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 それなりに急いで戻ってきたが、結局ジャンクタウンに戻ってきたのはすっかり陽が落ち辺りが暗くなってからだった。背中に背負うバックパックから伝わる重みを感じながら、文明の力によって照らされる通りを酒場を目指して歩いていく。やはり暗くなってくると人通りは少なくなり家路を急いでいる住人を除くと、一仕事終えて来たのかたむろするスカベンジャーの姿等も見受けられる。無論数少ないこの辺りの娯楽であるシンディがいる酒場に向かっている者も多く人の流れが出来ていた。アダム自身も途中経過の報告をするためにその流れに逆らう事無く進んで行く。人が吸い込まれている酒場は今日も盛況なようで近づくだけで喧騒が響いてくるのが分かる。


(とりあえず簡単に見つけた物の報告だけして営業の邪魔にならんようにだけはするか)


 そんなことを考えながら扉を開けると中の熱気がアダムの顔を打つ、先ほど来た時の静けさが嘘のような賑やかな店内はほぼ満席で人で溢れた店内を忙しそうに動き回っている従業員達の姿も見える。その中でも一際多い人だかりが出来ているのはシンディがいるであろうカウンターの周辺で席が空いて無くても立ったままで居座っている者がいる程だった。アダムもそう頻繁に夜の酒場に来るわけでは無いが毎度繰り広げられている光景を見てこれを捌いているシンディに頭が下がる思いがする。遠巻きに様子を眺めていても埒が明かないのは理解しているので、気は進まないが人だかりに近づいていく。


 カウンターの内側のいつもの位置でシンディが自分目当てにやってくるスカベンジャー達をいつも通りにこやかに捌いていると、自分の前に出来ている人の壁の向こうからこの辺りではほとんど見かけない金髪で長身の男が近づいてくるのが見える。時間的に調査を頼んだ地点を見てこれたのかは怪しいがともかく無事に戻ってきたことに安堵の表情を浮かべると手を振るようにして自分の元へ呼び寄せる。


「アダムさーん!報告だろう?こっちに来な!ほら、仕事の話をするんだアンタらはちょっとどきなって!」


 目の前に陣取る男たちを身振り手振りで追い払うとアダムの座る席を空けさせるシンディはアダムをそこへと案内する。退くように言われた男達もシンディに逆らう気は無いのかすごすごと下がっていくが、親し気に呼び寄せられたアダムの事を羨ましそうに眺めていた。針の筵のような視線を浴びながら、それでも空けられた席に腰を下ろす。迎えてくれたシンディは先ほどの姿とは大きく装いを変えており、露出こそ少ないが身体にピッタリとフィットし煽情的なシルエットが浮かび上がるドレスを身に纏って自信有り気に微笑んでいた。


「どうだい?似合ってるだろう?」


「そうだなよく似合ってるよ、あんたを目当てに男共が群がってくる理由が良ーく分かるよ。」


「そうだろうそうだろう。アタシの魅力を理解してくれてうれしいよ。それで?調査地点を回る事はできたのかい?」


 アダムの返答に笑みを深くしながらもシンディは少し身を乗り出し囁くように問いかけて来る。その問いに答えるようにバックパックの中から拾ってきた箱状の物を取り出す。


「一応端末のマップ通り進んだし、スカベンジャーが建てた看板も見つけて周辺を探索してきたが、見つけられたのはこれだけだな。このサイズの物はいくつか転がっていたが、他は撮影するだけにしておいた、後はもう一つこれよりデカいサイズの物を持ち帰ってきているがそれも確認するか?」


「これ以外にはなにも見つけられなかったって言うのかい?」


 ぺちぺちとアダムが置いた物を叩いたシンディはそのひやりとした感触に少し眉を顰めながら眺めてみるがこれが一体何なのかは分からない様だった。


「あぁ、戦闘の痕跡もスカベンジャーの亡骸や遺品も見つからなかったし、危険そうな場所は見当たらなかったがな。本当にあそこであっているのか疑いたいぐらいだったぞ。」


「そりゃ本当かい?場所についてはかなり正確に調査したつもりだったんだけどねぇ?アタシもこんな物は見た事無いし、気は進まないけど専門家に調べて貰った方がいいかもね。」


「こんなものを調べてくれる専門家なんてものがいるのか?」


 アダムの居た世界にも鑑定魔法を使ってダンジョン等から見つかるアーティファクトの効果などを調べる専門家が存在していたが、似たような役割の者がこの世界にいるという事に驚きを見せる。


「この街の北の外れに住み着いてるドクターなんだけど医者としても研究者としても一流なんだけど、相当な変わり者でね。出来れば手を借りるのは最後の手段したいんだけどこればっかりはしょうがないかねぇ・・・。」


「他にこれについて分かりそうな人が居ないならそのドクターに頼るしか無いんじゃないか?」


 余程気乗りしないのかうーんと唸っているシンディだったが結局はその方法しか無さそうだと諦める。


「分かった、とりあえず興味を示すかも分からないしちょっと連絡を取って見る事にするよ。アダムさん晩御飯まだよね?時間かかるかもしれないからちょっと食事でもして待ってておくれよ。後ろのあいつ等視線が気になるなら二階の個室使ってていいからさ。」


 そう言って二階の個室のキーと差し出してくる。それをアダムが受け取るとシンディは自分の情報端末を手に取り裏へと引っ込んでいく。シンディが引っ込んでしまったために後ろから突き刺さる視線から逃げるようにアダムは二階へと続く階段を駆け上がっていった。

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