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「もしもし?私だよ。今大丈夫かい?ちょっと頼みたいことがあってね。」
アダムの願いが通じたのかタイミングが良かったのか分からないが、前回の事が嘘のようにすんなりと通話に成功したようでシンディの声が聞こえて来る。
「私の所にロボットの残骸が持ち込まれてね。アンタにバラして貰えないかと思って連絡したんだけど、今手は空いてるかい?何?誰が持ち込んだって?」
シンディはちらりとアダムの方を見るとドクターに言ってしまっても良いかと目で訴えかけて来る。隠していても両断されたロボットの残骸を見れば自ずと自分がやったことは分かるだろうと自覚するアダムはこくりと頷く。
「持ち込んだのはこの間連れて行ったアダムさんだよ。ミュータントの巣がロボットに襲われていた所に出くわしたそうでね。そこで群れと一緒に交戦して運よく倒せたんだってさ。そう。大丈夫なんだね?分かったよ伝えとくからよろしくね。」
あっさりと約束を取り付けると通話を終了するシンディはじっと見守っていたアダムににこりと笑みを向ける。
「すぐに捕まってよかったね。とりあえず家まで持っていったらバラしてくれるってさ、その代わりと言っては何だけど簡単な体力測定に付き合ってほしいんだってさ。」
「そんな物測って意味があるのか?その程度でいいなら俺としてはありがたいが。」
「さぁ?ドクターの考える事は理解できない事が多いからねぇ。私らには考えも及ばないような事をしようとしているかもしれないしただの思い付きかもしれないから何とも言えないけど、あの娘にしては珍しく話が早かったからいいじゃないか。」
それに関してはその通りで先日の事を考えると驚くほどスムーズに話が進んでいく、ドクターの意図は分からないが対した内容でも無さそうなのでアダムは特に気に留める事も無かった。
「じゃあ車出してあげるからそれドクターの家まで持って行こうよ。流石に外をそれ持って歩くのは目立つだろう?」
「まぁそうだな。この区画で警備員にも声を掛けられたしそうしてもらえるなら有難いな。」
「そりゃあ布に包んだって言っても怪しいモンだし当然だろうね・・・。じゃあすぐに出るとしようじゃないか。」
恐らく寝起きであろう事から身だしなみを整える時間があるだろうとアダムは勝手に考えていたがシンディは特に気にする様子もなくソファから立ち上がると迷いなく進んで行く、その動きに慌ててロボットの残骸に布を掛け持ち上げるとその後に続いた。そのままガレージに着くと止めてある彼女の愛車のトランクにロボットの残骸を積み込むと、助手席に回り乗り込んだ。
「流石に最初程緊張はしていないみたいだね。」
「大体前回でどんな物なのかは理解できたからな。速度を出し過ぎなければ問題は無いさ。それよりこのまま向かって大丈夫なのか?」
「うん?まぁそうだね。アダムさんの為にもセクシーな衣装に着替えてあげてもいいんだけど、ドクターがいつまで今の約束を覚えていられるか分からないからね。この間にみたいになるぐらいなら早めに向かった方がいいでしょ?」
アダムの口振りに少し不思議そうな表情を浮かべるが、寝起き同然の自分の恰好を思い出し合点がいったようにそういうシンディの言葉にはドクターとの付き合いの長さからくる実感が込められており彼女の苦労が伺える。
「俺も今のアンタの恰好の方がやりやすいし、そういう事ならさっさと向かうとするか。」
「あら?そうかい?本当は残念だと思ってるんじゃないのかい?」
いじわるそうな笑みを浮かべながら狭い車内でじゃれついてこようとするシンディを引きはがす。
「急いだほうがいいんだろう?ほら、さっさと出してくれ!」
「わかったわよ、しょうがないねぇ。まぁ時間が沢山出来たんだから私のいい所が見たければ酒場に来てくれればいいからね。」
ウインクをしながらゆっくりと車を発進させるシンディの楽し気な横顔を眺めながら、アダムは車が進んでいくのを感じていた。




