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 嵐のような食事を終えると子供たちは揃って入浴の時間らしく風呂場へと向かっていった。アダムはというと食堂に残りタカシの晩酌に付き合っていた。


「今日一日この辺りを回ってみてどうだった?馴染めそうか?」


「山奥とは随分勝手が違って戸惑う事もあるが、なんとかやっていく事は出来そうだな。ところで街を案内してもらってる時に出会った露店商が俺の姿を見てアライアンスがどうこう言ってたんだがアキナは聞いたことない言葉らしいんだが院長は何か心当たりはあるか?」


 その言葉にタカシは少し眉を上げると少し沈黙したが、一つ大きな息を吐くと口を開いた。


「アライアンスってのはな最終戦争前にこの国に駐留してた友好国の軍人を祖に持つ集団でな、当時の兵器をかなりの数所有してるらしい、元軍人らしく鉄の結束と高い練度で治安の維持から後ろ暗い仕事、挙句の果てにはスカベンジャーのような遺品集めまで手広くやってる傭兵集団みたいなもんだ。敵対した者には容赦はしないから恐れらているが、基本的には話の分かる奴が多いらしい。他国の血を引くものが多いんで、黒髪黒目が多いこの国の人間に比べるとお前さんのように明るい髪色や瞳の色をしている者が多いから勘違いされたんだろう。」


「なるほどな、だがそれしか判別方法がないなら成り済ます事も出来るんじゃないか?」


「そりゃそうさ昔っから髪色や瞳の色を変えて成り済まそうと試みる奴はいるんだが、そもそも実力やら装備が違いすぎてすぐにバレるからな。稀にバレずに上手くやる奴が居たとしても軌道に乗り出す頃には消えちまうのさ、そういうやつらが出るたびに本物のアライアンスに消されたんじゃないかと噂になるんだ。お前さんも勘違いされて消されないように気を付けろよ。」


 酒を呷りながら楽しそうに笑うタカシは苦い顔しているアダムの背中をバシバシと叩く。


「冗談だよ、自分でアライアンスのメンバーだと吹聴して金儲けでもしない限りあいつらも出張って来やしねえって。」


 楽しそうにしているタカシとは違い、数々の揉め事に巻き込まれてきた経験上あまりいい予感はしなかったが、要は無茶をせずに目立たなければ問題ない訳だと自分に言い聞かせるアダムは勧められた酒を一息に飲み干す。思いの外強いアルコールが喉を通り身体が熱くなる。


「お、中々いける口じゃないか。嫌な事や不安な事はアルコールで洗い流すのが一番だぜ。まぁ子供たちの手前あんまり羽目を外しすぎる事はできんがな。」


「その辺りの事は流石に心得てるさ。羽目を外したければ酒場にでも厄介になるよ。」


「まぁそれが一番だな、あそこならついでに何かしら情報も得られるだろうし、ユリナも今となってはこの辺りの依頼を纏める顔役だからな、顔を見せて仲良くなっておくのも大事だぞ。」


 タカシはうんうん、と一人納得したように頷きながらアダムのグラスに酒を注ぐ。


「今日の帰りに寄ったときはシンディって美人が店のオーナーだと言ってたがそのユリナってのはあの年配の女性従業員の事か?」


 注がれた酒を飲みながらアダムの上げた疑問の声に何か不味い事でもあったのか呷った酒を吹き出しそうになったタカシは辛うじて飲み込むと苦しそうに咳き込んだ。暫くして落ち着きはしたが先ほどまで上機嫌で少し顔を赤らめていた表情は今は少し血の気が引いているようだった。


「すまん!今の発言は忘れてくれ。酒場に勤めてる時のアイツはシンディだ。ユリナは本名でな、公私はキッチリ分けるつって源氏名を使ってるんだ。俺がバラしたとバレたらヘソ曲げられて格安で酒を流してもらえなくなる!頼むから聞いてなかったことにしてくれ!」


 拝み倒すように懇願してくる哀愁漂うその姿に可笑しさを感じながらも子供たちの世話を焼くタカシの姿を見るに晩酌のための酒類は数少ない自分の為に使う嗜好品なのであろうと推察したアダムは聞かなかった事にすると伝える。その言葉に礼を言いながら手に取ったアダムの手をぶんぶんと振り回した。


 晩酌を続けていると風呂場の方から騒がしい音が聞こえてくる。少ししてからドタドタ走ってきたとマサ、ヒロ、カズの三人が食堂の前を通り過ぎていく。その少し後ろをアキナが追いかけて行った。口々に言い争いながら走り回っているようで、離れていっても喧騒が聞こえてくる。


「また悪ガキどもが何かしでかしたみたいだな、俺はエスカレートして喧嘩になる前に止めてくるからお前さんは自由にやっといてくれ。もう飲まないってんなら酒瓶は子供たちの手が届かないキッチンの一番高い所にある棚に戻しておいてくれ。」


 そう言い残すと席を立ち、子供たちが走り去っていった方へと小走りで駆けていくタカシの喧嘩はダメよ~という遠ざかっていく声を聞きながらアダムはグラスに残った酒を飲みほした。


「とりあえず片付けるとしよう。」

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