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【完結】ソラヌスの遠吠えⅠ狼子  作者: 逆立ちハムスター


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14/27

14

◦急がば……。



周囲を警戒しながら走り、街へ急ぐ。

暫く行くと脇道に止まっている馬車が見えてきた。

いつでも剣を抜けるよう身構える。

足を止め歩き、ゆっくりと向かい、警戒しながら慎重に進む。

種族が2人。内1人はドワーフ。

近付くと、馬車の車輪を見て髭を触っていたドワーフがこちらを向く。

ドワーフにしてはどこかおかしい。

ドワーフらしき青い服を身に着けた男が俺を見てくる。

相手の出方を伺う。

「な、なあ……あんた。私達に何か用なのか?」

もう一人の種族が馬車の前に屈んで隠れ、恐らく武器を手に持っている。

「いいや。カイスターに向かっているだけだ」

「そ、そうか……」

「車輪が外れたのか?」

「ああ……」


〘⇄〙「直してやる」


「いや……ああ、まあ……頼む」

ドワーフらしき男が不自然に後ろに手を回している。

「手を見えるところに出しておけ。面倒起こすつもりなら他を当たれ」

「分かった。分かったよ。何もしない」

ドワーフらしき男が両手を上げる。

ローゼをそっと降ろし、警戒しながら馬車へ向かう。

外れた車輪を取り、馬車をもう一方の手で持ち上げはめていく。

積荷は縁が錆びた鏡、割れた皿、折れた蝋燭など、ガラクタばかりに見える。

「ガラクタばかりだな」

「まあな。だが私は宝物って呼んでる」

「そうか」

車輪をはめ終わる。

「おい、動くな盗賊め!!」

若い人間の男が震える手で剣を構え、俺に向けている。

すぐさま剣身を掴んで取り上げ、地面に投げ捨てる。

急いでローゼの元へ戻り、ローゼを背負う。

荷物を手にカイスターへ急ぐ。

「な、なあ! あんた!」

ドワーフらしき男が呼び止めてくる。

「馬車は直しただろ」

「そうじゃなくて、カイスターは左の道だ」

「あの野郎」始末して正解だったな「助かる」

「こ、こちらこそ」

若い人間の男が剣を拾おうとしていたが、俺が道を戻ると慌てて馬車の裏へ隠れていった。

分かれ道まで急いで戻り、左の道を行く。

カイスターに急がなければ。



◦深き心



暫く走っていると、馬に乗った種族2人が見えてきた。

俺の鎧の音に気づいたのか、馬を止めて 手綱を引き、剣を抜いてこちらを向く。

歩きに変え、ゆっくり進む。

1人は軽装の変わった肌の色をしたエルフ。

もう1人は重装備の種族。兵士だろうか。

「カイスターに向かっているだけだ!」

「走って来ていたからな! こちらも警戒せざる得なかった!」

街道の端を通り過ぎる際、軽装の革鎧に茶色い外套を羽織ったエルフの男の方が、背にいるローゼを覗いてくる。

「具合が悪そうだな」

「いいや、平気だ」

「ゲホッ、ゲホッ」

「私は医者だ。良かったら診ようか?」

兵士らしき男がエルフの方を向いて、首を横に振った。

「いいや、いい」

「そうか。気を付けてな」

背後から小声の会話が聞こえてくる。

「厄介ごとを増やさないでもらいたい。ただでさえここら辺は危険が多い」

「私は医者だ。病人がいたのなら、誰だろうと放って置けない」

「それじゃあ長生きできない。あなたには生きて多くを救ってもらわないと」

ローゼが言っていた。カイスターなら確実に医者がいる。

他の奴は信用できない。

俺は集落の一件で浮かれすぎていた。

森で過ごしていたとき同様、気を抜いたら殺される。

常に警戒しなくては。

ようやく明るくなってきた。

だが日が昇り始めた薄暗いうちに、いつも眠りについてしまう。

こんなに明るい外で、しかも森以外を歩いているなんて……やはりどうも慣れない。

だがおかげで警戒心がいつもより働いてる気がする。

その後ようやくカイスターが見えてきた。

デストリエより早いこの体に感謝だ。

空を見上げる。

「ソラヌスよ」

再びカイスターを目指して進む。

一度だけ帝国の都に行ったことがあるが、それよりは少し落ち着いている雰囲気だ。

あそこほど物々しくはない。

荷物を置き、ローゼをそっと降ろして、街道の側にある一番大きな木のてっぺんまで登る。

あの集落とは大違いだ。

街全体が壁で囲まれている。それほど高くはないが、それでもかなり堅牢そうだ。

櫓もあちこちに立っている。

あの地面に埋まっている変な建物はなんだ? 小さい窓がついているだけだが……。

よく見ると窓から何かが出ているな。あれはバリスタか?

櫓同様、不用意に近づかない方が良さそうだ。

木を降り、再びローゼを背負う。

「はぁ〜」

それにしても種族が多かった。

背負うローゼの顔を見る。

ローゼ、本当に大丈夫なんだろうな。

「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ」

行くしかない。


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