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備え付けられた端末を使い互いに何度かやり取りをしてみた結果スタート地点は同じような物だったが年齢的なものなのかアキナの方が物覚えが良く今では問題無く扱えるようになっていた。一方アダムはというと慣れない技術に明らかに苦戦しており全てにおいてぎこちない動きを見せている。
「口座なんて使ってる人が最も多い戦前の技術の内の一つだってのは知ってたけど、あらためて説明されると意味が分かんないや。一応使える様になったからいいけどさ。」
「アキナはそうだろうが俺は使える気がしないぞ。考えれば考える程意味が分からなくなってくる・・・。」
先程までとは違いゲッソリとやつれてしまいしょぼくれてしまったアダムの様子を見て、自分の窮地を事も無げに対処し救ってくれた人物と同一人物にはまるで見えないその自信無さげな姿に耐えきれ無かったのかアキナは盛大に笑い出した。
「その顔面白いから止めろよ!さっきまでアタシだって似たようなもんだから一緒に頑張ったら大丈夫だって!」
すっかり萎びてしまったアダムに活を入れるアキナは励ます様に言葉を投げかける。
「そうだな、少し戦前の技術とやらに圧倒されてしまった。」
小柄な少女に励まされる大人の男という何とも情けない姿を晒しているアダムだがそれほどまでに戦前の技術の得体の知れ無さに衝撃を受けている。ジャンクタウンや孤児院で見かける道具や機械は世界が異なる事で微妙な差異が生まれていたが、それでも似たような物はアダムの世界にも存在している事もあり感覚的に使える物が多かったが、比較的この世界では使われているらしい戦前の技術である口座ですらそのような感覚は無かった。つまり他の戦前の技術もアダムの理解の及ばない可能性が高いということは容易に予想できた。
それどころか今日この店に訪れた際に店員の男の気配と姿を消していたスーツというのもその性能から戦前の技術を使っていると思われる。つまり日常だけでは無く戦闘面でも得体の知れない攻撃に晒される可能性があるという事だった。かなり田舎らしいこの街でそういった物に簡単に出会う事は無いだろうがその時の事を考えると憂鬱になるアダムは一つ大きくため息を吐いた。
「オッサン大丈夫?ある程度慣れたしそろそろ出ようか?」
深いため息を吐きながら打ちひしがれて黙り込んでいる様に見えるアダムの様子を伺うようにアキナが覗き込んでくる。
「あぁ、すまないな俺はこれ以上練習しても上手くならん気がするしそろそろ行くか。だがその前に近接武器が無いか店員の男に聞こうと思っていてな。もう少し付き合って貰っていいか?」
アダムのその言葉にアキナは一瞬苦虫を噛み潰したような顔をしたが了承すると店員の男の元へと戻っていく。二人が小部屋から出て戻ってくるのを見て暇そうにしていた店員の男は表情を明るくした。
「何かご入用ですか?それとも口座の操作で分からない所でもございましたか?」
「口座に関しては追々慣れていくから今はいいんだが、少し欲しい物があってな。近接戦闘用の武器何だがあの一角に置いてある物で全てなのか?出来ればもう少しリーチがあるような物があれば見せて貰いたいんだが。」
余程珍しい質問だったのか笑顔のまま少し動きを止めた店員の男だったが少し申し訳なさそうにしながらも口を開く。
「えーあるにはあるのですが。あまりにも売れる見込みが無くて倉庫にしまい込んでいるレベルの商品しかございませんよ?それでもよければお持ちしますが本当によろしいので?」
アダムがそれでも構わないと言うと店員の男は少し待っているようにと告げると店の奥へと入って行った。
「オッサン無理に近接武器買うぐらいなら大人しく貯金して銃買った方が絶対いいって!」
「俺は剣や槍と言ったような武器の方が使い慣れてるんだよ、使い慣れた武器を使った方がいいだろう?もしかしたら戦前の技術でとんでもない物が見れるかもしれないしな。」
そう言いながらも店頭に並ぶ品揃えの時点で近接武器の数は少なく期待できるような物が出てくるのは望み薄であろうとも思っていた。ナイフや格闘武器も扱えない訳では無いが、最も使い慣れている剣や槍といった物に近いリーチの武器が出てこればラッキー程度の提案だった。少し待っていると店員が箱のようなものを持って戻ってくる。
「おまたせしました今置いてあるのはこれぐらいですね、対人での近距離戦闘なら近接武器も使えない事もないですが、使いこなすにはかなりの技量が無いと使いこなせやせんし、ミュータントや暴走機械なんかには銃を使った方が楽だし安全ですよ?」
「ご忠告どうも、あいにくだが俺はこういう物しか使ったことが無くてな、一から銃を撃つより手に馴染む武器を使う方がいいだろうと思ってな。この中からおススメの物はあるか?」
「売れ残っている物なので全て癖のある品ばかりなんですがね・・・」
そう言いつつもいくつかの品を取り出し並べていく、ただの棒きれにしか見えない物や巨大なハンマー極めつけは剣は剣でも柄の部分しか無い物など珍妙な品々が並べられていく店員の男が言うように売れ残ってしまうのも頷けるような雰囲気を醸し出している。
「比較的マシなものはこの辺りになりますね、この棒は暴徒鎮圧用の装備ですね。これでも修復用ナノマシンが搭載されていまして、多少の傷などは一晩もあれば修復してくれます、硬度もそれなりの物で一定以上の耐久性はありますが、一度完全に折れてしまうと修復機能は働きません、使い手にもよるでしょうが暴走機械を相手にするのは難しいと思います。」
「折れたら使い物にならない棒切れなんて金出して買う人いるのかよ。」
「用途が限定されすぎているから売れ残ってるわけですね~次はこちらのハンマーになります。こちらは推進装置が内蔵されておりまして、装置を起動することによって攻撃速度を増幅させると共に相手に伝わる衝撃を数倍に増幅させることができます。威力は抜群でこれなら暴走機械もイチコロですよ。」
「説明を聞くだけだとそう悪くは聞こえないが何か不人気の理由があるのか?」
「増幅された状態で生身の人間がこのハンマーを振るうと肩が外れたり、下手をすると腕がもげたりする場合があるためサイボーグ化もしくは高性能の戦闘用スーツ、パワードスーツ着用の上での運用が推奨されております。もちろんそういった物をお使いになる方はこの辺りにはおりませんので倉庫に眠らせてある次第で。」
「ならオッサンも使えないじゃん!そんなもん勧めてくるなよな!」
プリプリと怒った様子を見せるアキナを落ち着くようにと宥めながら店員の男は最後の商品である剣の柄を握りしめて楽しそうに笑っていた。




