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【完結】ソラヌスの遠吠えⅠ狼子  作者: 逆立ちハムスター


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Ⅳ章 〘芽吹き〙



教会の外へ出ると、集落に最初に来た時に出会ったダークエルフの男が待っていた。

「探し物ありましたか?」

「ああ、一応」

「それは良かった。あなたに渡すものが」

ダークエルフの男が小さな皮袋を手渡してくる。


〘⇄〙皮袋をダークエルフの男から受け取る。


「これは?」

「少ないが、私を含めあんたに感謝する者たちからの礼だ」

皮袋を開くと、丸い小さな金属が複数入っていた。

「感謝する。あ〜、これは何かのお守りか?」

「あぁ……」

少し困惑している様子のダークエルフの男。

「それはリド銀貨と言って、私たちの通貨よ。それを商人に渡せば、食べ物や 必要なものと交換してくれるの」

「そ、それは便利だな。ありがとう」

「こちらこそ助けてもらって感謝している」

ダークエルフの男の元を去り、集落の中心部へ向かう。

「あそこに見える山を越えて行くのよ」

「あの山の先にあるのか?」

「ええ、あの山のずーーっと向こうにね」

「楽しい旅になりそうだ」

「ンフフ、まずは出発前の支度をしなくちゃ。一緒に来る?」


〘⇄〙「いいや、少し集落を見て回りたいんだ」


「分かった。じゃあ出口のとこで落ち合いましょ」

「ああ」

ローゼと別れ、集落の散策へ出かける。

種族たちは吸血鬼たちが荒らした家屋の瓦礫や木々の撤去をしていた。

種族たちは作業の合間に俺の方を見てくる。

だが叫び声を上げて逃げることはしない。

当たり前だが何か違和感がある。



◦小さく大きな問題



数人の種族たちが集まり、何か嘆いている様子だった。

「くそ、ダメだ。びくともしない」

「念動の使えるやつが集まった時にやるしかない」

「それじゃあ日が明けちまう。他の方法を考えないとな。鍛冶師のモーなら何かいいアイディアがあるかもしれない」

「そうだな。モーに聞い……」


〘⇄〙「どうかしたのか?」


「い、いや別に」

人間の男は動揺している様子で周囲を見回し、俺と視線を合わせず後ろ頭を掻いている。

険しい顔をしたドワーフの男が腕を組みながら俺の目の前 へと来る。

「実は、この倒木が邪魔で店を再開できないんだ。中には備蓄が多くてな。その……あんたさえ良かったら……」


〘⇄〙「手伝おう」


「あ、ありがとう……」

「皆、少し下がっていてくれ」

種族たちが離れる。

大きな倒木を両手で持ち上げ、邪魔にならない場所へ移動し、置く。

「おぉ、感謝する」

「ありがとう」

「助かったわ」

「これぐらいお安い御用だ」

種族たちが 店の中へ入り、片付けを始めた。

別の場所の散策へ向かう。

後ろから種族達の会話が聞こえてくる。

「すごい力だったな」

「ええ、ビックリしたわ。あんなんじゃ 私達ひとたまりもないわね」

「彼が味方で良かった」

「ホントね」

少し歩くと鍛冶場らしき建物が目に入る。

近くへと向かう。

数人の種族たちが片付けをし、モーが大きなフイゴで炉の火の調整をしていた。

「やあモー、鍛冶場はもう再開できたのか?」

「ん? あんたは……。どうして俺の名前を」

「あんたはここでは有名だから。名工 だってな」

「ハッハッハッ、助けてもらったばかりか、これだ。あんたのこと気に入った。なあ、些とついてきてくれ」

モーが鍛冶場の店の奥へと入っていく。

多くの剣や槍などの武器が、金属の枠組みにむき出しで入れられ、所狭しに敷き詰められている。

「すごい武器の数だな。こんなに必要なのか?」

「いいや、ただこれしかやる事がなくてな」

「ほら、これだ」

透明なケースに入れられた、重装で黒く大きな鎧一式を見せられる。

「こんな大きな鎧をつけるやつがいるのか?」

「ああ、俺の目の前にいるさ」

「何だって!?」

「今出してやるから着けてみろ」

言われるがまま黒い鎧をつけていく。

見た目に反し、意外と軽い。

「どうしてこんなのを作ったんだ?」

「俺が作ったんじゃない。実は近くの鉱山を掘っている時に、遺跡が偶然見つかってな。そこにあったやつなんだ。状態はあまり良くなかったから、少しずつ 俺が直して行ったんだ。は〜ん、まさか使う日が来るとはな〜」

鎧を全て着け終える。

「着心地はどうだ?」

「思ったより悪くない。つけていない時と変わらず動きやすい。それにそれほど重くなく体の負担にもならない」

「最高だってことだな」

「いくらで売ってくれる?」

「んなもん、タダでいいに決まっているだろう。それを吸血鬼共の戦いに役立ててくれ」

「感謝する」

「兜をつけてれば、巨人に見えなくもないな。あんたの気高さを知らない連中になら役立つかもな」

「この尻尾でばれるだろう」

「ハッハッハッ、そうだな! おお、この剣も持っていくといい」

柄が黒く銀色に輝く剣を構える。

「でかい剣だな」

「ウェアウルフの戦士用だろう」

「モー、あんたは元々、ウェアウルフに対して理解があるように思える」

「もちろんだ。こう言ってはなんだが、最初は恐怖どころか興味すら微塵もなかった。さっきも言ったように、遺跡の一件で俺の考えが変わったんだ。今思えば良かったことだよな。他の住人たちを見れば、少し哀れに思えてくるからな」

「誰が哀れだって?」

教会前でモーと話していた人間の男がやってきた。

「お前じゃないのは確かだな」

「ハッ! おう、ウェアウルフさんよ。随分と決まってるじゃないか。その剣で 吸血鬼たちをズタズタにしてやってくれ」

「ああ」

「モー、早く炉を頼む。家屋の修繕にはあんたの作った最高の蝶番や釘が必要なんだからな」

「分かってる。行くよ」

モー達と外へ出る。

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