは無く、この人形に対して敵意を持って襲っていたみたいです
貴女を心配する子達が大半で……変な話ですが、この子が貴女を一番守りたいのか、一番敵意が強く、一番貴女を心配してました」
そう言って優しく置かれた人形は西洋風の日本人形で、何処か日本らしさのある人形だった
私は手に取ると紋様が刻まれた腕に痛みが走って、弾かれた気がして住職を見ると
「呪いですね。この子はその腕ではあまり触れられたくない感じですね
話を戻しますと、この人形の幸運はある一定……恐らくですが、幸運を終えた持ち主に対して対価として不運を与えて不幸に堕とす人形です
どう言った経緯でこうなったのか分からないですが……元の持ち主が不幸を堕とす前に手放した……もしくは身代わりとなって代わりに受けた……或いは……その持ち主が押し付けたか……死んだが……可能性はありますがこれらが原因で貴女に不幸を堕としてるんだと思います」
そう言って、送ってきた彼女に電話をする。そして話を聞く為にスピーカーにして住職と話を
『……押し付けたつもりはありませんでしたが……申し訳ありませんでした……』
申し訳無さそうにそう言うと、住職は西洋風の人形の頭を撫でていて
「そうですか。疑う様な真似をして申し訳ないですが……近くに人形……守護する子に聞いてもらっていました。嘘では無いのと貴女の事をとても心配してますが……貴女の身近の人に対しては敵意と言うよりかは哀れな感情があります
何か心当たりはありませんか?」
『……有るかは分かりませんが……叔母さんかと思います。ただ、こればかりはすみません。分かりません』
「そうですか。ありがとうございます」
そう言って少し話をして電話を切っていて
「押し付けでは無いとすると……その叔母さんという人を聞く必要があります。それとこの子はお譲りします
この子はどうでも離れる事はしないみたいで貴女の傍に居ると思っているそうです。後は……人形から守る意味合いでも居たい感じです」
そう言って紋様の無い腕で受け取ると不思議と和らいだ気がする……
で、気が付くと手の甲に何かしらの紋様が見えた気がして……住職を見ると柔らかい笑みを浮かべて
「珍しいですね……守護として貴女の傍に居る事を決めたみたいなのと……失礼です」
私の腕を捲ると紋様が少し縮まった感じがして
「人形に対しての牽制ぽいですね……ただ、やはりと言うべき呪物として強いみたいですね……」
そう言うと人形を見る。顔は変わらないけど何処か寄り添う感じで何か不思議と嫌な感じがしなかった
「どうしました……?」
「いえ……この人形は何か変な感じですね……と言うよりかは変な話をしますと混じってしまってます
簡単に言いますと……取り変わろうとしたのを、貴女が抗った為に一部この人形の何かと混じってしまってる感じです
その上で、この子が貴女に入り込んだのか、バランスを保つ形で貴女を保った感じです
言葉が難しいですが……乗っ取ろうとしたのを、守る為に心の中にこの子が入り込んだ事で乗っ取れなく人形自身に不幸となって跳ね返った感じです
それで……幸運の人形に戻った感じですね。跳ね返ったかも知れません」
目を見開いて慌ててもう一度電話をかけるが出なかった。住職を見ると
「向かいましょう。お車はこちらに置いていて構いませんので私のお車で行きましょう」
住職に言われて向かう事にした。病院では慌ただしくなっていて、病室に向かうと看護師達の声と医者の声が聞こえていて運び出されていた
誰も居なくなった病室を住職が部屋を見て回っていて、私は看護師に
「ここの部屋の人は……」
「すみません。お答え出来ません……関係者ですか?」
「はい。一応……依頼された物で、話を聞いたりしていました……言える範囲で大丈夫ですので……」
「容態が急変しまして……はい。すみません」
そう言って駆け足で仕事場へと戻っていた。住職を見ると日記みたいなのを手にしていて
「こちらを見てください……」
ページを捲ると日記なのかその日の一日を書いていた
『幸運の人形を譲り受けた。信じては無いが……最近、良い事があって夢だった旅館を開業出来そう
ただ、親戚の人と話がこじれてしまって言い合いになってしまった。ただ、置いた覚えの無い人形が置いてあったのが親戚が帰ってから気が付いた』
『暫くして親戚が自殺したと聞いて、私は向かおうとしたら写真が落ちてきた。拾ってみると身に覚えの無い写真でそこには……
見てしまった……見たくもないのに。この人形は何処か変な感じがする……』
『ようやく旅館の開業が出来て、幸運のこの子を飾って……やっぱりこう言うのは良い』
『変な噂が立っていて、幸運の子が原因と言うが……違うと思う』
『違う違う違う……私は私は……』
『何で……何で……私は大切にした……!。何でこんな事に……』
『もう終わりにしよ……そうだ……あの子に渡したら……この子は……』
「……住職はどう思いますか?」
「押しつけでしょうね。お腹の内は分かりませんが……乗っ取られてる感じもしますし……何かあったとは思います。もし……関わるのでしたらこの子は必ず傍において置いてください」
日記を手に私は黙って頷くしか出来なかった。怖かったとかじゃ無い。ただ、厄介事に首を突っ込んでしまったと……




