無名無周知のペア
投稿が暮れてしまい申し訳ありません。私生活が忙しくこちらにまで手が回りませんでした。これからもできるだけ毎日投稿を頑張っていきたいです。よろしくお願いします。
「カマセ・イヌの兄貴!あの目が見えない奴とその相棒のガキ、見つけましたぜ!」
とカマセ・イヌの弟分のフン・キンギョがカマセ・イヌに言う。
カマセはなんともチンピラ風の目立つ男である。
その実力はフソーラ王国の騎士団の騎士とも互角に戦える強さを持っている。
そんな彼が目をつけたのが獣人の盲目の剣士だ。
彼は会場でカマセにヘラヘラとした態度もとり目が見えない分際で強がりも言った。
彼の中でそれは万死に値する行為だった。
そして彼は自分の勝利を疑わない。
なぜなら盲目の剣士達は彼ら二人が接近していることに全く気づいていない様子だった。
その様子を彼らは茂みの中から窺っている。そしてホーンがなった。
盲目の剣士達はその音の大きさに驚き耳を塞いで少し目を瞑った。
そして盲目の剣士は倒木に腰を落ち着かせようとする。
そしてそこをカマセは狙った。彼は剣を抜き二人に一直線に向かう。
フンもその様子から勝ったと思った。
そしてカマセの剣が盲目の剣士の隣にいる少女の首を撫でようとしたその時。
剣は彼女に掠りもぜず地面に不時着した。
フンとカマセには何が起きたのか全くわからなかった。
彼らにできるのはせいぜい、人間離れした動きを見せた少女を大きく見開いた目で見る事のみ。
カマセは事前に万が一避けられた時の対処法も考えていたがそれすらも忘れていた。
少女がゆっくりと腰にかけていた刀身を徐々に明らかにしていく。カマセはその場に倒れ込む。
フンはゆっくりと後ろに下がりその場を離れようとするが後ろには先ほどまで自分の視界で捉えていた盲目の剣士。フンは冷や汗を滝のように流す。
そして少女が一閃。カマセはその場に倒れ込む。カマセは嫌な呼吸音をしていた。
フンはそれを見て目から涙が溢れる。そして「すみません!!」と土下座。
盲目の剣士はそれを感情の読めない表情で見ていた。
しかしいつまで経っても攻撃は飛んでこない。許してもらえたのかとフンは考え頭を開ける。
そこで彼の意識は遠のいた。
最後に見たのは彼に向かってくる刀身そしてそこに写る醜い顔をした自分だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
素晴らしかった。
僕は光の粒子となり会場から消えていく二人に向かいその称賛の言葉を言いたくなった。
つまるところ噛ませ犬イベント大成功である。
ちなみに二人は退場中。会場で死んだ、もしくは戦闘不能、降参したら光の粒子となり会場から消えていくらしい。そして大会、会場内での傷は残らず死んだら外で復活するらしい。
なんでかは知らないけどすごい機能だ。
ぜひ盗みたい。
「フラウス、ナイスアシストでしたわ」
「ありがと」
となぜか僕は謎に上から目線の彼女の称賛にお礼を言う。
「それにしても、早速戦う羽目になるなんて.......」
と彼女がため息混じりに。
「まあそう言う時もあるよ」
僕は前世から磨いた自動で返答しかつ相手を不快にさせない言葉を返した。
僕は辺りを探る。幸い近くに他の参加者はいないようだ。
「周りには他の参加者はいないよ」
「そうなのですの........どうします?移動するか、隠れるか」
「そうだね、ここでジッとしていてもここは特別戦いやすい場所でもないし見渡しも悪い。少しずつ移動しないか?」
「そうですね」
と彼女は頷き荷物をまとめる。
ちなみに荷物は何日予選が続くか分からないため寝袋や食料が入っているらしい。その分、容量もでかい。
僕は荷物について確認していたら彼女から意外な質問が。
「フラウスは目が見えないからここの見渡しがいいとか関係ないんじゃないですの?」
おっとそうだった。僕はここで彼女を疑わせないさらに不快にさせない返答を考えここに行き着いた。
「メアリーのためかな」
プラス、イケボで。これには彼女も少し気まずい顔をした。
顔は少し赤くなっていた。どうやら僕のことが気持ち悪すぎたのかな。
僕は何か大きく多いものを失った気がした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『おーっと早速脱落者だ』
とフソーラ王国王都にあるスピーカら少しテンションが街に人より一段高い声が鳴り響く。
この時期では恒例のWKCの実況、もしくは経過の報告である。
しかしまだ予選が始まってから時間も経っていない。それに加え時間はまだ朝の5時ごろ。
街の住人達のテンションはラジオの司会者フソーラ王国魔導ラジオ界隈の有名人である『シ・カイシャ』とは温度差が驚くほど違った。
しかしその放送には彼らは少し興味わき耳を研ぎ澄ませる。
あの選手が落ちたやら、本命が勝ち進んでいるやら、新星が現れたやら、そんな内容を彼らは期待していた。
しかし全ては期待通りにはいかない。
『最初の脱落者はカマセ・イヌのペアだ!二人は今回場を掻き回すペアとして賭け事界隈の方で期待されたがあっけない幕引きになったぜ!』
とハイテンション。
街の住人達も驚きと興奮が少しずつ湧いてきたようだ。
そして彼らは次の実況に期待していた。誰が倒したのか。それが彼らの一番の興味、期待だった。
誰もが有名選手の活躍を期待する中、シ・カイシャはなかなか言葉を続けない。
みんなが不思議がった。その答えはすぐにわかった。
『さて、そのカマセのペアを破ったのはどのペヤだと思う?みんなは元七剣人のエリシャが有力だと思っているだろ?』
と彼が問うと街では
「エリシャじゃないのか?」
「エリシャペアだろ?」
「エリシャ以外あり得ない!」
と言った意見達が続々と出ている。
しかし
『残念だが多分みんなが考えている候補は絶対に違う。なぜなら大会出場者の情報を調べているこの俺様でも知らなかったんだからな!』
街では「だぁ、だに?」や「まさか!?」「ありえない」などの声が上がっているその様子はまさに滑稽。
そして答えは。
『フラウス、メアリーペアだ』
シ・カイシャがそう言うと街中がざわつく。
「お前知ってるか?」
「知らんよ」
「誰だ?」
「強いの?」
「くっそ!!カマセに結構賭けたのに」
「ガチ殺す。てか誰?」
「今月......死.......」
などの驚きの声や悲惨な声が相次いだ。そして話は続く。
『現在俺らもこのペアについては情報を集めている途中だ。大会予選が始まってからこの速さで脱落者が出たのは史上最速。しかしこいつらはまるで無名。今回の隠し球はこのペアかもな』
と彼が解説する。
しかし街は最初ほど驚きは大きかったものの最後の方は興奮は少し冷めておりこのペアのことも翌日には忘れていそうなほどのどうでもいいことだった。
『まあ、今回はフラウス、メアリーペアに要注目かな』
とシ・カイシャがいいこの話題を締める。そしてラジオの放送は次に移った。
剣聖アペクスの特集でだった。




