表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/89

75

 壁に立てかけられた時計の針の進む音がやけに大きく響くリビングでアダムは少し居心地悪そうにしながらも、シンディの考えが纏まるのを待っていた。この世界に来た当初に比べると随分と知識はついてはいるものの、複数の暴走機械が存在する可能性があるという事がどの程度の脅威なのかはアダムはイマイチ良く分かっていない。しかし目の前のシンディの様子から中々難しい状況に陥っているのでは無いかと推察できた。


(その存在が危ぶまれてすらいた脅威が突然姿を現したんだそりゃ対応に困るのも当然か、シンディの伝手とやらで呼ぶことが出来るスカベンジャー達だけで対応できるのならそれでいいが難しそうならかなりの大事になるかもしれないな。)


 ジャンクヤードの奥部を囲うように築かれている壁の中には様々な種類の暴走機械が封じられているらしい。そして今のところその壁の外で何が、何台動いているのかは正確には今も分かっていないようだ。だが、救援を呼ぼうとしていた事を考えると破壊に成功した機体以外にも複数の暴走機械が存在していると考えておいたがいいだろう。


(このロボットだけが相手なら武器さえあれば最悪俺一人でも対処出来るんだが、一機倒しただけで剣がダメになった事を考えると難しいだろうな。生物相手なら素手でも殴り倒せるんだが、流石にあの硬さ相手となるとなぁ。)


 如何に人並外れた膂力を誇るアダムであってもロボットを素手で破壊する事は現実的では無さそうであるが、あのクラスの装甲を持つ敵が複数いるとなると招集されるスカベンジャー達の数や練度もかなりの物のとなるだろう。彼らに支払う報酬の事を考えるとジャンクタウンの規模ではかなりの負担となるのではないかとアダムは考えており、黙り込んで考え込んでいるシンディの姿を見守っていた。


「ドクターにあのキューブを作り出したのがロボットだって聞いて薄々その可能性は考えていたけどどうやら間違いでは無かったみたいだね。難しい状況ではあるんだけど、暴走機械が複数いるのが確実なら色々やりようはあるからありがたいね。だ・け・どアダムさんが無茶したってのは間違い無いんだから、武器もダメにしたようだし、これ以降は絶対に大人しくしてもらうからね。下手に動いたら今後依頼を回さないからそこんとこよーく理解しておくんだね。」


「流石に武器を失ってまで無茶はしないさ、だが本当に大丈夫なのか?俺は幸運が重なって倒す事が出来たが、並のスカベンジャーの装備ではこのロボットの装甲を抜けないだろう?それほどの装備水準のスカベンジャーを呼び寄せるとなるとかなりの報酬を用意しないといけないんじゃないか?」


 重苦しい雰囲気を打ち払うかのように殊更に表情を明るくしながら語り掛けて来るシンディに頭に浮かんだ疑問を投げかけるが、特に気にする様子は見られなかった。


「この街の装備水準なら倒すのに苦労するだろうけど、所詮は民間施設に配備されているロボットだし戦闘力は低いからね。他の街で活動してきちんと装備を整えているスカベンジャーのチームなら苦労せずに倒せる相手だと思うよ。残骸も向こうの取り分って事にすれば十分な稼ぎになるだろうし、私の懐も痛まずに済むってもんさ。」


 全力が出せる環境に無いとはいえ手を焼いたあの装甲を簡単に抜くことが出来る装備が他の街では手に入れられるという事にアダムは少なからず驚きを覚える。タカシに銃という武器の初歩的な使い方とどういった銃の種類があるか等を教わり、どういった武器なのかはある程度理解していたが、それほどの攻撃力を秘めた物が存在しているとは思ってもみなかったのだ。


(装備水準が上がると随分と物騒な代物になるんだな。威力が高すぎやしないか?人間同士で争えば簡単に命を奪えてしまうだろうに。)


 極論ではあるがアキナのような銃の撃ち方を学び出した子供であってもその水準の装備さえ手に入れてしまえば、アダムの防御を抜きその身に届きうる牙を得ることが出来るという事である。長い間の研鑽を経て今の実力を身に着けたアダムからすると何ともゾッとする話ではあるが、それだけの攻撃力が必要な相手もまた存在しているという事なのだろう。尚の事装備を整える事の重要性を感じ取るアダムは、目の前の残骸へと視線を向ける。


「その辺りの事はよく分からなかったがそうい事なら問題無いか。なら俺も早い所コイツを処分して装備を整えないとな。」


「分解だけならドクターが出来るだろうけど、換金するのは大変かもしれないよ。今のジャンクタウンじゃそんな大金用意できる所官営店の連中しかいないだろうし。」


「そういう物なのか?何かこういった物に使える伝手を持っていたりしないのか?」


「キャラバンの連中に話を付けてあげる事も出来るけど、この間寄ったところだから次に来るのはいつになるか分からないよ。分解をドクターに頼む気ならその時にあの娘に聞いた方がいいかもね。研究者同士の繋がりで引き取り手を探してくれるかもしれないよ?」


「分かった。今頼りに出来るのはアンタしかいないからな。ドクターに聞いてみる事にするよ。手間取らせて悪いんだがドクターにつないで貰ってもいいか?」


 アダムの言葉に頷くとシンディは情報端末を取り出すとドクターに連絡を試みる。その様子を見ながら今回はすぐに繋がればいいなと願いながらアダムは力を抜くとソファに深く体を預ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ