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歓談


3人一緒の転送が終了し、いつもの見慣れた駅前に着くと朝だった。

12時間以上戦っていた事になる。戦闘時の異常な緊張感のせいで、徹夜していた事に気が付いていなかった。艦内には昼も夜もないし。


でも、勝利の打ちあげを行うには不便な時間帯だ。適当な店が空いてない。

やむを得ず、ちょっと高めの某洋食系ファミレスの店に向かう。

心のなかで財布の中身を思い出す。なんとか間に合うはずだ。


サラリーマンや学生の朝の通勤風景を横目に眺めながら、俺は重大な点にハッと気がつく。もし友人が通りかかり、今の俺達を見たらどう思うだろうか?


朝帰り(残念ながら仕事が理由だが)に美女二人を同伴してる訳だ。

俺の置かれた状況のヤバさ加減が、分かって頂けたろうか?


徹夜明けで止まりかけている脳みそを、必死に動かしながら俺はなんとか考えをまとめようとする。


うん。そうだ。朝通学してたら、美人のセールス・ウーマン二人組のキャッチに引っかかった。これでいこう。


『司令官。言い訳を考えるにしても真面目にやって欲しい』

『あんまりです』


サキ&エリの抗議の声がする。

しまった、脳内の考えが漏れている。

アレックスに教わった、思考読み取り妨害の方法をやっていなかった。


『私が恋人役で妥当と思う。“恋人と朝帰りしていた所に、私の友人のエリにたまたま会った”で問題ないだろう』サキが提案する。


いやいや、全然自慢じゃないけど、俺の友人はそれ全力で疑います。

あ、でも美女と野獣的な何か? 

まあ趣味って人それぞれだからいいんだろうか。うん。そうなのかな。

サキがそう言うなら、俺はいいけど。うん。


『あのー申し訳ありませんが、なんで私が友人役なのに、サキは恋人役なんでしょうか?』エリが抗議する。


『私はプロテクターだ。警護のため司令官と一緒の行動がこれから増える。 

司令官と多くの時間を過ごす理由を用意しているだけなんだけど』


エリは一生懸命、何かを考えている。


店の前に着いた。


「俺が、良い言い訳考えておきますんで!

取り敢えず知り合いに会わなかったし。

店、店、店に入りましょう!!」


慌てて二人を店の中に連れ込む。席はまだ結構空いている。

もう少し経つとサラリーマンのモーニングで埋まりだすのだろう。


店員に奥まった方のテーブルを希望し、案内してもらい席につく。


モーニングではなくグランドメニューの方を二人に差し出す。

お好きなモノをなんでもどうぞ。


値段を見て、二人共目を丸くする。


「この星のレストランは食事代がこんなにするんですか?」エリが尋ねる。


二人共いつもは本部提供のレトルトまがいの食事か、それが我慢できなくなるとコンビニで弁当を買って食べていたらしい。

それで、ここの値段がべらぼうに思えるんだろう。


いやいやいや。若干高いけど、ここはファミレスですし、滅茶苦茶高い方じゃないです。

今日の処は(いつもじゃないけど)お金は大丈夫です。気にしないで。


ではお言葉に甘えて、と二人は注文内容を決める。

ステーキとシーフードだ。それにスープ、サラダとライスを頼む。

俺はカレーにした。

朝飯に食べる内容じゃないけど、3人共に徹夜明で、昨夜食事をしてないんでご勘弁を。


ジュースで勝利を祝って乾杯!


食事を楽しみながらいろいろと話した。

そういえば、後でデザートも追加して注文した。地球のデザートは好評だったよ。


サキ&エリの生まれた星の話を聞く。

サキの星は“本部”と契約していて、主に兵士を供給する役割だ。歩兵が多いとのこと。

地球の場合、敵は惑星の表面には到達しておらず、兵士を地上に送り込んだりとかはしていないが、本部管理の他の星では地上戦を行っている所もあるそうだ。


紛争の激しいところに送り込まれる兵士の場合、使い潰されるケースもあって過酷な目に遭うらしい。


『私は幸運でした』サキは言う。

“コスト”との相性が良い彼女は、“プロテクター”に選別されて希少な戦術ユニットになった。

高価な“プロテクター”に対する“本部”の扱いは、悪くないそうだ。

少なくとも使い潰される事は無い。


理由は分からないが、”本部”は地球人に対しては、多量の兵士の提供なども求めず(俺を除く)、いきなり多数の艦艇を派遣しその対価を取ろうとはしない。

本来ならば、戦艦とかはあまりに高価すぎて、裕福な星系でも1隻分の費用を払えるかどうかというところらしい。


サキは地球に対して、一体どう感じてるだろう。恵まれ過ぎてると思っているだろうか?

俺は少し気が重くなった。


エリの星は地球と似た雰囲気の星らしい。

その星の教育機関を卒業した彼女は、新しい経験を求めて“本部”に文官として職を求め採用されたとのこと。


「私は周りからは変わり者と見られています」彼女は笑う。

「でも、いろんな世界を見たかったので、この職に就きました」


荒事専門のサキとは戦闘能力は比べ物にはならないが、エリも身を守る為に重戦車並みの攻撃・防御能力を持っている。

最低限度の軍事教習を受けたそうだが、実戦は苦手だそうだ。


「プロテクターのサキと一緒に配属されてよかった。

私一人で司令官の警護しろ、とか言われてたら詰んでました」


話をしていて感じたんだが、エリは比較的裕福な階層の出身じゃないかと思う。

地球人としての外見の印象と合うが、そこらへん考慮されて身体を支給されているんだろうか?

それとも元の身体を地球向けに改変されたのか?


彼女たちは異星人なんだから、元の身体が地球人とそのまま同じ見かけって事はない筈で、そこらへんどうなってんだろう?


聞きたくなったが、若い女性に対する質問としては不適切な気がして控えた。


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