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おっさん不思議体験記 黒猫守護霊になる  作者: 元乃 狡六


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おっさん不思議体験記07話 番外編 赤鬼の憂鬱と奮起


   おっさん不思議体験記07話 番外編 赤鬼の憂鬱と奮起




「赤鬼よ、お前には暇を取らす

現世にでも行って心休めてこい」


「閻魔大王、申し訳ありません

もう眠りこけたりはしませんのでどうかお許しを…」


閻魔大王は何も言わずにその場をあとにした…




 はっ…

わしは…またあの時の夢か…

もう数百年も前だというのにいまだに夢に見てしまう…


トキに言われ白たぬきとともに霊界に戻り荷物と同時に白たぬきを霊界側の祠に送り降ろし現世に戻ったわしは自宅に戻り少し休んでいた…


「眠ってしまっていたか…」


閻魔大王はいまだに戻って良しとは言ってくれない…まだ許されていないのか…




 わしは地獄で門番をしていた…時間に開けなければいけない門を眠りこけ時間に開けることをしなかったのだ

言い訳はしたくないが当時亡者どもが反乱を企て鎮圧に奔走していた時期と重なり疲れがたまっていたのだ…

閻魔大王は時間や規律にかなり厳しい、ミスをしたわしを容赦なく現世に追放したのだ…


 わしは現世に知り合いのあてもなく途方に暮れ、落ち着ける場所を捜し歩いた…

しかしどこもわしを見るなり鬼だ討伐だと追い払われ殺されかけた…

そんな中ある土地に住職のいない古びた寺があるというわさを聞きその地におもむいた

しかしこの地でも…

「やはり討伐隊が組まれたか…」

幸い寺が塀で囲まれていて丈夫な門があり門を閉めていると討伐隊は入れないらしく手を出せないようだった

しばらくは何もなく過ごせていたが話が変わった…

この地の土地神とか言う者が寺に来たのだ…話がしたいというので応じることにしたのだが…


「あなたがここの鬼なの?なぜこの地に来たの?」

などと聞いてきた

見た目はまだ若い女人だが成人はしているのだろう…それと生きた人間のわりに神力を持っている…土地神というのは本当のようだ…

わしはこう答えた

「行く場所がなくてここに滞在していたんだ

ちょうど住める小さい小屋もあって都合がよくてな、ここに居てはダメか?」


 すると土地神はダメではないが土地の者が怖がるからいなくなってほしいと言ってきた

しかもわしを倒すと…ただ倒すと言っても見せかけだけという…なにか思惑があるらしい


 思惑の内容はこんな感じだった…わしは倒され土地神の祠に封印されたことにする

それは見せかけでわし自体は変化を使い人に化け、ここの新しい住職ということにするというものだった

土地神が当時の庄屋にわしを直接連れて面通しさせるからまずばれることはないというのでわしはその話に乗ったわけだが…いざ倒されるとなると演技がな…


『ギャーくちおしやまさか倒されるとわ!』とか言って死んだふりをしたら後から土地神に『大根すぎる!』とさんざん言われた…


後々聞くと監視者がいたらしくごまかすのに大変だったらしい…


 土地神のおかげでわしはこの廃寺の住職におさまりこの地に住むことを許された

しかし変化の術を使うと言っても大きさは変えられない

大きさを変える大術を使えないわしはでかい坊さんとして生きていくことになった

でかい容姿はやはり怖がられ鬼みたいな住職といわれあまり寺に人は寄り付かなかった…

 

 土地神は寺を自分の好きなようにいじって良いと言っていた

わしは寺の修繕をはじめることにした…それを見て土地の者も寺がきれいになるならと少しは手を貸してくれるようになった

だんだんと土地の者が寺に訪れるようになりわしも少し楽しくなってきていた

しかし面倒事も持ち込まれた…


 土地神が面倒事をわしに押し付けるのだ

人同士のいがみ合い、夫婦の喧嘩、年貢の相談から土地のまつりごとの相談その他いろいろだ

土地神曰く『人の相談事は人の住職に任せるわ』だそうだ…『人に解決できないことを解決するのが土地神よ』とまで言い放った…

確かにそうなのだが…わし、赤鬼族の鬼なんだが…人のことなんぞわからん


 適当に叱ったり閻魔大王の真似をしていさめたり相談役として場に立ち会ったりして色々とそりゃぁもう色々とやらされた

人というのはこんなにも面倒事が多いのかと思ってしまった…土地神にはめられた気分だ…


 そんなこんなで数十年、土地の者たちの面倒事をかたづけていると土地神が寿命を迎える

寺と土地神の祠で盛大に弔いをし土地神を見送った…

わしも歳相応に変化で化けてはいるがわしには寿命がない…わしもそろそろここを出ないといけない…


 


 わしがどうするか悩んで数年が過ぎたころ…土地神が戻ってきた

名を『十姫武蔵大奈良原地母神トキムサシダイナラノハラノチボシン』と改めてもらい土地神に復帰した


「まだいてくれたのね、赤鬼さん…これからは真の土地神としてこの地を守るからまたお願いね♡」


とか言ってわしの前に現れたのだ…それも10歳前後の子供の姿で…


「あなた様は本当にここの土地神様でございますか?閻魔大王はどんな裁定を…」


「閻魔大王なら私を極楽浄土行と言ったわ、でも私そんなのつまらないから真の神になってやるって言ってやったの

そしたら地獄で真の神の修行と勉強をさせられたわ

ほぼ独学に近かったけど…」


「土地神様…あ、いや、トキ様と言ったほうがよろしいですか?その…お姿が…10歳ぐらいの子供に見えるのですが…」


「何を言っているの?そんなことあるはずないでしょ

あら?あなた、そんな大きかったかしら…」


「いえ…トキ様が小さくなったのだと思いますが…少々お待ちください…確か奉納された銅鏡が……あ、ありました、どうぞ」


「あら、かわいい!

このかわいい女の子は誰?」


「トキ様、これは銅鏡です、絵ではありません

映っているのはあなた様です…」


「縮んでるじゃない!どういうこと!これじゃ色気で言うこと聞かせられないじゃない!」


「トキ様、あなた様は真の神になられました、人に姿は見えませぬ

色気をふるう必要もないかと…もし大人になりたいのであれば術を使えばなれると思いますが…」


「術か…えい!……どう?」

トキ様はわしがはじめて会ったころの成人した女人の姿になった


「トキ様、わたしと初めて会ったころの成人した姿ぐらいになられました…銅鏡をどうぞ」


「あら、美人ね!でも赤鬼さん相手に美人になっても仕方ないわね…子供でいいわ、術も面倒だし…」


そういうと術を解いてまた子供の姿になっていた…わし的にはどっちでもいい…面倒事が増えるだろうとしか思えなかった…


「あ、そうだ!

赤鬼さん、あなたにお願いがあるの…

『トキ様が真の神になってお戻りになりました、今までのように祠を使うと言っています』と庄屋に言付けしてね

今の庄屋の夢枕に立とうと思ったんだけど…今の庄屋には異形が見える人いないみたいなのよ…お願いね」


さっそく面倒事ですか…


「それと私にそんなかしこまった言葉を使うことはしないで、神の名で呼ぶことも禁じるわ『トキ』と呼び捨てるか『トキちゃん』と言いなさい…」


「わかった、トキよ…こんな感じでよろしいか?」


「いいわね…普通に対等に話してね、鬼さん♡」




 庄屋にこのことを伝えると同時にわしは寿命を迎えるふりをし現世から去ることにした…


「トキよ、わしはこれからどうすればいい?地獄にも帰れんし現世にも居場所をまたなくした…この地を去ろうとも思うが…」


「何言ってるのよ、このままこのお寺にいればいいじゃない

前の住職の縁者とか言ってまた居座ればいいのよ

縁者なら大きい体つきでも問題ないでしょ…人の面倒を見るのがいやなら年に数回お寺の管理のために来るだけにしてもいいわね…ぶっちゃけ異形が見える人用の対策だけど…」


「ふむ、ならばそうしよう…しばらくしたら前住職の手紙を持ち庄屋に挨拶に行くとしよう

もう面倒事もこりごりだ…年に数回管理に来ることにする…」


「あははっ、それで良いんじゃない?人はかかわりすぎても成長の手助けにはならないわ…

私がそうしてきたように手助けはどうしようもない時だけにすればいいのよ」


「トキはわしに面倒事を丸投げしていただけだろう…大変だったのだぞ」


「あははははっそれでも私に来た相談の半分も回していないわよ

人はそれだけ神の助言とかほしいのよ

困ったものよね…まぁこれからはどうしようもない時だけ面倒見てあげましょ

一緒にね…鬼さん♡」


そういうとトキはにこっと軽く微笑んだ…




 その後わしとトキはこの地を守るために色々と努力している

トキは最低限だけと言うが地盤が肝心だということもわかっている

人は争いばかりするがこの土地はトキのおかげか荒れることもなかった


 ただ最近悪霊の発生が気になる…トキが結界をはり外部からは入れないはずなのにだ…

少し調べてみようと思う


地獄に帰れないのは仕方ないがこの地のためにもう少し働いてみようと思った




   おっさん不思議体験記07話 番外編 赤鬼の憂鬱と奮起 終



鬼さんの番外編です…05話のトキさんの番外編「トキさん昔を語る」とかぶる部分がありますが楽しんでいただけると嬉しいです

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