プロローグ
新小説、始めました。よろしくお願いいたします。
「それじゃあ行ってきま~す。」
「おう、『御用聞き』よろしくな。」
上司に片手で返事され俺はスクーターに乗り込み出発した。
俺が行くのは担当している地域。
そこには数人の老人が住んでいて安全確認と村からのお知らせを伝える、あと世間話とか。
まぁ、毎日通っていれば特に話す事も無くなるのだが、やはり『人と話す』、というのが嬉しいらしい。
俺が来るのを楽しみにしてくれているので、俺もちょっとだけ嬉しい。
前職では俺の『存在』とか否定されていたから尚更だ。
俺の名前は『近藤大地』、25歳の独身男性だ。
この村に移住してきたのは一年前。
その前は某大手企業に勤めていた。
が、そこは所謂『ブラック企業』で、毎日サービス残業、パワハラ上司に世渡りだけは上手い後輩、人の手柄を横取りする同僚等……。
入って数年で俺の心と体は崩壊した。
会社を辞め(この時もゴタゴタがあった)、家と病院に通う毎日を送っていた時、ネットである募集広告を見つけた。
『大自然の中で暮らしてみませんか?』
移住者募集の広告だった。
俺はそれに藁をもすがる思いで応募し見事に採用となった。
それが現在住んでいる『木帆村』だ。
俺はその村役場で職員として働いている。
この村は所謂『寒村』で村人は老人がメインで30人ぐらいが住んでいる。
村役場の職員は俺を含めて10人ぐらい。
住居は空いている家から好きな家を借りている。
家賃は高くなく、給料から引かれている。
贅沢をしなければ普通にくらしていける、それぐらいの額だ。
当然だが、商店は無く週に一回やってくる移動販売か、近くの街に行くぐらい。
山に囲まれ『田舎』と言えばコレ!て言うぐらいの王道の田舎だ。
最初、よそから来た俺を受け入れてくれるのか不安だったのだが、若者が来てくれたのが嬉しかったみたいでウェルカム状態だった。
おかげで村人にはすぐに顔と名前を憶えられた。
今ではすっかりこの村での生活を満足している。
しいて不満を言うなら圧倒的に『娯楽不足』だ。
俺の楽しみはとある小説投稿サイトのファンタジー小説を読み漁るぐらいだ。
こんな事が会ったらいいのになぁ、とか俺だったらこうするのに、とか一人で妄想する。
勿論、そんな事は無い、と思っていた。
しかし、意外と望めば来るもんで……。
……俺のせいじゃないよ?
ある日、『異世界』とこの村が繋がってしまった事で俺の生活は一変する事になる。




