出会いは突然
その日はいつもの通り、担当している地域の老人と世間話をして役場へと帰ってきた。
「課長、いつも通り異常なしです。」
「そうか、それは良い事だな。」
俺の直属の上司に当たる『高木』課長に報告する。
因みに俺が所属しているのは『地域見回り課』と言う所で、文字通り村の見回りをメインとしている。
「そういえば、村長が村おこしのアイディアを募集している、て言ってたぞ。」
「またですか。あの人ノリで行動するからなぁ……。」
「そう言うな、あの人だってこの村を活性化させたいんだから。」
40代の温和そうな高木課長は苦笑いしながら言う。
うちの村長『斉藤』は生まれも育ちもこの村で村への熱や愛情は村内一である。
それが空回りしてたまにおかしな方向へと向かう事もある。
『アンテナショップを作ろう!』と言って東京に乗り込んだのは良いが土地の高さに卒倒して、あえなく退散。
『ネットで募集をかけよう!』と言ったが村にはアピールするところが無くこれも撃沈。
それでも、それを見て俺は来たんだから一応成果はあったんだ、と思う。
「それじゃあ、俺はこれで。」
「お疲れさん。」
そう言って役場を後にする。
俺の家は自転車で数分位の所にある。
自転車でのんびりと帰宅していると、
「あぁっ!大地お兄ちゃん!!」
「おぉ、『サキ』ちゃん、学校の帰りか?」
近所の小学生の女の子『サキ』ちゃんが声をかけてきた。
この村には学校は無いので隣の町の小学校に通っている。
「うんっ!お母さんが夕飯一緒にどうぞ、て言ってたよ。」
「そっかぁ、じゃあまたお呼ばれしようかな。」
「いつでも来てね♪」
話しているだけで癒されるなぁ……。
サキちゃんの家とは家族ぐるみでお世話になっている。
こういう『ご近所付き合い』て昔はあったけど、今じゃあ無くなってきてるもんな。
この村に引っ越してきて人との関係の重要さがわかってきたよ。
「あれ?」
「どうした?」
「あの人、外人さんかな?」
そう言ってサキちゃんが指さした先に見えたのを見て……。
俺は目を疑った。
銀髪の長い髪の女性がバス停のベンチに座っていたのだが、その恰好が中世のヨーロッパ風の鎧を着ていた。
何やら途方に暮れたような眼をしている。
後、めっちゃスタイルが良い。
しかし、一番注目すべき点は耳だ。
横に長くなっている。
これは声をかけるべきだろうか……?
言葉が通じるかわからないからなぁ……。
「お姉さん、こんにちは!」
ってサキちゃんが声かけたっ!?
いや、知らない人に声かけたらダメだ、て親に教えられて……、あぁ、それだったら俺なんかに声かけないよな。
これが都会と田舎の子供の差じゃないだろうか?
声をかけられた銀髪女性はちょっと戸惑った様な顔をしている。
「あ、いきなり声かけてすみません。旅行かなんかでしょうか?」
流石に大人が躊躇する訳にはいかないので俺も声をかけた。
「……ここはどこだ?」
「ここですか? ここは木帆村という村ですよ。」
「ギホ……ムラ……?」
俺の言葉を聞いて何やら動揺をしている。
「えーと、貴女の名前は? 俺は大地て言います。」
「……私は『エイリア』、エルフ族の騎士だ。」
……エルフ、て言っちゃったよ、この人。
まぁ、なんとなくわかっていたけどさ、内心ドキドキしてるよ。
まさか、異世界人と出会う日が来るとは思っていなかった。




