第4話 ワレワレ、罠を突破する。
下層を突破したユウタとヨグ、ユウタは地面に倒れ込み息を切らしていた。
「はぁはぁ」
「なんでサトウ・ユウタが疲れているのですか。押していたのはワレなのに」
「精神的疲労!なんで顔面から突っ込ませんだ!」
「押しやすい体勢だったので」
「こいつ!」
息を整え、二人は中間層の罠に挑む。
「次は何でしょうか」
「お前ちょっと楽しそうだな」
すると再びヘッドレスの声が。
「良くぞ下層を突破した。だがあれはまだまだ序ノ口、ここからだ!貴様らにこの毒ゾーンを突破できるか!?」
明らかに危険そうな色をした液体が流れる水路、怪しい色の煙を吐き出す奇怪な植物がその階層を埋め尽くさんとばかりに配置されていた。
「ありましたね毒ゾーン」
「今度は罠に毒が仕込まれてるのか。流石におれを突っ込ませる訳にはいかないよな」
「え」
「え、じゃねぇよ!」
驚いた表情をするヨグ。
「ダメなんですか?」
「おれのステータス見ろ!状態異常耐性なんてどこにも書いてないだろ!」
ユウタがステータス画面をヨグの顔面に付きつけた。
「ユウタ、落ち着いて聞いてください」
「耐性とは一度その経験を積んで培われるものですよ」
「むりむりむり!」
首を全力で横に振るユウタ。
「お前は研究員だろ?毒を調べてなんかいい感じにできないのか?」
「研究員をなんだと思ってるんですか。ふむ」
ヨグは天井にいる生き物に注目した。
「ん?どうかしたか?ああ、なんか天井にいるな」
「先ほどからワレワレのことを見ているようですね。そういえば……」
ヨグは辺りを見回す。
「ヘッドレスはどうやってこちらの状況を把握しているのでしょうか」
「そりゃあ、あれ、どうやって?」
「ふむ、ユウタ、あれを捕まえてください」
「え?まあいいけど」
ユウタは一瞬で天井にいた生物を捕まえる。
「よっと、どうだ!目にも止まらぬ速さだろ?ってうわ!暴れるな!おいヨグ!これどうすんだ!」
彼の手元でビチビチと動く珍妙な生物。彼は逃さないようにがっしり掴む。
「なるほど、直接触っても問題はないと」
「ん?なんか言ったか!?」
「いえ、私の仮説が正しければ」
ヨグは服の手首から何やら管状のものを取り出し、生物に突き刺した。
すると生物は途端に大人しくなる。
「なるほど、視覚情報を同族に共有するのですか。興味深い」
ヨグはそんな事を呟く。
「これを少し使わせて頂いて」
彼が指を動かすと、生物の目から映像が映し出された。
「見えましたね」
映し出されたのは砦屋上のヘッドレスたち。
「チャージも完了しました。行きましょう」
「行くって?」
ヨグがユウタを掴む。
「ヘッドレスの元にです」
次の瞬間、二人は屋上に出現していた。
「は?」
ヘッドレスは腹部の口をあんぐりと開けていた。
「き、貴様ら……オレ様の罠を……!」
ヘッドレスは震え始める。
「1000種類だぞ!1000種類も用意したんだ!」
怒りで地面を何度も踏みつけるヘッドレス。
「それを全部無視!?人の心がないのか!」
この彼の叫びは城にまで届くほどの勢いだった。
「ワレはホモ・サピエンスではないので」
「そこじゃねぇよ。てかめっちゃキレてる」
激昂するヘッドレスは巨大なナタを取り出す。
「罠たちの無念を晴らす!行くぞお前ら!」
「へい!」
ヘッドレスの部下たちも武器を構える。
「さぁサトウ・ユウタ、勇者の出番ですよ」
「はい?」
ヨグがユウタの背中を指さす。
「サクッと聖剣で倒してください」
「雑~、いやこういうのは最後まで取っておいて」
ユウタが振り向く。
「許さんぞ貴様ら!ぶっ殺してやる!」
鬼気迫るヘッドレス、全身から殺気を放っていた。
「長々と戦いたいのですか?あれと」
「よし、聖剣使うわ」
ユウタは聖剣を振った。
彼の一太刀によりヘッドレス達は両断され消滅した。
「ふむ、やはりその剣、振った際に強力なエネルギーを局所的に放出していますね、興味深い」
「うーん、着眼点」
呆れながら剣を仕舞うユウタ。
「さて、早く戻って食事の続きをしましょう。料理、冷めてないと良いですが」
「ヨグはそればっかりだな」
こうして異世界初の戦闘が終わった。
「流石に高さがあるからいい景色だなぁ~。ほら、ヨグ、早くワープで帰ろう」
「チャージ中です。ここは普通に行きましょう」
「あーそっか、じゃあ階段とか――」
「いえ、最短距離で帰りましょう」
ヨグはそういってユウタを押す。
「はい?」
「大丈夫、ワレワレなら問題ありません」
「いやぁぁぁぁ!」
二人は砦から飛び降りた。
「そ、走馬灯が四周ぐらいしたぞ!ヨグ!」
「なんですか、ユウタのステータスなら問題ないでしょう。さ、行きますよ」
地面に膝をつき呼吸を整えるユウタ。
ヨグは気にせず城に戻った。
「あの野郎、いつか必ず!うん?」
ヨグを睨むユウタ、すると視界の端になにか光るものを見つける。
それは怪しく光る鍵だった。
「なんだこれ?」
まだまだ二人の旅は続く。
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