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衝撃

さて遠征の準備だ。

アレックスにジュピター以外の参加する船の決定と、必要な物資の搬入をお願いする。月の地下ドックに、遠征する艦艇を集めて準備するとのこと。


それと、ジュピターの身体は“本部”製造なので、遠征に間に合うよう急いで送ってもらう必要がある。

小型の高速輸送艇で太陽系まで届けてもらうよう手配した。

所謂いわゆるワープ航法で異空間を通って、見かけ上は超光速で飛んでくる。


ちなみに、ワープでは太陽系内部にまでは直接飛んでは来れない。

太陽系の外で実体化して、内部はちんたらと光速以下の速度で飛ぶ必要がある。


重力が強いと空間に歪みが強く出るので、長距離ワープの場合は歪みの少ない太陽から離れた場所にしか出現出来ないって事らしい。


重巡と駆逐艦の迎えを出して、太陽系の外で身体を受け取るつもり。

輸送艇単独で太陽系内部を航行させるのは不安だからだ。


さーーて、準備の1週間はゆったりすごずぞ。大学にも行かないと。遠征中は休むしか無い。俺大丈夫か?

“敵”も出てくるなよ。迷惑だからさ。


休日には、サキ&エリと山に遊びに行った。高尾山だ。

ここは当然、海だろうって?

いや俺もそう思うんだが、地球の自然をゆっくり見たいって言われたんで、逆らえなかった。海じゃあ彼女らの惑星とあまり変わらない感じなんだろう。


取り敢えず山の話は飛ばす。つけ加えるなら非常に楽しかった。

その事は、機会があれば、また。

身体を配送待のジュピターが、一緒に行きたいってゴネたので、遠征から帰ったら何処かへ連れて行く約束をしておく。


その後、準備期間の半ばも過ぎていよいよジュピターの身体が届く。

いくら彼女が人工知性体で学習が早いと言っても、2~3日は人間の身体に慣らしてから戦場に向かいたいところだ。


身体を貰って人間としての生を受ける訳だからと、誕生を祝う為の簡単なパーティを開く事にした。

チェーン店じゃないケーキ屋(結構高かった)でバースディケーキを買った。

その他食事も買ってある。


準備は万端だ。


部屋の真ん中に、いよいよ彼女ジュピターの身体が実体化する。


『初めまして!……じゃないか。でもどうですか? この身体?』


ジュピターはクルッと回転して全身を見せてから、俺の方を改めて見る。


俺は息を呑む。清楚を絵に描いたような美少女だ。で勿論ストライクど真ん中。

18歳丁度位に見える。

黒髪のセミロング、卵型の顔立ちの中でぱっちりとした目が印象的。

モデル体型ほど細過ぎてはいないが均整のとれたすらりとした身体に、華奢な肩にのる細くてちょっと長めの首。やや広めに空いた胸元の感じがなんとも……


って、ちょっと待てよ。おかしい、どこかで見たような。

しかし、こんな美少女が俺の知り合いのはずは無いのだ。


『どうです? 司令官。 好みのタイプでしょ?

 教えてくれないので司令官の好みを自分で調べちゃいました。

ちょっと私流にアレンジしたとこありますけど、自信あります!』


調べたって、どういう事?


『ほら。自宅周辺の警戒強化を頼んでたじゃないですか。

それで観測用のドローン飛ばした時、司令官の自室を遠隔走査させてもらいました!』


『ベッド脇にあった写真雑誌のページ4から10までの画像と、本棚に挟んであった写真集の15ページの画像を、良く好んで見られているようなので参考に。


あと、司令官のPCのディレクトリーの奥の方にあった画像ファイル…


そこら辺の画像情報全部合わせて多変量解析した結果を、DNAの構造設計に盛り込みました。計算量、半端じゃなかったです。


でも画像情報の人達、服着てないんで服のお好みが分からなくて、これをとりあえず着て見ましたけど、どうでしょ?』


いやいやいやいや。ありえないだろ。

俺の人生終わった。特にPCのファイルの方。

正直、文明度5+の戦艦の調査能力舐めてました。


アレックス!


『お、お、俺は知らないからな。知ってたら止めてたぞ。


彼女ジュピターは、周りに人間がいない環境でしばらくの間育った。

だから、やっちゃいけない事とか、細かい事が良く分かってないんだ。

許してやってくれ。』


俺の精神が受けた衝撃を理解してくれてありがとう。アレックス。

でも、細かい事とは思えないよ。


とりあえず固まりながらも、誕生パーティは無難にこなした……と信じたい。

サキが明らかに不機嫌になっていたので、ちょっと怖かったです。


パーティ終わってから、人間の持つプライバシーの概念に関してジュピターと良く話し合いました。ハイ。


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