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 アダムが孤児院に帰ってくると明かりが漏れる孤児院の玄関脇に小柄な人影が見える。遠目からでは判別できなかったが、近づくにつれそれがアキナだという事が分かった。


「わざわざ待っててくれたのか?悪い事をしたな。」


 思わぬアクシデントで帰ってくるのが少し遅れた事に申し訳なさそうにしているアダムにアキナは大丈夫だと言いたげに笑顔を見せる。


「そろそろ帰って来るかなと思ってついさっき出て来た所だから気にしなくていいって!院長だってまだ晩御飯作ってる所だし丁度いいぐらいだよ。それで?オッサン依頼は上手くこなせたの?」


アキナの言葉に頷くと依頼の報酬として受け取った硬貨を差し出して見せる。


「上手くこなせたかどうかは分からんがとりあえず150クレジットは手に入れたぞ。」


「やるじゃん!やっぱオッサン強いんだなぁ、アタシも頑張らなきゃ。」


「いや、今日俺は盛大にミスしたからな、とても褒められたもんじゃないぞ。」


 そう答えるアダムの話を信じていないのか、ほんとかなー?と笑いながら玄関を開け中に入るアキナ食事の用意ができるまでに紹介を済ませたいと食堂へと案内される。食堂には既に子供たちが集まっていたようで、昨日一応紹介されたヤスとヒナよりも更に幼い子供たちも何名かで纏まって談笑していたり、食卓に座り大人しく読書をしたりと思い思いに過ごしているようだ。そんな中アキナに連れられ食堂へと入ってきたアダムに好奇の視線が向けられる。


「とりあえず紹介からしちゃおうか、そこの三人組は右からマサ、ヒロ、カズね、マサには昨日会ったと思うけど、コイツ等は大体いつでも三人一組で行動してしょうもない悪戯を仕掛けて回ったりしてる悪ガキだからあんまり気にしなくていいよ。そこで本を読んでるのはノゾミちゃんこの中では一番の年下だよ。大人しくていい子だから優しくしてあげてね。後は院長のせいで昨日しっかり紹介できなかったヤスとヒナね。アタシの次に年嵩で今は院長を手伝って孤児院の管理やチビ達の面倒を見たりしてくれてるんだ。基本的にはいい子達だよ基本的にはね。だからもし困ってたら手伝ってやってよ。」


 昨日孤児院の玄関で遭遇したマサと同年代と見られる眼鏡を掛けたカズと呼ばれた少年と三名の中では一番小柄で快活そうなヒロと呼ばれた少年と合わせて三名一纏めで明らかにぞんざいな紹介をされてしまった。三人組は納得いかなそうに抗議の声をあげているがアキナにうるさい!一喝されて黙り込んでしまう。少しかわいそうに思えたが、見慣れた光景なのか他の子供たちは特に気にする様子も無かった。


「まぁ、これからしばらく世話になるアダム・パーカーだ、よろしく頼む。探索に出ている時以外なら時間はあるので何か手伝ってほしい事があれば何でも言ってくれ。」


 アダムがそう言うとはーい!と元気よく返事をした子供達の声に合わせるようにキッチンへの扉が開きタカシが姿を現す。


「席に着きなさ~い!今日はご馳走よ~アキナちゃんとアダムちゃんに感謝しながらよ~く味わって食べるのよ。」


 両手に豪勢な料理を乗せた大皿を抱えながら歩いてくるタカシの姿を見て子供達から歓声が上がる。我先にと食卓へ着き、タカシが持ってくる料理を待ち構える。


「まだまだ用意してるから、そんなに慌てなくて大丈夫よ。ゆ~っくりお食べなさい。」


 食卓に大皿を並べると我先にと料理に飛びついていく子供達の勢いに押され凄まじい勢いで大皿の上の料理が減っていくのを眺めているとアダムの服の裾が遠慮がちに引っ張られる。


「あげる」


 振り向いたアダムに料理の乗った取り皿を差し出したのは、先ほど紹介されたノゾミだった。目深にかぶったフードで表情は伺い知れないが、勢いに圧倒されていたアダム気遣って料理を取り分けてくれたようだ。


「あぁ、すまない態々俺の為に取り分けてくれたんだな、ありがとう。」


「いい」


 持ってきた料理を受け取ったアダムに謝意を伝えられ、ノゾミは言葉は少ないながらも少し嬉しそうにはにかむと自分の席へと戻っていった。食事の世話をしながらもその様子を微笑ましそうに眺めていたタカシは、男の子達とやり合いながらガツガツと食事を続けるアキナをちらりと眺めてため息をついた。


「アキナちゃん貴女も少しはノゾミちゃんの優しさを見習わないとお嫁にいけないわよ。」


 食事に夢中だったアキナは何の事を言われているか分からなかったがとりあえず生返事だけは返しておいたがタカシはその様子に大きくため息を吐くと頭を振った。

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