出島徒然話-2
PV対策の一環として刻んでみようと思います
「あぁ、君か。一応診たところ問題無い。ちびっ子の方が栄養失調と脱水症状でちょっと重症だけど、別状は無いよ」
「そうですか、聴取に問題なければもう一人の方を調整官室に寄こして貰えますか?」
医務室の主をしている祐木真希子は紀一郎から掛かってきた電話を切る。
ライナとルイセの診察と治療は終わっていてマリシアの診察を行っていた途中だったのだが、腰を折られる形となった。
それ程広くは無い診察室には患者の三人と監視護衛の自衛官を含めて結構な数の人がいて中々の人口密度となっている。
「ライナちゃんだっけ? 悪いけどこれから調整官室に行ってくれるか?」
「私、ですか?」
ベッドで点滴を受けながら眠っているルイセの傍に付いていたライナは、力無
く呟いた。
「そこのちびっ子はもう心配ない。大丈夫、カロはエロガキだけど悪い奴じゃないから」
「カロ?」
「そう、歳も近いし緊張しなくていいよ」
自衛官二人に連れられて向かう事になる。
不安に怯えているとマリシアから大丈夫だと背中を押され医務室を後にした。
「お名前は?」
「ライナ・シラスト……」
調整官室にやって来たライナに聴取を行っていた。
マリシアの時と同じように食事を振舞い、警戒心を解く事も忘れない。
自衛隊の食事はライナにも好評だった。
「あれ? 苗字があるって事は」
「ええ、私は小さな農村の生まれだけど、口減らしで人買いに売られてマリシア達と四人一緒に買われたの」
相変わらずの世知辛さに胃がずーんと重たくなる。
自分なら自暴自棄になってしまいそうな状況なのに気丈に振舞う彼女達に、なんとも申し訳ないという感覚に襲われる。
まるっきり尋問にならない様に気を使いながら話を聞いていく。概ねマリシアと同じ内容だったので彼女らの言っている事は確度がそれなりに高いと判断できた。
「あの、これから私達どうなるの?」
紀一郎に対して警戒心が解けていたライナは、ずっと気になっていた話を切り出す。
「あー、それねぇ。ぶっちゃけまだ何にも決まってないんだよね。とりあえず何日かはここに留まって貰うけど」
「そう……」
「僕が面倒みる事になるけど、まぁあんまり気にしないでいいよ。なるようにしかならないしね」
嘘にならない範囲でライナを安心させようと言葉を掛けていたが、彼女の不安を押し殺した表情は変わらなかった。
今の居心地が悪い空気をどうしたものかと思案していると、ライナは覚悟を決めた様に立ち上がり着ている服を脱ぎ始めた。
「はいストーップ!! 何やってんの!? 何やってるの!」
突拍子も無い行動に驚いて声を上げる。
「えっ、でも、カロ様は好色だって……」
「誰が言った!? それ誰が言ったの? つーか好色って、あーた」
紀一郎に咎められたと思ったライナは身をすくめて怯えた小動物の様になっている。
(人を何だと思ってるんだ)
綺麗な金髪の美少女が恐怖に震えている姿は、その筋の人間には堪らないだろうが彼はそういう趣味を持っておらず、むしろ気分を後退させるものだった。
「ライナさん、だっけ? ここには君達を傷つけたりする人は居ないし、僕が君らの安全は保障するから。だからそんな事はしなくていいんだよ、いいね?」
何とか宥めすかして安心させようと画策する。その成果かまだまだ半信半疑だが落ち着きを取り戻し、残っていたデザートのデラウェアを食べている。
食べ終わると外で待機していた自衛官に宿泊用のテントに案内して貰うように、三郡調整官付きの人に頼んだ。




