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念願の噛ませ犬イベント

 遂に大会予選が始まる。予選の参加者は裕に1,000人を超えているだろう。


 この中から5組だっけ?


 それぐらいの人数に絞るらしい。これは数日間の激戦になりそうだと覚悟する。


 思春期に不眠はお肌の大敵なんだけど、と僕はため息を吐く。


 僕らは王都の外にある大会本部に集められている。みんなそれほど大きな声で喋ってはいないが1,000人ほどの声が重なるとそれほどの大きさになる。


「それにしても今から始まるんですのね」


「そうだね」


 彼女の言うことはもっともだ。現在0時ちょうどほど。


 さすがの僕も少し眠く辛く目がさめるガムを噛んでいる。


 みんなも眠いのを誤魔化すようにわざと少し大きめの声で喋っているようだ。


 そしてみんなより少し高い位置である壇上に一人の人物が姿を表す。


 この大会の会長でもありフソーラ王国の宰相チェーン・ボンテーシである。


 なんかみたことがある気がするけど僕はこの国にいるときは離宮にいたから顔を思い出せない。


 それにしてもこの人結構歳食ってるな。


「ーーであるからして、」


 僕は会長さんの話を適当に流していた。正直長々としてありがたい開催の言葉はいいから早く始めてほしい。


 それに僕個人としてはここ1週間僕の本気の修行でみっちりと鍛えたメアリーの実力がどれほどなのか試したいしね。


「チェーン会長ありがとうございました!」


 と進行の若い男の人が会長の長々とした説法を終わらせる。


 そんな英雄に会場中の拍手が彼にそそげられた。みんな解放を望んでいたのだ。


 人間は自由を求める生き物だからね。そして僕は辺りをキョロキョロと見渡す。


 まあ見渡す必要はないけどね。気分的に探ったってこと。


 そして僕が探していた人物を発見する。エリシャだ。


 僕は彼女がいる方向に手を振る。そしてエリシャが答える。


 ちなみにこの動作により僕が少し目立ってしまったようだ。僕はみんなのコソコソ話が聞こえる。


「おい、あいつ目見えてないんじゃないか?」


「はっ?あいつ大会を舐めてんのか?」


「チッ、ムカつく顔しやがった」


 などなど、さまざまな声が聞こえる。そして僕に近づく男が一人。


「よう、にいちゃん。目が見えねえのにこの大会に挑むなんて勇気あんじゃねーか?」


 うおー!!!!!


 これが僕が求めていた男、キャラクター!、そうそれは異世界あるあるの主人公の本当の実力を認識できずすぐにやられる雑魚風の噛ませ犬キャラじゃないですか!


 僕は少しにやけてしまう。それが演出にも一役買ったそうだ。


「おい、てめえなに笑ってんだ?舐めてんじゃねんぞ?」


 と彼がいい僕の胸グラを掴んでくる。そしてここで僕の想像通りなら........


「やめなさいですの、あなたたち。大会前の喧嘩や暴行は一切禁じると大会のルールブックに書いてあるのですの。それでも破ると言うなら、わたくし相手しますわ」


 そう、ここでメアリー。


 主人公の味方3度の人間が相手を宥めるか脅すかの2択でその場を収めようとするシーン。いいねぇ!


 まさにテンプレってやつっす!しかしここで静止を聞かないのがチンピラキャラ。


 メアリーに対する対応はもちろん.......


「あん?なんだテメェ?ガキはすっこんでろ!」


 とこの定番のセリフ! 


 僕は彼女たちのやりとりが進むにつれ興奮してくる(だからそう言う意味じゃないよ?)。


 そしてここで!


「そこ!やめなさい!それ以上は両方とも退場扱いにするぞ!?」


 と係員のセリフ。


 そしてチンピラが「チッ」と言いその金魚のフンみたいな相棒がベロをこちらに出しまさに『あっかんべー』のポーズを決める。


 そしてメアリーはそれに顔を赤くしプリプリと怒る。


「なんなのですの!?あいつらの態度!大会でもし当たったら絶対に倒してやりますの!」


 と彼女は小さく迫力のある声でいう。僕はメアリーを宥めながら言う。


「いや、すぐに会えるよ。あいつらとは」


 そう。こう言うのかませ犬イベントで当たった奴は主人公にボコられるのが定めだからね。


 僕の異世界テンプレ知識が完全開放される。


「それでは各チーム散開してください。そして大会開始の合図はこのホーンがなったらです!」


 と運営のお兄さんが大きなホーンを抱えるのが感じられる。惜しいことをした。


 一回でいいからそのホーンを見てみたかった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 僕らはいや参加者たちほぼ全員は王都の近くにあるフソーラ大森林に身を隠した。


 フソーラ大森林はさまざまな伝説級魔物や薬草など世界でも類が見ないほど攻略が難しい森だそう。


 そんな所に王都を作った昔のお偉いさん達の気が僕は知れなかった。


 ちなみに開始のホーンはまだなっておらずこの時点で戦闘を始めたところは失格になるようだ。


 僕は適当に倒れている倒木に腰を落ち着かせ一息つく。


 なんせ大会が始まったら僕らには、噛ませ犬イベントが待っているからね。僕は期待に思いを馳せる。


 メアリーは緊張しているのか体がガクガクと震えておりソニックブームが発生しているのか『ヴゥヴゥヴゥヴゥ」と彼女の周りから音が出ている。


 しかし爆音ではなかった。僕はそれを目が見えないため肌で精細に感じ取っていた。


 そして辺りの振動も。まだホーンがなる気配はない。


 運営の人たちもいつ開始すればいいのか迷っているようだった。


 そう言うのはどんどんやったほうが良いいんだよね。


 失敗した時の責任は後悔などは後回しにする方がいいと僕は教えられ育ってきたからね。


 僕はホーンがなかなかならず少し飽きてきたため剣や武具の手入れをしている。


 時間が経ち太陽の光が少し薄らと見えるような時間になっている。


 どうやら最初の会場での大会に関するルールの説明やあの会長の挨拶で時間を食ったらしい。


 あの会長許しまじ。


 僕は少しイライラしていた。その時だった。


「ブォーン!!!!」


 と大きな音が鳴る。


「な、何!?」


 メアリーが急な爆音に慌てる。僕らは予選が始まったため一応近くに寄る。


 だけど今の所周りに僕ら以外の人間の気配は感じられない。僕は緊張を緩める。


「フラウス、気を抜かないですの!」


 と彼女が注意するが僕は倒木にまた腰を落ち着かせる。


「緊張しなくていい時は緊張しない方がいい。休める時は積極的に休んだ方がいい。修行の時に言ったはずだが?」


 僕は師匠ムーブを出し彼女に言い訳する。ちなみに訓練の内容はハッキリと覚えていない。


 そして彼女は納得したような顔で「そうでしたね」と言い僕の隣に腰を落ち着かせる。


 そして僕はもう一度魔力探知。僕らに近づく二つの魔力反応が。


「噛ませ犬イベントか」


 と僕は隣にいるメアリーにも聞こえない声で呟いた。

なんか王都って打ち込むと毎回嘔吐って出るんですよね。ごめんなさい。冷笑でいいです。


「お、おう(笑)」

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