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孤児院を後にしたアダムはというと官営武具店へと足を延ばしていた。呼び出しを受けているとはいえ酒場のオーナーであるシンディは深夜まで店を切り盛りしており日の高い時間に店に詰めている事は殆ど無い。そのため今後必要になって来るであろう情報端末の事を先に調べておこうと考えての事だった。


「いらっしゃいませ。おや、アダムさん再びのご来店ありがとうございます。その後当店の品の使い心地は如何ですか?」


 何時通りかかっても変わらずに道行く人を警戒している警備員の男の脇を通りアダムが扉を開け店内に入ったとほぼ同時にカウンターに座り暇そうに頬杖をついていた店員の男がパッと表情を明るくして大袈裟に出迎えてくる。店内は相変わらず閑散としており、官営店とは言え多少経営が心配になる有様ではあった。


「あぁ、満足してるよ。今日は商品を買いに来たわけじゃ無く相談があって来たんだが構わないか?」


「何時でも閑古鳥が鳴いている店ですのでご来店いただけるだけでも万々歳ですよ。それでご相談というのは?」


「前回来させて貰ったときに情報端末も扱っていると言っていただろう?まだ買える程の値段が貯まっている訳では無いんだがどれぐらいの性能の物が幾らぐらいで取引されてるのか教えて貰おうと思ってな。」


「なるほど、当店でもメインで取り扱っている訳では無いのでさほど品数は多くは無いですが、取り扱ってる物の中から選りすぐりの商品を幾つか見繕ってお持ちしますよ。参考にしていただいていつか購入していただければ幸いです。少しお待ちくださいね。」


 そういうと席を外し店舗の片隅にある情報端末の販売スペースへ歩いていくとそのあたりで商品を探し出す。静かな店内に響く物音を聞きながら大人しく待っていると店員の男が戻ってくる。手にはいくつかの品を持っておりカウンターへと並べられていく。何やら珍妙な見た目の物も並べられているように見えるが店員の男は並べ終えるとアダムの向かいの席に座る。


「まずはこちらからいきましょうか。」


 そう言って並べられた品から最も小さな端末を手に取ると操作する。巡回依頼を受ける際に使った端末によく似た見た目をしており操作も同じように行うようだ。


「こちらは最も広まっている携帯型の情報端末の最新モデルでして、性能はこの後に紹介する他の品に比べると劣りますが操作のしやすさと値段の安さから様々な職業の方にご利用いただいております。最低限のマップ機能と連絡機能が搭載されており、都市の近くですとネットワークにも接続することが可能ですが、信号の強度はそれほど強くはないので、天候が悪い時や街から離れた遺構や遺跡に潜る際は機能が低下する可能性がありますので活動範囲が広いスカベンジャーの方にはあまりお勧めできないかもしれません。」


「なるほどな、機能が低下するとどうなるんだ?」


「こちらの端末ですと原因を取り除くまではほぼ使用不可の状態になってしまうでしょうね。ただこの辺りでそういった状況に陥るとしたらジャンクヤードの奥部に挑戦するか運悪く暴走機械に出会ってしまった時だと思うので心配する必要は無いと思いますよ。」


 そう言いながら手に持った端末を差し出してくる店員から受け取ると動作を確認するように動かしてみる。最新モデルというだけあって年期の入った酒場で使っていた物と比べると動作も軽く画面も見やすくなっていた。


「最低限の機能にあまり拡張性もありませんが入門編としてはおススメの品といった感じですね。お値段は12000クレジットとお買い求めやすいお値段となっております。」


(入門編とされる品でこの値段か。予想はしていたがやはり中々値が張るようだな。)


 腕を組むようにして考え込むアダムだったが、店員は気にすることなく次の商品の説明に移っていく。


「まだほかにもご用意していますので次の商品へ参りましょうか。」


 そう言って並べられた商品の中でも一際大きく手甲のような見た目をしている端末らしき物を取り出し自らの腕に装着する。手首から肘までを覆うようになっており先ほどの端末に比べると画面も大きく見やすくなっているが多少動きを阻害しそうな見た目をしている。


「こちらの品は先ほどの商品に比べて大きくなっている分先ほどの端末と比べると性能も格段と上がっておりまして。マップに加えて簡単な索敵機能も追加されており探索のお供としてご利用される方も多くいらっしゃいます。耐久性にも優れており、多少の防弾性能備えているため防具としてもお使い頂けます。更にバイタルサインを登録することができ、数値が危険域に達すると周辺に救難信号を発する事が出来ますので探索中に危機に陥った際も安心ですね。勿論信号の強度も上がっておりある程度のジャミングにも耐えることが出来ます。少し値は張りますが企業所属の警備部隊の装備に採用されており信頼性は高い品になります。」


「それで?値が張るって事は高いんだろう?」


「こちらは25000クレジットになります。」


 予想はしていたが跳ね上がっていく値段に何とも言えない表情を浮かべるアダムは目安にしようと思っていたとはいえ、当然だがこの辺りの汎用依頼を幾らかこなしたところですぐに届く金額では無い。


(アキナがここの品は高すぎるとぶつくさ言うのが良く分かるな。タカシ曰くこの辺りはジャンクヤードの奥部以外は周辺に残る遺構や遺跡もめぼしい物は残っておらず、この辺りの稼ぎで満足できなくなったものは更なる稼ぎを求めて別の街へ移るらしいからな。この店の品に手を出せる者は居なくなり閑古鳥が鳴くって訳か。)


「・・・なるほどな、この分だと残りの商品も値段は上げっていきそうだな。」


「そうですねぇ、お客様の参考に出来るように様々な価格帯の品をお持ちしましたのでお楽しみ下さい。」


 にこやかに告げて来る店員の言葉にこの後に紹介される品物がいくらであっても驚かないようにしようとアダムは自身の身体に力を入れると次の商品の説明を頼んだ。

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