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 良く晴れた心地よい昼下がり、営業中の酒場に一人の男がふらりと入ってくる。ここ最近、この酒場では見慣れた顔になりつつある男だった。男は迷いなくカウンターへ進むといつもの年配の女性従業員へ声を掛ける。


「おばちゃん巡回依頼済ませて来たぜ。ついでに犬二匹とネズミ四匹倒してきたから確認してくれ。」


 手に持った袋から、動物の物とみられる牙と尻尾と、巡回依頼用に借りていた端末を取り出しカウンターに並べる。


「あらアダムさん、もう巡回を終えて来たのかい。色々依頼をこなしてくれて助かるけど、貴方ちゃんと休みは取ってるのかい?初めてここに来てから二週間、連日依頼をこなしてくれてるけど疲れは無いのかい?」


 新米なら半日はかかるであろう距離の巡回依頼を数時間でこなした上で道中のミュータントも狩って戻ってきた働きづめのアダムに女性従業員は少し心配そうに声を掛ける。


「まぁ、体力には自信があるから心配はしないでくれ。実を言うと鈍っていた身体を動かした分調子はいいぐらいなんだ。」


 その精悍な顔を崩して笑っているアダムの姿に無理をしている様子は無く本心からそう言っているようだった。


「ならいいんだけど、無理だけはしないようにね。慣れてきた頃が一番危ないんだから!」


 依頼の処理をしながらも心配したように忠告してくれる女性従業員の言葉に、過去百年程度の間他人に心配された事など無かったアダムは自分の身を案じてくれているその言葉を嬉しく思っていた。


「全部で600クレジットになるけど、今日はどっちで支払えばいいんだい?」


「あまり現金で持ち歩いても問題もあるだろうから振り込みで頼む」


 従業員の女性はアダムの返答を聞くとカウンターの端末を操作しアダムの口座へと送金する。やはりアダムの目には不思議なものとして映るが、この二週間で苦労しながらも何度も同じようなやり取りは行っているためそういう物なのだろうとは理解できていた。手続きが完了したのを見届け、孤児院へ帰ろうとするアダムの背中に声が掛けられる。


「まっとくれよアダムさん、シンディからの伝言があってね。今度時間がある時にでも顔を見せてほしいそうだよ。」


 その言葉に少し足を止めたがすぐに振り返ると


「依頼をこなし続けて金を貯めてはいるがそう何度も酒場で散財できるほど懐は暖かくはないんだ

 売り上げには貢献できないから他を当たってくれと伝えておいてくれ。」


 酒場のオーナーシンディからの伝言を、にべもなく断るとそのまま出て行こうとするが、更に言葉が投げられる。


「本当にいいのかい?あの娘の言い方じゃあ、仕事の話かもしれないよ?アダムさんの頑張りに免じて依頼を回そうかとしているかもしれないのにもったいないねぇ、私ならこのチャンスは逃さないよ。」


 振り返る事無く進んで行くアダムの背に、ダメ押しのようにあーもったいないもったいないと大袈裟な独り言が聞こえて来る。


「分かった分かった。今日は用事があるから恐らく無理だがまた近い内に顔を出すようにするからシンディにそう伝えといてくれ」


 うんざりした様に肩を落として出ていくアダムから求めていた返答を得られた女性従業員は、いい報告が出来そうだと笑みを浮かべながら酒場を出ていくアダムの姿を見送った。



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