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シンディの運転する車がドクターの住居に到着する。変わり映えのしない荒廃した景色の中にぽつんと建っているドクターの住居は先日訪れた時とは違い正面入り口のシャッターが既に上がっており、中には入れるようになっていた。布に包まれたロボットの残骸を抱えたアダムがシンディに先導され中に入ると診療スペースの受付に腰掛けていたドクターが扉の開く音に顔を上げた。
「いらっしゃ~い、待ってたで。それが例のロボットかいな?ちょっと置いてみ。」
にこやかに二人を迎え入れたドクターは床にロボットの残骸を置くように指示すると布をめくって中を確認する。
「ほぉ~見事に両断したんやねぇ。大したもんや、これをバラして売れそうな物を見繕えばいいん?」
「あぁ、そうだ。初めての事なんで分からないんだがこういった物を分解するのは大変なのか?」
物珍しそうに残骸についた様々な傷を眺めていたドクターはその言葉に白衣を勢いよく翻らせならが振り向くと自信有り気に胸を張る。
「大した物でも無いしこれぐらいでいいなら、一、二時間もあれば大体のパーツは取り外せると思うで?待ってる間にアダム兄さんは体力測定でもしといてくれたらいいと思うけど、シンディちゃんはどうする?」
「相変わらずバカげた作業速度だねぇ。ま、せっかくだから私もアダムさんの様子を見守っておくよ。優秀なスカベンジャーの体力がどれ程かも気になるしね。」
呆れたように肩を竦めるシンディの様子に普通の技術者に頼めば更に時間が掛かるのだろうかと疑問が浮かんだがアダムはそれを口にする事はしなかった。それよりも体力測定とやらが頭に引っかかっていた。地下のスペースを含めるとドクター一人で住むには広すぎると言える住居ではあるが、一つ一つの部屋はこじんまりとしており様々な機材が置かれており身体を動かすようなスペースがあるとも思えなかった。
「あいよーそしたらまず作業部屋にそれ持って行って貰おかな、その後に体力測定できる部屋に案内するわ。」
迷いなく案内するドクターの様子にはてなマークを浮かべながらもその後に続くとやはり地下へと降りていく幾つか並ぶ部屋の中の一つに入ると中央の作業台に残骸を置くように指示される。作業台の周りに使い道の分からない機械が幾つも並んでおり、これらの機械を使って分解するのだろうかと考えながらもアダムは作業台の上にロボットの残骸を並べた。
「あ、ついでに体力測定の邪魔になるし腰の剣も預かっとくわ。一緒に置いといてな。」
部屋の入り口からドクターに掛けられたその声に何も疑問に思う事無く腰の剣を外すと一緒に作業台の上に置く。それを見て目をキラリと光らせたドクターだったが、すぐにそれを消すと足取り軽く次の部屋へと案内を始める。後ろに続く二人は特に疑問を持たずについていき案内されるまま次の部屋へ入る。他の部屋と同じように飾りっ気のない部屋には、いくつもの端末とモニターが並んでいて部屋の中央には大きな椅子のような物が設置されている。
「この部屋で体力測定をするのか?スペースがあるとも思えないが?」
「まぁまぁ、やってみたら分かるし取り合えずその椅子に座ってえな。」
流石に不信感を表すアダムに笑いかけるとそう指示をするドクターは端末の一つを操作し始める。目まぐるしく画面が切り替わり何らかの操作がされている事は分かったが、慣れない画面を眺めていると目がチカチカするような気がしてアダムは大人しく大きな椅子へと腰掛ける。
「そしたら、シンディちゃんこれ兄さんに被せてあげてー。設定終わったらこのモニターで測定の様子は見れるようになるし待っといてや。」
ドクターに手渡されたヘルメット状の装置を持って来たシンディに手渡されたそれをまじまじと見つめるが細々とした機械がついてはいるがそれを被ったところでどうにかなるとは思えなかった。
「心配しなくてもそんな危険な物じゃ無いよ。安心して付けな。」
「良く分からんがこれもどうせ戦前の技術なんだろう?何となく分かってきたぞ。」
「察しがいいじゃない、分かってるならそれでいいのさ。」
その言葉に一つため息を付いて装置を頭に付けるアダムだったが、装着した瞬間から違和感が走る。自らの頭にフィットするように装置が生きているかの様に胎動しサイズを変える。それと同時に視界に文字の羅列が流れ出す。似たような物は官営武器店で装着したが、こちらはそれよりもしっかりしている分何ら補助の道具も必要無いようだった。
「それで?ここからどうすればいいんだ?」
「こっちの設定はもうすぐ終わるからリラックスしてもうちょっとだけ待ってやー。」
ドクターは簡単そうにそう言うが視界を流れる文字列にリラックスする事は出来そうに無いアダムはさっさと設定が終わる事を祈る事にする。




