第7話「白と、紺」
昼下がり。
ひとつ通達があるということで、俺は玉座に呼び出された。
日課である魔法の練習を王城の外で始めようとしていた俺は、とんぼ返りで王城の門をくぐることになった。
門番の兵士に声をかけると、すぐに門を開けてもらうことができた。
ここ数日で、王城の人間にも少しずつ顔を覚えてもらえているようだ。
慣れた足取りでエントランスを抜け、一番大きい扉の前へ。
しかし、ここの扉を開けるのには未だに慣れない。
玉座の間には、広い空間特有の『待ち構えられている感じ』というのだろうか。
どこかそういった類のものがあったからだ。
誰もいなくとも、誰かに見られているような。
とにかく、落ち着かない感じがするのだ。
───といっても、今日は呼び出された身。
本当に待ち構えられているのだろうが。
(……よし)
覚悟を決めて扉を開けると、そこにはいつもの玉座に腰かけたサフィーアがいた。
そしてその隣や手前に、ヴェルニグを始めとした王城の関係者が数人立っている。
(……やけに仰々しい雰囲気だな)
「遅かったな。私の隣に来い」
純白の甲冑に身を包んだヴェルニグに声をかけられ、彼の元に。
俺たちはサフィーアを前にして、横並びになった。
「何が始まるんだ?」
「静かにしろ」
どこか厳粛な空気に居心地の悪さを覚えていると、サフィーアの隣に立つ初老の男性が口を開いた。
「これより、拝命の儀を執り行う。
略式の令達であるが、心して聞くように」
大臣か何かだろうか。彼の言葉を合図にサフィーアが立ち上がり、一歩前へ出る。
「クロキア王宮騎士団長、ヴェルニグ。
お前たちの日々の研鑽に、国を代表して感佩する」
「勿体ないお言葉」
凛と響くサフィーアの言葉に、ヴェルニグが頭を垂れる。
今の彼女の声には、人を従わせるだけの確かな重みがあった。
「そして旅人、トリド・トーヤよ」
どう返事をしていいのかわからないまま、サフィーアと目を合わせる。
「こちらへ」
言われるがままに数歩の階段を上り、サフィーアの眼前に立つ。
「今この時を以って、お前を王宮騎士団『顧問魔術師』に命ずる」
……顧問魔術師?
事態を理解していない俺をそのままに、隣の侍女が厚い布をサフィーアへ手渡す。
受け取ったサフィーアは、それを俺に向けた。
「ほら、膝をついて」
サフィーアは薄く微笑み、俺にだけ聞こえる声で言った。
そのまま膝をついた俺の前に布が差し出され、俺はそれを両手で受け取る。
「……頂戴します」
「位置へ戻れ、トリド・トーヤ」
初老の男性に促されるまま、ヴェルニグの隣へ戻る。
「続いて、トリド・トーヤ。
お前には、東の村の調査が命ぜられた。
委細、追って伝える。
王宮騎士団の一員として、恥じぬ働きを期待する。
……以上」
解散、ということだろうか。
ヴェルニグの真似をしもう一度頭を下げ、踵を返す。
「また夜に、ね」
去り際に聞こえたサフィーアの声に呆れながら、俺はヴェルニグと共に部屋を出た。
扉を閉めて一息。
隣のヴェルニグに話しかける。
「騎士団長様よ」
「どうした、『顧問魔術師』殿?」
「アンタは知ってたのか」
「ああ。
一日中、道楽に耽っているお前とは違うのでな」
「……さいですかい」
ヴェルニグの口から、立て続けに出る嫌味。
言い返してやりたい気持ちに駆られたが、実際この国に世話になっているのは事実だ。
ここでムキになるほど子供ではない。
「……逆に、お前はなにも聞いていなかったのか」
昨日の今日だ。
一歩引いた俺にバツが悪くなったのか、ヴェルニグの方から次の声がかけられる。
「まぁ、心当たりがあるにはあるが……あんまり突然なもんでな」
「そうか。
なら大臣が言っていた通り、追って通達があるだろう。
それを待つと良い」
「なるほどね。
ていうか騎士団の魔術師ってことは、俺はアンタの指揮下になるのか?」
「いや、顧問魔術師というのは特殊な枠組みでな。
ある程度の権限を持ちつつ、自由が利く立場なのだが……。
まあ、そのあたりは追々話してやろう。
それより私は、騎士団の詰所に戻る用があるのでな」
「ああ、引き留めてすまなかったよ」
「……お前が、王の期待を裏切らないことを祈っている」
ヴェルニグは去り際に一言を残し、階段を下って行った。
(なんだ、思ったよりも話しやすいヤツじゃないか)
こちらが一歩引けば、あちらも一歩を譲る。
クロキアの人間の性格か、それともヴェルニグ自身のものか。
とにかく、先日のイメージとは大違いだ。
だがきっと、こちらが本来の彼なのだろう。
今までは、俺が彼の神経を逆なでしていたというだけで。
「で……これ、どうすっかな」
俺の手元に残ったのは、サフィーアからもらった紺色の布。
(……服?)
気になったので、少し広げてみる。
すると、それが大きめのローブであることがわかった。
(騎士団とか魔術師の正装……ってやつか?)
ここで試着するにはやや大きすぎたので、これはひとまず部屋に置いておくことにした。
────
───
──
─
その日の夜。
俺はサフィーアの寝室に呼び出されていた。
「いらっしゃいトーヤ。
ローブは持ってきた?」
「ああ、ここに」
「そう。
じゃあ、適当に掛けて頂戴」
部屋の中央にあるローテーブルにブツを置きながら、低めのソファに腰かける。
ベッドに腰かけて本を読んでいたサフィーアもそれを閉じ、やがて俺の対面に座った。
サフィーアが身に着けていたのは、薄手の白いワンピースドレス。
上品で柔らかそうな生地から、彼女の寝間着であろうことが伺える。
寝る前なので当然と言えば当然なのだが……いつも以上に無防備なその姿に、やや目のやり場に困ってしまう。
それに、部屋全体からほんのりといい匂いが漂ってきている。気もする。
「……顧問魔術師、ね。
この世界じゃ、学者と給仕を足したら、そんな名前の職業になるのか?」
俺はそんな動揺を悟られないよう、いつもの皮肉から入ることにした。
「ふふ……せっかくの王様からのご褒美なのに。
もっと喜んでくれたっていいのよ?」
「突然、得体の知れない布を渡されてもな」
サフィーアはまた口に手を当て、ささやかに笑った。
「いまさら説明するまでもないと思うけれど、一応。
昨日言っていた通り、トーヤには東の村の調査に行ってもらおうと思うの。
私の勅命、という形でね。
だから、私の下で動いてもらうためにそれ相応の立場についてもらったというわけ。
そのローブも、顧問魔術師としての正装ということね」
「まぁ、大体そんな感じだろうなとは」
手元で二人分の紅茶を淹れ終えたサフィーアは、ひとつ口をつけたあと言った。
「そのローブ、もう着たかしら?」
「いや、まだだが」
「じゃあ、ここで着てみて頂戴」
言われるがまま立ち上がり、普段着の上にローブを羽織る。
「よかった、ぴったりみたいね」
濃紺のローブは、思ったより軽い生地でできているようだ。
羽織るようにして首の留め具をかけると、それは俺の全身を簡単に覆ってしまった。
よく見ると、ところどころに散りばめられた装飾が錘となっているようだ。
これのおかげで、風が吹いても振り回されない設計になっているのだろう。
さらに首の後ろにはフードもついており、目深に被れば顔を隠すこともできそうだ。
「うん、似合っているわ。
これで貴方も、立派なクロキアの人間ね」
たしかに、今の俺の普段着はあちらの世界から持ち込んだものだ。
自分ではあまり気にしていなかったが、周囲からは浮いたものだったのかもしれない。
「ふーむ……さすがは王国特製、か。
着心地は悪くないな」
姿見を借りて、改めて自分の姿を見る。
そこには確かに、この世界の青年が映っていた。
「そうでしょうね。
だって、本当に特製なんだもの。
そのローブを着たことのある人は、この世界でまだ二人しかいないんだから」
「そうなのか?
てっきり、騎士団の魔術師とやらはみんな着るもんだと思ってたんだが」
「いいえ。
見る人が見れば、私の直属であることがわかるような造りよ。
その方が、どこに行くにも都合がいいでしょう?」
「まあ、たしかに」
俺も座りなおし、紅茶を一口ふくむ。
優しい香りに誘われるままにくつろいでいると、やがてサフィーアが口を開いた。
「……貴方、ボードゲームは得意?」
「なんだ、いきなり」
「ルールに従って、卓上で駒を動かす遊びよ。
経験はあって?」
「まぁ……俺の世界でも似たようなモンはあったからな。
得意じゃないが、苦手でもない。ってとこだ」
「なら、一戦お付き合いいただこうかしら」
そう言って、サフィーアは棚からチェス盤のようなものを取り出した。
「しかしなんでまた、いきなり」
「だって、楽しいじゃない?」
サフィーアは笑いながら応えたが、答えにはなっていない。
どうやら、付き合うしかないのだろう。
「それに、ミラーヤでは相手にならないんだもの」
「……まぁ、それは想像がつくな」
そう言って、サフィーアは駒を並べながらルールの説明をしてくれた。
基本的なルールは、交互に駒を動かすことと、キングがとられたら負けであること。
どうやら、オーソドックスな一対一のボードゲームらしい。
駒の動きに関しても、チェスとほぼ同等だった。
たとえばポーンにあたる駒が一歩後ろに動けたりと、やや違うところはあったが……およそチェスと言っていいものだ。
「わかった、これならできそうだ」
「あまり気負わず打ちましょう。話しながらね」
「了解」
とはいえ、やるからには勝ちにいく。
そしてサフィーアの性格上、きっとあちらも同じつもりのはずだ。
まずはサフィーアが、ポーンに相当する駒を一手進める。
「改めて……トーヤに頼みたいのは、東の村の調査。
まずは、被害状況や現地での証言を詳しく記録していってほしいの」
「国から補償を出すって言ってたが、その関係か?」
「そうね。
どれぐらいの家や畑に影響が出たのか、それらは誰のものなのか。
そのあたりを含めてね」
「なるほど、それぐらいなら問題なさそうだ。
このローブの権威もあるしな」
こちらも同じく、ポーンで道を拓いていく。
「そして、可能であれば犯人を捜してほしいわ」
「それは……できるのか?
犯人は炎熱の民とやらで、もう村にはいないんだろ?
……まさか、国を超えて追えなんて言わないだろうな」
「ふふ、まさか。
でも、少し気になることがあるの」
「気になること?」
サフィーアは、ビショップにあたる駒を前へ。
「ええ。
今回のことね。
私は昨日、これが一過性のものと考えられてる、と言ったでしょう?」
「ああ」
「あくまで私個人の意見なのだけれど……それにしては、動きが妙な気がするの。
少なくとも彼らは今まで、人ではなく村自体を狙うなんてしたことはなかった」
「……ふむ」
こちらも後ろの駒を前に出し、ポーンをフォローするように陣形を作り進める。
「昨日も言った通り、国境付近での諍いは過去にもあったわ。
山や川、自然資源の利用に関する衝突なんかがね。
でも今回のコトは……それに対する抗議にしては、やり方が回りくどいの。
彼らが直談判に来て、その流れであたりに火が付くようなことはあったとしても。
村役場を直接占領しようとするような真似は、過去にも例がないわ」
「つまり……いつもの炎熱の民らしくない。ってことか?」
「そうとも言えるわね。
ただの意見のぶつかり合いじゃない、何か他の目的があるように見えるの」
「他の目的、か。
それについて、サフィーアになにか心当たりはあるのか?」
「いいえ。
逆に言えば、それを突き止めるのが今回の貴方の二つ目の使命とも言えるわね」
「なるほど、理解したよ」
駒を動かし続け、盤面はお互いに十数手目。
ゲームは中盤に差し掛かり、それぞれの陣形に穴ができ始めていた。
「それと、今回の任務はヴェルニグと二人で当たってもらうわ。
場合によっては、危険が伴う任務だから」
「ヴェルニグと……?」
「ええ。
意外?」
「いやまぁ……ただの調査にしては、やけに重い人選じゃないか。と思ってな。
あのオッサン、騎士団長ってことはそこそこの重役なんだろ?」
「そうね。
一応、色々と理由はあるのだけれど」
「……例えば、俺への監視とかか?」
「対外的にはそうね。
いきなり騎士団の所属になった異国の男が、信頼に足るかどうかを見極めるため。
とも言えるかしら」
「まぁ……端から見たら怪しいよな、俺は」
「自覚があるのはいいことね。
私はもう貴方のことを信頼しているけれど、周りが同じとは言えないもの」
たしかに、騎士団をはじめクロキアの人間からしてみれば、俺はどこの馬の骨ともわからない人間なのだ。
サフィーアから直接命令を受けているとはいえ、まずは彼女の期待を裏切らない人物であることを行動で示さなければならないのだろう。
(……つまり、今回の任務を通してヴェルニグや王城の人間から信頼を勝ち取れ。と。
そういうことか)
裏を返せば、ヴェルニグとサフィーアにさえ認められてしまえば、周りも認めざるを得ないのだ。
そして言うなればそれは、俺がこの国の人間から信用を得るための最短経路であるとも言える。
きっと、それを含めてのサフィーアの人選なのだろう。
「……にしても、あのオッサンと二人きりね」
「あら、私と二人の方が良かった?」
「冗談。
気が休まらねえよ」
「ふふ……それは、私が王様だから?
それとも、素敵な女性だから。かしら。
せっかくだし、後者だと思っておくわね」
「そういうところが、だ」
サフィーアはまた口元に手を当て、静かに笑う。
そしてそのまま、離した手で俺のキングの前にあったポーンを取った。
踏み込んできたクイーンをそのまま放置すれば、次の一手で俺のキングが取られるだろう。
サフィーア側の『チェック』だ。
「東の村までは、馬車で半日ほどよ。
城下町の東から定期便が出ているから、それに乗ってお行きなさい。
一応、その次の日以降も同じ便で手紙を送るわ。
貴方があちらに着いてからの簡単な連絡は、それで済ませましょう」
「ああ、わかった」
「出発の日には、路銀も渡すわね。
一週間をめどに帰ってこられるぐらいの」
「なんとも手厚い援助で」
「ええ。
私なりに心配しているのよ、貴方を。
今回の任務は、炎熱の民との争いが起こらないとも限らないもの」
「心配してくれてるのはありがたいが、俺もそこまで子供じゃあない。
さすがに自分の身ぐらいは……自分で守れるつもり、だ」
俺はそのままキングを前進させ、サフィーアのクイーンを弾く。
「ふふ……そうね。
たしかに、貴方は強いのでしょう。
それは、助けられた私が一番よく知っているわ」
「なら、どうして」
「それはね」
サフィーアが盤上に手をかざすと、突如として俺のキングの後ろにポーン、反対側にルークが現れた。
「危険は常に、予想外のところから現れるものよ。
それも、貴方が気を抜いたその瞬間にね」
氷で出来た精巧な駒は、月明りを妖しく反射しながら俺のキングを包囲した。
「そして。
それから逃れられる人間は、そう多くない」
サフィーアの言葉は、紛れもない真実だった。
唐突にやってくる、死。
気付いた時にはもう手遅れであるそれを、俺は間違いなく経験したことがある。
「忠告、痛み入るよ」
しかし、ここにいる俺は今までの俺とは違う。
「だが生憎、俺もここ数日ぐうたらしていただけじゃないんでね」
俺は指を鳴らし、その駒を氷の破片に変えてみせた。
「期待には、応えてみせるさ」
先日、ミラーヤの前でバラを凍結させた時と同じ方法だ。
極限まで温度を奪うと、物体は衝撃に対しひどく脆くなる。
「……そう。
その様子なら、安心してもよさそうね」
残酷な現実は、『卑怯』や『理不尽』などといった言葉だけでは抗えない。
その状況を打破するには、力が必要だ。
そして、今の俺にはそれがある。
「出発は明日の朝よ。
細かいことはヴェルニグに聞いて頂戴ね」
「明日の朝か。
思ったより早いな」
「現地には、実際に被害に遭った子がいるんだもの。
貴方の言った、『力になりたい』って言葉。
それを嘘にしないように、頑張らなくちゃね?」
「……肝に銘じておくよ」
なんにせよ、明日からはサフィーアの庇護から外れることになる。
自分自身の力で、道を拓いていかなければならないのだ。
「チェック」
「チェックメイト」
お互いに駒も少なくなった、最終盤の局面。
苦し紛れに打った俺のチェックを防ぎながら、サフィーアはこちらを詰みに持ち込んだ。
「……俺の負けだよ」
「ふふ、いい勝負だったわ」
「どの口が言うんだ。
そっちはほとんどクイーンなしで打ってたようなもんだろ……」
「あら、そうだったかしら」
サフィーアはとぼけて笑ったが、さきほどの包囲のために、彼女はわざとクイーンを犠牲にしたのだ。
それでも、結果は俺の負け。
どうやら、頭脳戦ではサフィーアに適わないらしい。
少なくとも、この城にいる限りは。
「さて。
じゃあ、今日はこのあたりでお開きとしましょうか。
貴方も早めに部屋に戻りなさいな。明日は早いわ」
「そうだな。
このまま続けてたら、明日の分のマナまで使わされちまう」
「ふふ……。
ボードゲームに魔法を使うだなんて、一体どこにそんなお馬鹿さんたちがいるのかしらね」
少なくなった紅茶を飲み干し、ソファから立ち上がる。
振り返って扉を開けようとすると、背後から声がかかった。
「トーヤ」
「ん?」
「……貴方は、私の傍からいなくならないでね」
彼女は、今にも消え入りそうな声でそう呟いた。
「……安心してくれ。
そう何度も、世界を行き来する趣味はないさ」
「そう……。
じゃあ、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
扉を閉め、自分の部屋に向かう。
(……はあ、変に疲れたな)
妙な疲労感を覚え、ポケットから鍵を取り出す。
そしてそれを使う先は、すぐ目の前に存在していた。
俺に与えられた部屋。それは、この細い廊下を挟んですぐ正面にあったのだ。
つまり、サフィーアの寝室の、ほとんど目の前と言っていい距離に存在している。
ちなみに、ミラーヤの自室はその隣。俺の斜め向かいの場所らしい。
……もっとも、その事実に気付いたのは今日になってからだったが。
「さて。
んじゃ言われた通り、早く寝るとしますかね」
開けた鍵を閉めなおし、疲れた身体をベッドに放り投げる。
明日からは遠征。この最高級の寝具とも、しばしの別れだ。
そう思うと、少し名残惜しい気持ちはある。
だが今日、俺は正式にこの王城所属の人間になったのだ。
裏を返せば、このベッドや枕を恒久的に使う権利を得たということでもある。
「よし……そう思えば俄然やる気が出てきたぜ」
俺の頭の形を覚え始めた枕の感触を、今は精一杯堪能することにしたのだった。
毎日昼12時に、一話ずつ投稿予定です




