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 シンディと共にドクターの家へ行ってから数日程経ったある日の朝、いつものように探索へ出かける準備をしていると、扉が乱暴にノックされた。


いったい誰だろうかと扉を開けると、そこには三馬鹿と呼ばれる事もある子供たちの姿があった。三人は一人一つずつ大事そうに直径5㎝程のボール状の物を持っていた。


「おっちゃんが出かける前でよかったよ。とりあえずこれ、試作品だけど出来たから試してみてくれよ。」


 リーダー格のマサがそう言って差し出してきたのは、アダムを苦しめた悪戯道具を巨大化させたものだった。


「上手く破裂するようにはできたと思うけど大きくなった分ちょっとした衝撃でも割れるかも知れないから気を付けて下さい。」


「俺達も作ってる途中に破裂させて大変だったんだぜ。」


 マサに続くようにカズとヒロもそっとアダムに手渡してくる。手に取って見ると張り詰めた薄い膜のような物に包まれており粉末状の物がうっすらと確認できた。


「それの直撃をくらった俺はもっと大変な目にあったんだ、悪戯するのは構わないが今後は人に使う気のある道具は自分が実験台になってから試すんだな。」


 かなりひどい目にあった被害者に言われると三人はバツの悪そうな表情を浮かべている。


「とにかく探索に出たタイミングでこれは使ってみよう、問題なければ契約続行だ。」


「分かりました。材料はまだ残ってるから必要ならまた言ってください。」


 悪戯について何か追及されるかと思ったが特には無かった事に安心した様に息を一つ吐き頭を下げながらカズはそう答えると扉を閉めるとまずは取引が上手くいった事に胸を撫でおろした。


 部屋に残ったアダムは受け取った道具を手で弄びながらどのあたりに装着しようかと考えていたが、手に持った感触からベルトやポケットに装着するとちょっとした衝撃で破裂してしまいそうな予感がしていた。


(どうしたものかな、材料はよく分からんが目標にぶつければすぐに破裂しそうだという事は触っていて良く分かる。使うなら手に取りやすい位置に持っておきたいが・・・いっそ収納魔法の中にでも入れておくか?しかし誰かに使う所見られたらまずいか?)


 元の世界なら収納魔法は魔法の才があれば容量の差こそあれ誰でも習得でき、マナの消費もほとんどない便利な魔法だったが、この世界では勝手が違う、そもそも魔法というものが存在しない世界なので使用する場合は周りの目を気にしながら上手くバレないよう使う必要があった。


(上手くジャケットの内ポケットに入れている風に出来ないか?)


 部屋の中で一人動きを確認している姿はかなり怪しかったが本人は至って真剣でどの角度で使えばバレなさそうか真面目に考えていた。


「とりあえず一つは普通に付けておくか。」


 色々悩んだが、結局二つは収納魔法に収め、一つはバックパックのポケットに装着しておく事にした。


(収納魔法自体は元の世界での消費の軽さも幸いしてか、この世界でも使うのを躊躇う程の消費では無いしな。周りの目を気にしながら頻繁に使わなければまぁ問題はない・・・か?もう少し装備が整っていれば最悪戦前の技術だとか言えば誤魔化せそうなんだがな。)


 この世界の理解する事が出来ない程進んだ技術なら装備を整えたら最悪魔法を使ってもバレないのでは無いかと考えだしていたが、現状では流石に悪目立ちしそうなのであまり使うことは出来そうに無い。


(まぁ色々試してみればいいか。ジャンクヤードにはそう人もいないしな。)


 シンディから受けた依頼をこなすためにジャンクヤードの外周からミュータントの住む中層と言える辺りまで行ったり来たりを繰り返していたが他のスカベンジャーの姿が見えるのは外周部分までで中層まで行くと殆ど姿は見られなかった。今日も中層付近で探索する予定なのでミュータントと遭遇する可能性もありこの道具を使うチャンスもありそうだった。新たなおもちゃを手に入れた子供のような気分になっている自分に、我ながらどうかと思いながらも、少しソワソワしたまま部屋を出た。

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