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第六十五話:光の婚礼と幸福の絆

ある日突然心躍るファンタジーの世界を形にしたくなり、初めて筆を取りました。結果としては、ルピーネ、ロドルフ、ルークにアルヴィンたちがそれぞれ自分で動き出し、皆で紡いでくれた物語になりました。

そして読者の皆様にこの世界を一緒に旅していただけたおかげで、最後まで完走することができました。

本当にありがとうございました。


よろしければ同じシリーズの外伝(https://ncode.syosetu.com/n4253lx/)、短編等もご覧ください。

結婚式当日の朝。会場となったのは、ロドルフたちの新居である邸宅の、庭園と直結した大広間だった。開け放たれた大きな窓から、深緑の風と中庭に咲き誇る百合の香りが流れ込む、光溢れる式場だ。


竪琴ハープの演奏が始まり、列席者が息を呑む。 裾にかけて銀糸の刺繍が施された純白のドレスに身を包んだルピーネが、父リヒトの腕に手を添えて現れた。ゆっくりと一歩ずつ、祭壇に向かうリヒトとルピーネ。かつて竜の子を宿したために村を追われ、死を覚悟した愛娘が、今こうして「花嫁」として輝いている奇跡に、父は感無量の面持ちだ。 正装した胸に銀のフィビュラを輝かせたロドルフの前まで辿り着くと、父は娘の右手を新郎の手へと託した。 「……娘を、頼む」 「はい。命に代えても」


次に列席者が目にしたのは、背中に純白のピローを乗せ、誇らしげに二人を目指してパタパタと飛んでくる『幸運の竜』だった。ピローの上には、ロドルフが白竜のかつての首輪を溶かして作った、銀の指輪が二つ。 見事にリングベアラー――いや、リングドラゴンの大役を果たしたルークが、二人がお互いの指に三日月をあしらった指輪を嵌め合うのを、満足げに見守る。


そしてロドルフが、ルピーネの薄いベールをゆっくりと跳ね上げた。 現れたのは、共に過酷な冒険の旅を越えてきた、彼の「唯一」のつがいの最高に幸せそうな微笑み。ロドルフは愛おしげに彼女を引き寄せ、優しく誓いのキスを交わした。 大広間を埋め尽くした列席者たちから、空を震わせるほどの祝福の拍手が湧き上がった。


「ルピーネ、とても綺麗だ」 アルヴィンが、皇帝ラインハルト前皇帝リヒャルトからの祝辞と、御下賜品おいわいのドワーフ製銀食器を手に、式を終えた二人に軽やかに歩み寄る。 「あんまりジロジロ見るな」 ロドルフが、サッと花嫁を自分の後ろに隠した。 「ロドルフもとっても魅力的だよ。……まあ、僕に言われてもだろうけど。さっきから女性たちの視線が痛いんだ」 ウィンクするアルヴィンに、ロドルフは呆れ顔で返す。 「お前な……。まあ、俺は自分の「唯一」を見つけられたんだから十分だ」 「はいはい、ご馳走様。これなら陛下が来られなくて正解だったね。当てられすぎて寝込んでしまうよ」


会場には、すっかり打ち解けた獣人村の友人たちに加え、帝都から駆けつけてくれたギルド長バレンティン、受付嬢ミリー、さらには「夜空の十字亭」のかしまし娘二人もいて、温かくも賑やかな宴となった。 「アルヴィン様は相変わらず素敵だけど、この村、逞しい男がいっぱいいるわね!」 目を輝かせているヴァネッサとハンナ。 「これが!夢のモフモフ村……!」 ミリーは興奮しっぱなしだ。 「ルピィ、ロー、おめでとー!」 ルークは随分流暢に喋るようになった。



その夜、真新しい夫婦の寝室で、二人は静かに寄り添っていた。 ロドルフの指先が、ルピーネの腰にある、今はもうほとんど消えかけている「紋様」をそっとなぞる。 「いつかは、全部消えるのかな」 「そうね、多分。でも、たとえこの紋様が消えたとしても、私たちの幸福しあわせの絆はもう、ここにあるから」 ルピーネはにっこり微笑み、その手に自分の手を重ねた。二人の影はゆっくりと、優しく熱い夜に溶けていった。



二日後の朝。来客のお見送りをする新婚夫婦。 「子供ができたら、空飛ぶ揺籠ゆりかごをお祝いに持ってくるよ。高速で飛ぶやつをね」 「「あ・り・え・な・い!」」 アルヴィンのとんでもない提案を即座に拒否した二人の声を背に、アルヴィンは朗らかに笑い、銀翼の飛行船を浮かせた。



数年後、男爵領では、燃えるような赤髪とヘーゼルの瞳を持つ可愛い愛娘のリリアーナが、変わらぬ美貌のエルフの公爵アルヴィンに懐きすぎているのを、本気で心配するロドルフの姿が見られたという。


(完)


少しでも面白いと思っていただけたらブックマークやページ下部の☆を押して評価していただけると嬉しいです

今後の作者の励みになります


また、もし需要がありましたら後日番外編的な短編を一、二編書いてみたいと思っています

希望などあればお聞かせください


それでは皆様、また会う日までどうぞお元気で

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