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勝利

味方巡洋戦艦マーキュリーの全砲弾の着弾を確認すると、エリが歓声を上げる。

敵の主砲は損傷を受け作動不能になったようだ。


『やったあ! おめでとうございます。防衛成功です。今度こそ打ち上げいきましょう。』


「エリさん、まだ少しだけ勝利確定は早すぎます。」

『エリ、 まだ勝ちは決まっていない』


仲良くサキと異議を唱えると、エリは抗議した。


『……私にさん付けは不要です。』


ええと、いや、まあ、その……仕事続けますね。


アレックス、戦況どう?


『マーキュリーとやりあった敵は、まだ使用可能な副砲をこちらに向けて突っ込んでくる。副砲の射程からは、まだかなり距離があるが。

味方のケプラー艦隊(鈴木さん艦隊)は、全艦蹴散らされた。全て轟沈だ。』


まあ、オンボロだし。

しかし引き寄せられて鈴木さん艦隊の相手をしていた敵の巡洋戦艦2隻は、まだこちらに向かって来ていない。様子を見ているようだ。


アレックス、副砲抱えて飛び込んでくる死にかけの敵艦に、トドメをさすようマーキュリーに伝えて。

残り2隻の船が様子を見ているのは、何故だと思う?


『こちらの巡洋戦艦の主砲の射程距離が、敵の予想以上に長かったのだろう。

近寄ってきたら、敵の射程外から一方的に攻撃出来る。(アウトレンジ戦法)』


重巡スミスは動けるかな?(俺たちを庇って中破した僚艦だ。)


『推進機関の損傷が大きく低速だが、まだ動ける。』


アレックス、もう我軍は目標を達成した。マーキュリーに援護してもらって、スミス連れながら地球方向に撤退しよう。


ええ、逃げますとも。そりゃもう一目散に効果音ありで堂々と軽やかに。

そして、こちらに向かっている味方の戦艦達とも合流する。


『効果音はつけられないが、撤退は了解だ。』


撤退を開始してから、30分ほど時間がたつと諦めたのか敵艦も撤退を始める。


俺のミスはあったが、初戦のバトルは明らかにこちらの勝利だ。


『今度こそ、勝利確定ですね。おめでとうございます。』

『司令官。おめでとう。 私は何も出来なかったが勝てて良かった。』


サキ&エリに祝福されて、司令官と言うより、男として気分はまんざらでは無い。


サキもエリも協力ありがとう。サキ、減衰フィールドの2倍がけがなかったら、もうこっちは沈んでいたよ。何も出来なかったなんてとんでもない。


鈴木さんから通信が入る。


『敵の巡洋戦艦、言われたとおり足止めしたからね。満足でしょ。

こっちの船達ボロボロよ。 ちゃんと責任取ってよね。』


表現がちょっと不穏な気がしますが、言ったことは守ります。

じゃあ今度大学で、と言って鈴木さんからの連絡は切れる。


サキが不満げに言う。『あの女は信用出来ない。会うときは私も同席する。』

エリも『私も当然行きます。』と割り込む。


俺としては、この問題はこれ以上突っつかないようにしたい。

どんな問題が出てくるか分からない。(極めて遺憾だが、主にハニートラップ関連)

話題を変える。


アレックス、艦のみんなにもお礼言っておいて。特にマーキュリーとスミス。


『一応、俺からも伝えておくが、司令官からも直に伝えて欲しい。

それに新しく来た戦艦達や艦隊にも何かスピーチを頼む。今日は疲れているだろうが、後で機会を設ける。』


げげ。そういうのは苦手なんですが。やらないとダメでしょうか?


『駄目だ。特に目立った戦果を上げた艦は、リストにしておくので目を通しておいて欲しい。あと、例の自分の身体を欲しがっている戦艦(艦名:ジュピター)は獅子奮迅の働きをしたようだ。司令官と直接話をしたがっている。』


サキが尋ねる。『戦艦の身体とは?』


とりあえず、彼女の質問は聞こえない事にした。至る所地雷だらけだ。


アレックスに答える。

スピーチの件は了解です。でも、モチベ上げられるスピーチなんか俺には無理だと思いますが。


何か言いかけるアレックスが口を開く前に(口は無いけど)俺はあわてて喋る。


サキ、エリ、さあーー後は、ぱーっと打ち上げに行こう。勝利祝い!

俺、前にやったバイトの給料残ってるから、少し(極微小な)余裕ある。奢るよ。


日頃、現地通貨(円)をあまり持たせてもらっていないサキ&エリが反応する。

さっき話をした時に聞いたんだが、彼女達は、割と食生活がワンパターンで貧しい。


『いいんですか?』

『喜んで、お供させてもらう。』


既に転送可能圏内に入っている。地球に戻れる。

急いで、指定の駅まで、サキ&エリ&俺の転送を命令する。

アレックスはまだ何か言い足りないようだったが、サキ&エリを敵に回す度胸は無いらしく、転送を開始してくれる。俺の作戦勝ちだ。


アレックス、残務処理よろしく。俺、明日学校行くから。


各種の地雷を華麗に回避し、戦いにも勝って俺は満足だった。


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