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ガンギマリズム3 日常編  作者: 九空のべる(旧:ジョブfree)
第一章「警察の姿勢、それと漆紀の日常」
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11. 新戦法は村雨投げ?

「よし、構えや持ち方は崩れなくなったな。斬りかかる分には上出来だ」

一通り漆紀(ななき)の動きを見た世理架(せりか)がそう言うと、当の漆紀は疲れてため息を吐く。

「漆紀君、そろそろ突きにも手を出してみるか」

「突きか……」

「あのー」

不意に彩那(あやな)がそう声を漏らす。

「やっぱり私、先に帰ってます。お邪魔しましたぁ」

「ん、飽きたかい」

「気をつけてな、竜蛇」

彩那は荷物を持って、帰り道を歩いていく。漆紀の放課後の修行はまだこれからである。

「さて、彩那ちゃんが帰ったわけだけど……なぜ連れて来た?」

「連れて来たってより、付いてきた」

「やっぱりか……はあ、竜脈の巫女ゆえか。話を戻そう、突きを教える。良いか?」

「突きって、言葉通り刀を突き出して相手を刺すんだよな?」

「そうだね。でも、突きにも威力を上げるやり方があるんだよちゃんと。そうだな……ちょっとこっちに来い」

世理架から手招きされ、漆紀は世理架の近くによる。

「この金剛杵(こんごうしょ)を短刀に見立てたとする。君と1m距離を離した今の状態でこんな風に突きを繰り出すと」

世理架が金剛杵をゆっくりと漆紀へ突き出すが、漆紀は首を傾げる。

「これになんの意味が?」

「まあ聞け。距離が離れてると威力が微妙だろう?」

すると世理架は漆紀に更に近付き、両者の距離はわずか30cmほどになる。

「この状態で金剛杵を突き出されるとどうだ」

「圧が強い」

「そう、近ければ近いほど腕を伸ばして突き出す余裕が生まれるから突きの威力が強まるんだ。通り魔とかが包丁構えて相手にタックルしつつ突き刺す事があるが、あれは理に適ってるのさ。突きは相手との距離が近いほど威力が増す」

「なるほど……」

「更に威力を上げる方法がある。刀ってのは、刃がある方に流れていくものだろう?」

刀は刃のある方を左に薙げば当然左に流れ、右に薙げばこれも右に流れる。相手に当たった場合も、左に振って相手に当たれば刃は左に流れ、右に振って相手に当たれば刃は右に流れる。

「当たり前のことをなぜに」

「まあまあ、よく聞け。てことは、突きをするときには刃を上に向けて突くのが良い」

「なんで?」

「相手に刀を突き刺す時、上に刃があるのと下に刃があるの、どっちが奥まで刺さると思う? 下に刃がある場合、重量と相手の肉の重さによって抵抗がかかるから深く刺さらないんだ。でも上向きなら違う」

「刀は反ってるから、刃が上向きなら重力が加わって切っ先から相手の体の下方向に進んでいく……」

「そう、下方向に流れていくのさ。だから、突きは刃を上にした方が威力が大きい」

「おお。よし……」

漆紀は突きの威力を上げるコツを掴み、よく頭に刻み込む。

「今度の土日に山小屋へ行ったら、樹木相手に突きをやってみると良い。刃を上にした突きの方が威力が高い」

「ありがとう……あと、世理架さん」

「ん?」

漆紀はふと世理架に話したくなったことを思いついて、そのまま口に出す。

「佐渡島から出る時のフェリーで、俺倒れたけど……既に話したけど、俺は戦場に送られてた。精神世界ってのが、あるのかどうか……戦国時代にいたんだ。みんな時代劇みたいな甲冑やら具足を着ててさ、俺はそこで何度も死んだよ。すげぇ痛えし本物だった。あれは紛れもなく本物だった。んで、あの世界を出る時に……あの世界がムラサメの過去だって前の持ち主から教えられたんだ。教えてくれ、世理架さん。精霊術にそんな変なところに送る術なんかあんのか?」

漆紀からそう問われ、世理架は頭の中であれこれ考えつつ漆紀に返答する。

「物品に記憶された過去を体験することは出来る。もっともそれは、持ち主がその物品に宿った小さき神と心を通わすためのものだが……ムラサメは君に対しそんな使い方をしてきたか。はは、悪知恵がすぎるな」

「笑いごとかよ世理架さん! 俺、安っちい漫画みたいに死んでは生き返ってを繰り返して……あっちで何度も頭射抜かれるわ首刎ねられるわ、クソ痛かったんだぞ! 条件達成しないと出れなくて、最悪だった」

「なるほど、一応そんな地獄を経験してきたのか。君の事を侮り過ぎてたようだね。で、そんな地獄を経験したなら、何かしらの収穫はあったはずだが?」

「……投げ物は出来るようになったよ。槍とか、刀とか」

それを聞くと、世理架は表情を一変し目が点になる。

「待て、投げるのが得意なのか?」

「得意なのかなぁ? 結構精度は良くなったし、あの世界で物を投げて何人か倒した事はあるけど」

「……よし、漆紀君。どこか狙う必要はないから、村雨を出してからその辺に村雨を投げ捨ててくれ」

「え? 投げ捨てる?」

「ほら、いいから」

意図が全く読めないが、漆紀は世理架に言われた通り村雨(むらさめ)を右手に取り出し、適当にその辺の地面にポイっと投げ捨てる。

「で、どうしろと」

「もう一度村雨を右手に呼び出してくれ」

「こう?」

漆紀が村雨を呼び、右手から霧が出て、その霧から村雨が出てくる。それと同時に地面に投げ捨てられた村雨は霧となって文字通り霧散する。

「漆紀君、君向けの良い戦法があるぞ。村雨を投げまくるんだ、敵に突き刺さった瞬間に村雨を呼び戻して、また他の敵に投げる……まあ、そもそも村雨で斬るような状況っていうのは銃弾が無くて銃が使えないとかそういう状況だけど。それでも、そういう戦法も出来る事は覚えておいた方が良い」

「なるほど。確かに良いかも」

その後も漆紀と世理架は村雨での有効な戦い方について話を続けた。

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