第40話 公国を襲う天災編その4 ちょろいリリ、先生の策略に乗せられる
前回のまであらすじ
いんせきがおちてきます。
たいへんあぶないのでおれがやっつけることになりましたが、すてきなせんせい(30さいどくしん)がつくったろけっとはかたみちきっぷでした。
おわり。
「……よし30歳ロリババア説明しろ」
「2つ目の質問……この棺桶でどこまで上がるんだ?」
衝撃から回復したオレは、イレーネへの尋問を再開する。
オレ達の命が掛かっているのだ。真剣にならざるを得ない。
「失礼だねリリ君。 今夜泣かすよ?」
「……そうだね、およそ上空5千キロ……エーテル粒子の影響は上空2万キロくらいから始まることが、近年の研究から分かっている」
「このくらいの場所にいれば、ある程度隕石も減速している……はずだ」
ぞくっ……イレーネの”今夜”という言葉に思わず寒気がしたが、上空5千キロか……おそらく、過去どの種族も到達したことのない世界……星界の一部と言ってもいいだろう。
めまいがしてきた。
「それじゃあ3つ目……その高度だと、おそらく呼吸可能な空気はないが、なぜ棺桶の窓にはガラスがハマってないんだ?」
先ほどから気になっていた。 魔導スペースシップ……棺桶の先端、3つの座席が設置されている部分に窓があるが、ガラスが無くむき出しになっている。
「それ、わたしも気になるんですが……ま、まさかわたしがクサいからって換気用の窓を開けたんですかっ!? 失礼な! いまは毎日高級香水をつけているのでクサくないですっ!」
「……いやサナ、心配する所が違う……窓が開いてたら、息できない」
「強度のある魔導ガラスは高くてね…………いや冗談だ、そんなに怒るな」
「星界では何があるか分からない……リリ君、キミの防御陣で守った方が安全だと考えている」
……絶対前者が本音だと思うが、オレの防御陣は鉄壁である。
理屈は分からなくもないが……。
「じゃ、アタシからも質問いい? 根本的な質問なんだけど」
「ふむ、問題ない……かわいい子だね……リリ君の新しい愛人かい?」
オレもそろそろツッコミに飽きてきた。
フィノ、お前からも言ってやれ!
「リリとサナはの席はわかるけど、3つ目の座席は何? もしかして、アタシも行くの?」
「……愛人二人を巻き込んでおけば、リリ君が本気を出すかなって」
「本気でヒドイ理由だ!?」
「……いや冗談だ。 リリ君、サナ君はおそらく激しく消耗するだろう……万一の時に脱出をサポートする人間が必要だ」
ホントかな……フィノの視線が疑り深いものになる。
いやまったく、時間が無いのはわかるが、見切り発車もいいところだ。
「……イレーネ。 申し訳ないが、やってられねーな……オレだけならまだしも、大事な愛人を危険にさらす可能性がある……少なくともこいつら二人について、安全性を見直してくれねーか?」
「……リリ様」
「……リリ」
「……わかった。 雑な計画で済まないね。 時間いっぱい努力すると約束しよう」
「ただ、本当にやるかは確約できない。 世界の人々も大切かもしれないが、オレはドラゴン……オレの大切なものをまずは守りたい」
……かっこつけて、いい話風にまとめてみたが……正直成算は低いぞ……。
なんとかこっそり抜け出して……仲間達とだけどっかのダンジョンに避難して防御陣で守ろうかな……
おもわず、現実的な逃亡策まで考えるオレ。
そこに、魔法学院と高等技術学校の女子生徒たちがやってくる。 ここ数日、不安に覚える彼女たちを色々と癒して(意味深)やったのだ。
「……お前たち」
「リリ様……お慕いしております……ベッドで私たちを励ましてくれたお言葉……本当に勇気づけられました」
「リリ様のために、徹夜して頑張ります! だから、私たちの世界を……守ってください!」
「りりさん!」
「おねえちゃん! どうか……」
口々に懇願する彼女たち……まいったな。
まだ一晩を共にしただけとはいえ、オレのファンを裏切れるだろうか……誇り高きグレイト・ドラゴン、超絶つよつよリリ様であるこのオレが!
……不敵な表情でイレーネがオレを見ている。
「できないとか言わないよね……世界最強、超絶美少女、のキミが」
「…………」
「…………」
「…………ふっ」
「やってやろうじゃねーか、この野郎!!」
キラキラ(女子生徒)と、ぎらぎら(イレーネ)とした期待の視線に耐え切れなくなったオレは、思わずイレーネ謹製の棺桶で、隕石に挑むことを承諾してしまったのであった。
「リリ、ちょろい」
「これが、リリ様のいい所ですから!」




