表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソラヌスの遠吠えⅠ 狼子  作者: 逆立ちハムスター


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/11

9

歩くたびに鎧の音がする。今まではしなかった音だ。

これも少し違和感があるな。だが心強い。

「じゃあな」

「色々とありがとう」

モー達の元を去る。

モー達の会話が聞こえてくる。

「それで鉄のインゴットはあったか?」

「倉庫にいくつか残っていた。全部は足りないだろうが、鉄鉱石を精錬する間ぐらいは何とかなりそうだ」

「石灰はどうだ?」

「腐るほどあるさ」

「よし、じゃあ早速始めよう」

集落の散策を続ける。

種族達の集落をこうして歩くのは楽しい。

まさかこんな日が訪れるとは、夢にも思っていなかった。



・不安に苛まれ



散策していると、深刻な表情で話し合っている人間の男女がいた。


〘⇄〙側へ行く。「どうかしたのか?」


「あぁ!? 何も持ってない! 殺さないでくれ!」

「あなた落ち着いて、さっき助けてくれたウェアウルフよ。彼が着ているのモーのところに飾られてた鎧じゃない。それに声もそうだけど、灰色の尻尾が出てる」

「ほ、本当だ。はぁ~、だが怖いな」人間の男が深呼吸をし、胸に手を当てている「お前のその冷静さにはいつも助けられるよ」

「それで私達に何か用?」

「何か困っているようだったから、何か力になれないかと思ってな」

「なんて親切なの! 実は私の従姉が所有していた鉱山に、精練し終えたインゴットが残っているかもしれないの。それがあれば集落の復興に役立つと思って」

「モーの所で話を聞いたが、何とかなると言っていたが?」

「そうかもしれないだろうけど、その場合時間は掛かるし、何より不測の事態が起きたら困るでしょ? 無いに越した事はないわ」

「確かにそうだな。その従姉はどこに?」

「吸血鬼に殺されてしまったわ。正確には家具の下敷きだけど」

「あまり悲しそうじゃないな?」

「こう言っちゃなんだけど、いつも凄かったから。死んでしまって嬉しいとは思っていないわよ。でも、心底ほっとしているの。鉱山も私達が譲り受けるしね」

「ああ、彼女は凄かったな。俺の事をいつも赤ん坊扱いだ。普通の奴だったら耐えられないだろうな」

「お前は平気だったのか?」

「平気って訳じゃないが、ほら……」隣の女を目線で合図するように見る。

軽く頷く。

確かに会って間もないが、気が強いのが分かる。


〘⇄〙察して話を合わせる「それでも家族だったからな」


「そ、そういう事だ」

「それで、鉱山の何が問題なんだ?」

「実は二人で鉱山に行こうとしたんだけど、鉱山の入り口に死体が散乱していて、まだ吸血鬼が中に残っているかもしれないの。だから戻って来たってわけ」

「分かった。代わりに見てこよう」

「助かるわ。鉱山はあっちよ」

女の指差した方角へ向かうと、少し丘を登った所で小さな鉱山が先に見えた。

確かに何かが散乱しているな。

ここからでも分かる死臭だ。

だが、変わった感じのにおいだな。

鉱山の入り口まで行くと、女の言っていた通り死体が散乱していた。

これは以前、森で見かけた事のある連中だ。

青い布を腕に巻き付けている。そして統一性のない防具。

盗賊だな。

その時、鉱山の中から微かに足音が聞こえる。

耳を澄ますが、鼠の足音ではなさそうだ。

心眼の目を放つ。

赤い靄のシルエットは人型。

一人の盗賊が片手で脇腹を抑え、足を引きずりながら出てきた。

壁に手をついて歩いていた盗賊が出口から出ると、顔を上げ俺と目が合った。

「〿gfšf”fHfjfAf”¥fofWf<〿h〿」

慌てた様子で盗賊の女が腰に差していた剣を抜く。だが上手く握れなかったのか地面に落とした。

「ふむ」

茶色いフードを被っている盗賊の女に近付く。

「うぅ!? あっ!」

盗賊の女がバランスを崩し地面に倒れ込んだ。

俺に手を向ける盗賊の女。

小規模の火球を数発俺に放ってくる。

火球を避け、素早く近付き、地面に落ちた盗賊の女の剣をブーツで踏み潰す。

地面まで砕けた。

素足の時より威力が増しているようだ。


〘⇄〙「殺す気はない」


「はぁ、はぁ、ゲホッ、ゲホッ」

困惑しているようだ。

「怪我は大丈夫か?」

「ええ……まあ」

女が脇腹押さえながら胡座をかいて座る。

「ここで何をしていたんだ?」

「金目の物を探してたんだよ。ゲホッ、そしたらスクリーマーが現れて、襲ってきやがった」

「お前の他にもいたのか?」

「いたんじゃないの。今頃死んでるだろうけど。フッフッ。ゲホッ、ゲホッ」


〘⇄〙「もう戻ってくるな。次は容赦しないぞ」


「わあってる。あんたとやり合うなんて、こっちから願い下げよ。ゲホッ、ゲホッ」

盗賊の女は辛そうに立ち上がり、集落とは別の方向に歩き去って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ