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 苦しそうに顎が上がり荒い息を吐きながらも走り続けるアキナ、男子チームも四人交代で走ってはいるが何度も交代を重ねて走り続けているため辛そうにしている。そろそろ限界かなとアダムが考えていると隣に立っていたタカシが大きな声を上げる。


「そろそろ皆辛そうだから次の走者のヤス君が最終走者にするわね。疲れてるとは思うけど全力で走って頂戴ね、アキナちゃんは離されないように頑張るのよ~」


 その大きな声に辛そうに走っていた走者のマサに少し力が戻る、ゴールが見えずに走り続けていたが、終わりが明示された事によって開放感からペースが上がる。走り終えて項垂れるようにして息を整えていたヒロとカズも息を吹き返した様に応援を始めていた。アキナは苦しそうに顔を歪めながらもペースを上げようとするが足がついていかず徐々に差が広がっていく。


(訓練を始めたばかりにしては思ったよりも食い下がったな。大したもんだ。)


 アダムが感心している目の前で最後の走者のヤスが走り出す。四名の中で一番の年長で体力的にもまだ余裕があるようでタカシに言われた通りに快調に飛ばしていく。アキナとの差が見る見る開いていき最終的には半周以上の差がついてゴールする事となった。男子チームが集まって喜んでいる中、遅れるようにゴールしたアキナは地面に倒れこむと、そのまま空を見上げるように大の字に寝転がった。


「ナイスファイト、よく頑張ったな。」


 少しでも酸素を取り入れようと激しい呼吸を繰り返すアキナの元に用意されていた水の入ったボトルを持ってアダムがやってくる。差し出された水をひったくるように掴むと一息に半分ほど飲み干すと残りの半分は頭に振りかける。茹だった頭に水が染み渡り気持ちよさそうにしているアキナは水分を飛ばすように頭を振る。頭に残る水分が陽の光に照らされながらキラキラと辺りを舞う。


「あんがとオッサン...気が利くじゃん...」


 息も絶え絶えというような様子だが弱弱しい笑みを浮かべる。


「減らず口が叩けるなら大丈夫そうじゃないか、訓練の成果が出てるようだな。」


「そろそろ...あいつらには勝てるかなって...思ったんだけどな...」


伏し目がちに地面を見つめ指先で土を弄りながらアキナが言う。


「訓練を始めてまだ二週間なんだ、四人相手にあれだけ食い下がれれば十分だと思うぞ。」


 その言葉に少し顔を明るくしたアキナは自分の事を見下ろしてくるアダムの姿を見上げる。


「本当かなぁ?イマイチ実感ないや...」


「実感は無くても成果は付いて来るもんさ、初めは皆そんなもんなんだよ。」


 うんうんと物知り顔で頷いてるアダムを白けた目で見つめているとタカシが子供達を連れて近づいてくる。


「アキナちゃんよく頑張ったわね~手伝ってくれたり応援した皆にもちゃんとお礼を言っておくのよ。」


「「「そうだそうだ!付き合ってやった俺達に感謝しろー!」」」


 勝利した勢いそのままに調子に乗る三馬鹿と呼ばれる少年達は座り込むアキナを取り囲むと先ほどまでの疲れた様子が嘘のように賑やかに騒ぎだす。疲れ果てているアキナの事などお構いなしで騒いでいる少年たちを止めようとヤスやヒナが間に入ろうとして更に賑やかになっていく。収集がつけられなくなる前に両手を叩いてタカシが注目を集める。


「はいは~い静かにしなさ~い!今日はもうお庭での訓練は終わりだから見学しても意味ないわよ。だから解散しなさ~い。」


 訓練終了を告げるタカシの声に聞き分けよく返事をして離れていく子供達を見送ると残された二人にくるりと振り返る。


「それじゃ次の訓練を行う場所まで行きましょうか。」

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