光あれ
「まずは小さな光をだす事から始めてみようか」
シャルディは、そう言いながら、右手に拳くらいの光を出現させた。
「おー、すごい」
アダムは目をキラキラさせて、その光を見た。
「練習したら、こういう風に呪文なしで出すことも出来るよ。ただ最初は、呪文によって魔法を出す感覚を覚えてみよう。
まず光は、「スペーロ・ウィル・ライト」と唱える。
「スペーロ」は、お願いします。という意味だと思えば良いよ。
その後の「ウィル」が光の精霊の名前。
そして最後の「ライト」は光ということだね。出すときは、大きさとか、形をしっかりイメージしてね」
シャルディニッコリ笑って、手の上の光を消した。
「もし、火を出したかったら「スペーロ・サラマンダー・ファイヤ」と唱えれば・・・」
シャルディの手には、さっきの光と同じくらいの火の玉が出ていた。
「お願いしたい精霊の名前さえ覚えれば良いから、簡単だろう」
「そうかな。えーと、「スペーロ・ウィル・ライト」・・」
アベルは、たどたどしく呪文を唱えた。
その瞬間、部屋中が真っ白になった後、大人でも両手で抱えられないくらいの大きな光の玉が浮いていた。
アベルは、放心して自分の出したものを、眺めていたが、数秒後、光の玉が弾け飛び、急に力が抜けたように尻もちをついた。
「大丈夫かい。アベル」
シャルディは落ち着いた声で聞き、すぐアベルに駆け寄り、そのまま抱き上げた。
「シャルディ、なんか頭痛い…」
アベルは、青い顔をして、シャルディにもたれかかった。
シャルディは、そんなアベルに苦笑しながら、ソファーまで運び、ゆっくりと下ろした。
「今が、魔力が無くなりかけてる状況だから、覚えておくんだよ。これ以上、使ったら危ないからね」
「わかった…」
アベルは、変わらず辛そうではあったが、シャルディの方をしっかり見て答えた。
「でも、最初から成功したのは凄いよ。たぶんアベルは、光の精霊と相性が良いんだね。
魔力の量も申し分ないし、しっかりイメージさえ出来れば、かなり使えるようになるよ」
感心した様子で褒めるシャルディに、アベルは嬉しそうな顔を見せた。
「わかった。僕、ちゃんと練習する」
「そうだね。多分、30分くらいで楽になるとは思うけど、今日はもう、魔法は使わない方が良いから、そこで休んでててね」
シャルディは、アベルの頭を優しく撫でて、カインの方に顔を向けた。
「さぁ、次はカインもやってみようか」
笑顔で宣言したシャルディに、カインは内心かなり焦っていた。
(これは…もしかして、魔力切れ直前までしないといけないのか)
今のカインが、魔力を使い切ろうとすると、さっきアベルがだした光の玉を数百個出しても難しい。
「カイン、どうしたの」
まったく動こうとしないカインに、シャルディは不信そうに聞いた。
カインは、こっそり息を吐くと、決心して仕方がなく、ゆっくり手をあげた。
「…スペーロ・ウィル・ライト」
カインが小さな声で唱えると、手のひらが少し光って、小さな光はポンっと消えた。
「…うーん、カインは光と相性が悪いのかなぁ。別の精霊で試してみようか」
「…先生」
「どうしたの」
「僕、頭痛いから休んでいいですか」
「…わかった。いいよ」
無表情で不調を訴えたカインに、苦笑しながらシャルディは答えた。
「じゃあ、今日の授業はここまでにしようか」




