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「最後の商品はこちらになります。これは充電式で使う剣でして、刀身部分は充電された電力を元に形成されます。起動時にこちらの柄の部分で出力を選択できます。低出力モードで起動しますと切断すると言うよりかは、刀身を叩きつけて相手を痺れさせることが可能です。対人戦闘でお使いいただけるとご満足頂けるかと。更に高出力モードで起動しますと威力も上がり中型の暴走機械までなら有効打を与えることができます。そしてなんと!今は起動できませんが、フルチャージ状態でのみ使うことができる最高出力での一撃は装甲で覆われた戦闘用車両でも大破状態に出来るほどの高威力の斬撃を放つことが出来る優れものでございます。」
「それで?これの欠点はなんだよ、どうせあるんだろ?」
ジト目で睨んでくるアキナの反応を見ながらご名答!と楽しそうに笑う店員の男は説明を続ける。
「こちらの商品はフルチャージするには膨大な電力を必要でして、大型の発電機でも使わない限りフルチャージすることは出来ません。正しく運用できれば値段も手頃で非常に強力な武器となるんですが、一般人レベルでは運用することが出来ずに使い捨ての武器になってしまうという所でしょうか。」
「なんだよそれ!大型発電機なんて個人で持ってる奴なんていないだろ!この店ロクなもん置いてねーじゃんもっとマシな物ねーのかよ!」
「そうは言われましてもねぇ、元々近接武器は人気が無い上に売れ残って倉庫に残ってる商品ですから・・・残りの商品は更に使い道の無い物ばかりですよ。こちらがこの収納ボックスに納められている商品の一覧ですが御覧になりますか?」
そう言いながら端末を差し出してくる店員の男から端末を受け取るアダムだったが、操作方法が良く分からず戸惑っているとひょいっと隣から手が伸びアキナによって端末を奪われる。気になった物があれば教えてよ、と言うアキナに感謝しつつも端末を覗き込むとどうやら商品の見た目と値段が記されており選択すると詳細が分かるようになっているらしい。簡単な操作をアキナに教わりながら幾つかの商品を確認するものの、ピンとくるようなものは少なく落胆しかかけたその時、一つの商品が目にとまる。自身のよく知る剣によく似た見た目に惹かれアキナに声を掛けその品の詳細を見せてもらうと、店員の男に収納ボックスから取り出してほしいと頼んだ。
「あぁ・・・この商品ですか・・・こちらは企業製では無く組合製の両手剣ですね。組合と名乗ってはおりますが、名ばかりで実際は好き勝手に様々な物を作り出している自由人の集まりですね。腕は確かな人が多いんですがその時の気分や閃きで製作されるため、同じ品を作ってもかなりの当たり外れが存在しており、見た目からはその判断が出来ないため一部の酔狂人やロマンを求める方以外には疎遠されがちなんですよ。ちなみにそちらの剣のコンセプトは大昔に作られた物の再現らしいので一切の追加機能は無く見た目通りただの両手剣になります。」
そう言って取り出された両手剣を手に取りまじまじと見つめるアダム、余計な装飾等は施されていない。武骨な見た目のその剣は全長でおよそ1.5m程であり刀身は鈍く輝いていた。重量は自らのよく知る両手剣と比べてやや重く感じるが、自身の膂力であれば問題なく振るう事が出来るであろうと判断する。腰に佩ける程度の刀身の長さでバックパックなどを背負っていても動きを阻害しないことも確認できた。この世界の基準は分からないが自らの経験を元に考えると売れ残っているのが不思議なほどよく出来た剣だった。
「俺の目にはかなりいい品に見えるんだが、この品の値段は幾らぐらいなんだ?」
「おや?購入をご検討いただけるので?元はこの店に置かれるだけの値段での販売を希望されていたんですが、買い手も全く現れませんしこちらの判断に任せると言われていますので、お客様に購入いただけなければ倉庫の肥やしになってしまいますので、4000・・・いや3500クレジットでお譲りしますよ。」
ならその金額で、と事も無げに話すともたつきながらも支払いの準備を進めようとするアダムに飛び掛かるようにしてアキナが制止する。
「オッサンマジで買う気かよ!今日手に入れたオッサンの取り分の大半だぞ!考え直せって!」
端末をモタモタと操作しているアダムの腕を掴んで揺さぶって止めようとするアキナに困ったように笑いながらもその手を止める事無く処理を続行する。時折店員の男に教わりながらも何とか支払いを済ますことができた。
「あーあ、買っちゃったよアタシは止めたからね!後悔しても遅いから!」
「まぁ、見てろって、俺はこう見えても剣の扱いには自信があるからな。剣さえあれば怖いものなしってもんよ。」
勇者として身に着けた数ある戦闘技術の内でも最も使い慣れている武器を手に入れた事で、この世界の未知の技術に対しての対抗手段を手にしたことで戦闘面においては油断さえしなければそう後れを取ることは無いのではないかとアダムは考える。各種魔法を気軽に使えない事や戦前の技術という未知数の存在に対しての不安は残りはするが、かつて自らが倒してきた数々の強敵達と肩を並べるような脅威は世界を違えどもそう現れないだろうという経験に裏打ちされた自信でもあった。
傍から見ると根拠のない自信に満ち溢れているアダムの姿を見て、納得いかないようにブツブツ言っているアキナは、アダムに街の案内を再開してくれるように頼まれると不満そうにしながらも店員に礼を言い店を後にする。店の脇には来店時と変わらず警備の男が立っていたが、剣を背負って出てきたアダムの姿を一瞥するのみで周囲の警戒を続けていた。その姿を少し気にしながらも気を取り直した様にアキナは次の目的地を告げる。
「思ったより時間食っちゃったけど丁度いいから酒場に行って昼ごはんにしようよ。」




