理解者
「・・・せんせい」
「とりあえず無事で良かったね、カイン。
三日前に、君達が街で襲われたと聞いて、王宮から飛んで帰ってきたんだ」
「・・・三日前ですか」
「あぁ、そうだね。君は三日間ずっと意識がずっとなかったから」
シャルディは、カインが倒れてからのことを説明しだした。
カインとアベルは、あの後すぐ、さすがに二人だけで街にでるのを心配して見張っていた二人の護衛によって介抱されたらしかった。
あまりにすんなりと、子供だけで城から出れたことをカインも不思議に思っていたので、その辺はやっと納得がいく話だった。
護衛の話では、剣を持った男が屋敷から飛び出してきたので、一人がその男を捕らえて、もう一人は焦って屋敷に入った。その直後、凄い光が屋敷中に広がったらしい。
光が収まった後、二階へ向かった護衛は、広間でバラバラになった男の死体と、血まみれのアベルを抱いたカインを発見した。
あまりに凄惨な状況に、護衛は最初二人とも死んでいるのではないかと思ったそうだった。
しかし、アベルは斬られた後こそ服に残っていたが、二人とも無傷で気を失っているだけで、とりあえず男を捕らえた護衛と共に二人を急いで城に運びこんだ。
捕らえられた男は、ここ最近、街で被害が広がっていた盗賊の一味で、やはり別の領地から入り込んで、あの屋敷を拠点にしていたらしく、今は城にある牢に収監されている。
その男と、城についてすぐ目が覚めたアベルの話から、カインが魔法で他の二人を倒した後、傷ついたアベルをカインが治癒魔法を使ったため、カインは魔力切れで倒れたという話になっていた。
カインは、アベルが一度死んだことが、誰にもばれていない事に安心したが、それでも自分が二人も殺してしまったのを思い出すと、気分が悪くなった。
「カイン、君が使った魔法について聞きたいんだけど、良いかい」
シャルディは、辛そうなカインの様子を気にとめながらも、質問を止めることはなかった。
「・・・はい」
「まず、盗賊を仕留めた魔法だけど、あれはどこで覚えたんだい」
「あまり覚えてないですけど・・・教えられた通り、風を呼び出して。たぶん、魔力をコントロールできなくて威力が上がりすぎたんだと思います」
「いや、君達に教えた魔法だけでは、どんなに魔力を増やしても、あんな風に人を攻撃することは出来ないよ。私は、君達に攻撃に使えるような魔法は、まだ教えていないからね」
シャルディの言葉にカインは、自分が使った魔法の事を今はっきりと思い出した。
無意識で放っていたが、覚えた魔法は、ほぼ呪文なしで使うことの出来るカインは、あの時、確実に男を切り裂くつもりで風の刃を出していた。
自分が意識せず男を殺そうとしていたことに思いあたると、カインはコントロールできない自分が怖くなった。
「・・・大丈夫かい」
黙り込んだカインを心配そうにしているシャルディを見て、カインは真実を話すか迷った。
これまでなら、迷わず黙っているのだが、攻撃魔法の威力を知ってしまった今、自分だけで魔法を学ぶのが正しいとは思えなかった。
「・・・あの魔法は、書庫で見つけた魔法書の中にあったので、たまたま呪文なくても覚えてたのだから、無意識で出たんだと思います」
カインは素直に話すことにした。
シャルディは、最初こそ驚きを見せたが、カインの言葉に納得しているようだった。
「・・なるほどね。これですっきりしたよ。
カイン、君、最初から魔法使えただろう」
「えっと・・・なんでですか」
「それは、肯定ととっていいのかな」
「・・・」
「別に怒ってるわけじゃないんだよ。
ただ、どういう意図かはわからないけど、君、アベルにあわせてるだろう。
アベルが出来るようになるまで、君も絶対成功しないから不思議だったんだ。
始めは双子だからだと思ってたんだけど・・・君の失敗しかたって、妙に高度なんだよね」
「そうなんですか・・・」
「認めたねぇ。たまに凄いコントロールの難しいことしてるからね、君は。
どうやって魔法覚えたんだい」
「かたっぱしから魔法書にある魔法を試していったんですけど」
「・・・危ないことしてるね」
「ごめんなさい・・・
これから、僕にちゃんと魔法教えてもらえますか」
「なんでだい。君はもう自分で、ほとんど出来るだろう」
「僕の魔法で、あんなすぐ死んじゃうと思わなくて・・・もう二度とあんなの嫌なんです」
カインは初めて、自分の心中を伝えた。
「君は正しいことしたんだよ。別に後悔することじゃない。
でも、もしカインが望むなら、もちろん私はいつでも君を助けるよ」
シャルディの言葉は、日本人の感覚が残っているカインには受け入れ難いものだったが、
しかし、少しだけ心が軽くなったような気がした。
評価、ご登録ありがとうございます。
当分は、展開重視の殴り書きとなってしまいますが、しばしお付き合いいただければと思います。




