条件
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「見栄えが良いように、なるだけ大規模な艦隊で派手に掃討戦をやって。
裏の事情を言うと、実は潰した巡洋艦5隻の件が議会で問題になっていて、政権がちょっとヤバイの。
代償も確約して貰ってないのに現場の暴走を許容したって。
目立つ大規模艦隊で来てもらえれば、こっちの手柄になるし。お願い」
うーん、責任の一端は感じるけど、どう考えても要求が過剰だよな。
「出来れば、戦艦連れてきて。
見栄えするから。映像を惑星全体に流して宣伝できるし。
“光輝ある孤立”艦隊の戦艦達が我が星の危機を救わんが為に馳せ参じる。
とか絵になるでしょ」
俺は、心のなかでため息をつく。
話が大事になりすぎてる。
正直言うとあんまり出番の無い駆逐艦達を、重巡何隻かで引き連れてお茶を濁すつもりだった。
“敵”が大型艦艇で地球を攻めている為に、相対的に小型の駆逐艦は表に出せず、補修や、修理等の補助的なミッションが主な役割になってしまっているのだ。
「サルガス星に対する戦力分析のレポートを送っておいてください。
そちらの情報部かどこかが分析もうやってますよね?
艦隊編成に関しては、どういう艦種の編成が妥当かこちらで検討します」
ところでと、俺は切り出す。
「戦艦の派遣なんかを希望されている見たいですが、派遣費用とかは持っていただけるんでしょうか?燃料費とか弾薬とか消耗品の費用とか?」
いや、払ってもらえると思ってないけどさ。いくらなのか知らないし。
下手に払ってもらっても、辻褄合わせの為の煩雑な事務処理でエリに負担かけそうだし。
でも、あまりにも言いたい放題要求して来るんで牽制だ。
エリの声が脳内に響く
『ケプラー186fまでおよそ500光年位なので、戦艦みたいな大物だと燃料費だけでもかなりのものになります。
先ほど聞いたケプラー星の規模だと、星全体のGDPの10%相当になるんじゃないかしら。
あと弾薬・消耗品類を、えいやで見積もって同程度、それに戦艦に随伴する艦艇の費用もバカには出来ないし。
まあ、普通に考えて払えないと思いますよ』
鈴木さんが目を白黒させて息を飲んでいる。
分かりやすい人だなー
ポーカーフェースを保てなくて調査員務まるんだろうか。
「ボリ過ぎよ!足元見てるんじゃないわよ!
私達の助けが無かったら、今頃地球消滅してるわ。砲艦の重質量弾攻撃受けて。
この貢献を評価するべき。この卑怯者のトンチンカン」
あ、またキレた。デートしてた時と印象違いすぎだろ。
快活で明るくて、優しくて。
サキが脳内に割り込む。
『そりゃ、司令官候補に近づくつもりで性格作ってたんでしょうに。
もう少し女性を見る目を養って欲しいんですけど』
俺は精神的ダメージから素早く回復する。最近慣れてきた。
こちらの要求事項の本音を出す。
「では仮の話ですが費用の請求はしなかったとして、代わりに情報の提供をしてもらうと言うのはどうですか?
例えば、そうですね、他の星の調査員の地球での動きとか、地球に対する戦略の内容とか」
「さっきも言ったけど、他の星の動きなんて知らないし、知りたくもないんだけど」
俺は追い打ちを掛ける。
「ご謙遜を。あなた方は私達の動きを良く押さえている。かなりの規模の調査組織を地球上にお持ちだ。……と推察します。
調べる気になれば、簡単でしょ。いや、既に調査済みだと思います。
自分の手札を晒す気も無く、私達に防衛を無条件で手助けをしろと?」
「……」
「ご検討ください。
それと金星に艦艇を隠してましたよね?
結果、我々は助かりましたが、他の惑星にもまだ何か配置してませんか?
もしそうなら知らせてください。」
「……叶わないな。お手柔らかにお願いしたいわ。
改めて悔やむわ。あなたを振るんじゃなかった」
基本的に彼女側に選択肢は無いのだ。
こちらは大戦力を保持していて、仕事をしてもらいたいと言うなら言うことを聞くしか無い。
一応交渉の形は取っているが、実体はこちらの単なる恫喝だ。
俺は、やり過ぎたかなとちょっと後悔した。
向こう側もサルガス星からの攻撃で困っているのは確かなのだ。
ただし条件面では、客観的に見てまだかなり甘い筈だ。
って言うか甘々だ。
エリが俺の脳内に囁く。
『元々防衛なんてつきあう必要ないんですよ。鈴木さん達にこちらへの報復手段なんか無いですし。向かってきたら、その時は潰せばいいだけです。
でも司令官、お優しいんですね。本部が司令官を選んだ理由が分かった気がします』
それ褒めてないよね。
『いいえ。優しさは司令官の大きな武器です。でもそれは諸刃の剣です。
僭越ながらこれから司令官の職務を果たされる上で、十分注意していただくようよろしくお願い致します』
その日は、お互い問題をもち帰って検討をすると言うことでお開きとした。




