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 髪をわずかに湿らせ、いかにも湯上りといった様子のアダムが食堂に戻ってくる。シャワーのために出て行った時とほとんど変わらない様子で、三人は揃って待ち構えていた。一応話は纏まったのか落ち着いた様子で戻ってきたアダムの姿を確認すると駆けよってくる。


「結論は出たようだな?」


「とりあえず今回は材料費と別に30クレジットくれればいいよ。もし使えそうな出来なら次からはもっと貰うけど別にそれでもいいだろ?」


「なら今回は諸々込みで180クレジットだな。商談成立だ。」


 ニカっと笑うと三人に向けて腕を差し出すが三人は意味が分からないのかまごまごしている。


「ほら、握手だよ握手いい物を作ってくれよ。」


 恐る恐る手を伸ばしてくるマサ、ヒロ、カズと、一人一人と順に握手を交わす。


「それでどうする?子供にとっては結構な大金だと思うが、素材の買い出しもお前たちで出来るか?

 朝の内なら俺も買い物に付き合えるから一緒に行った方がいいか?」


「始めは大人が付いて無いと舐められるかもしれないからおっちゃん暇だってんならついてきてよ。」


「そうか、分かった。準備してくるからもうしばらくしたらここで待っていてくれ。お前らも準備するものがあるなら用意しておいてくれよ。」


 話を聞くだけ聞いてさっさと自分の部屋へと踵を返すアダムは手を振りながら食堂を出て行った。残された三人は顔を見合わせヒソヒソ話始める。


「何も言わなかったからもっと貰ってもよかったんじゃねえの?」


「ヒロ・・・さっきのカズの話聞いてなかったのか?始めに貰ったクレジットに手を付けるより改良した道具を、材料費を抑えて作れるようになればさ。小遣いとは別に、材料費の差額分もクレジットにてゲット出来るんだよ。」


「聞いてたけど難しくてよくわかんねーよ。マサだって実際良く分かってねーだろ?」


「大丈夫だって二人共長い目で見れば絶対こっちの方が得だから。でも最初におっちゃんが求める物を作れないと上手くいかない可能性があるんだから頼むよ。」


 じゃれ合うようにして言いあっている二人を諭すカズは少し困っているような表情を浮かべている。


「上手く効果を落とさずに材料費を抑えられるかがカギなんだ、僕は手先が器用じゃないから作るのは君達に任せるしか無いんだから本当に頼んだからね。この作戦が成功したらもっと色んなことが出来るようになるんだから。」


「俺とヒロに任せろってちゃんとやるからさ、最初は普通に作ってみて俺たちの取り分を増やして貰わねーとな。色々試すのはそれからだ。」


「それはそうだけど僕らみたいな子供にこんな好条件を出してくれる人なんて他に居ないんだこのチャンスは絶対に逃がさないようにしないと。」


 三人の中では一番頭が回る故に物事を深刻に捉えがちなカズが気負いこんでいるように見えるがマサとヒロは気にし過ぎだと笑い飛ばす。


「カズは難しく考えすぎなんだよ!まずはやってみてから考えようぜ!」


「そうだよ!そもそも作れねーかもしれねーし!そん時は謝って終わりだろ。おっちゃんも気にしねえって。」


「それもそうだね。ちゃんとした物が作れたら考える事にするよ。」


 励ましが効いたのか表情を緩めたカズは二人に礼を言う。少し照れたようにいつもの事だから気にするなと答える様子から見て物事を悲観的に捉えやすいカズを残りの二人が励ますのはよくある事なのだろう。いつも三人で行動しているだけあって各々苦手な物を理解しているようで、お互いに苦手な物はフォローし合って日々過ごしているようだ。子供同士の話し合いが終わって少しすると、いつものスカベンジャー然とした装備を整えたアダムが戻ってくる。


「準備はいいか?いいなら出発するぞ。」


 その言葉に子供達は思い思いに答えるとアダムの後ろに続くようにぞろぞろと歩き出した。

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