背中にガムは流石に悪意を感じる
100ポイント超えました!(執筆時点)
「フラウス・マンダックさんでよろしいですか?」
「はい」
「字は間違えてないですか、って見えないですよねすみません」
受付のお兄さんが少し気まずそうに謝る。
「いえいえ、気にしないでください」
と僕は優しく。
現在僕とメアリーは大会出場者登録を行なっている最中だ。
そのため僕は現在名前を登録してもらっているんだけど、もちろん僕は目が見えないと言う設定なので字が書けない。
なので代わりに受付の人に書いてもらっていると言うわけだ。
それで今、文字の確認。
正直偽名だからどんな言語で書かれていても問題ない。でも一応確認してもらっていると言うわけ。
そして僕の番は終了。次はメアリーの番。
「メアリー・パルパ?さんで宜しいですか?」
「ええ、いいですの」
「わかりました。書類にも不正な点も見当たりませんし、予選出場権獲得です」
「「ありがとうございます」」
僕とメアリーの声が重なる。
僕は一安心。もしここで正体がバレるなんてことになったら大変だからな。
こうして僕とメアリーは受付会場から離れた。余計なリスクを負いたくないからね。
僕たちはカフェに続く道を歩く。
「ちょっとそこのあなた?」
僕は後ろから声をかけられた。
僕の背中にガムでもついているのだろうか?
いや違う。これはそうアレだ。典型的なアレだ。
僕の中での通称噛ませ犬イベント。
このイベントを簡単に説明すると、まず大会出場者の一人が主人公を侮り声をかける。
それで主人公を傷みつける。主人公は目立ちたくないとかなんとか理由をつけて何もしない。
それで主人公は侮られる。だがしかしッ!
大会が始まる前は雑魚だった主人公の急な実力発揮!
それにも気付けぬモブキャラが突進!
そして瞬殺される。
この流れが全て合わさっている、お決まりと言うやつだ。
僕はかなり、結構、まあまあ、なんとなく、期待する。
僕は「はい?」と返事をし振り返る。見えないが魔力で確認できる。
一人の女性が立っていた。こういう役割はチンピラ風のイカつい男なんだけど?女の人って珍しいな。
まあいい。僕は少しドキドキしながら彼女の発言を待つ。彼女はいう。
「あの背中にガムついてますよ?」
おっとこれはこれは予想外という感じだ。
僕は少し気持ち的に目を見開く。
「あ、そうですか」
僕の口からはその言葉以外に何も出なかった。
「え、本当?」
メアリーは少し驚いたようだ。僕たちは少し気まずい空気になる。
この空気を瓦解するために彼女も加えテトデナ商会のカフェへ向かった。
背中についていたガムは取ってもらった。
僕は少し虚しい気持ちになった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕はテトデナ商会の特製チーズケーキを食べ心を落ち着かせる。
まさかチーズケーキに鎮静剤の役割もあるなんて。まさに多様だ。
そして気まずい僕らは自己紹介を。まずメアリーから。
「こんにちわですの。わたくしはメアリー・パルパです。15歳。この街に来た目的はWKCで優勝するためですの」
と彼女は言う。
僕今気づいたけど、彼女、服装の割には結構上品な口調だ。過去に何かあったのだろうか?
そして僕は一回思考をやめ、目の前の会話に意識を戻す。僕は優男風の笑顔を作って言う。
「僕の名前はフラウス・マンダックです。どうぞよろしく」
「よろしくおねがいします」
と先ほど声を掛けてくれた藍色の髪色をした女性がお辞儀をする。
僕の予想では彼女結構強い。たぶん剣聖と言うわけではないと思うだけどサテルスぐらい強いんじゃないかな?と僕は予想する。
いやーすごいね。ぜひ名前を知りたい。
「私の名前はエリシャよ」
エリシャが自己紹介を短く終了させる。
僕はそれ以上深掘りはしない。だがメアリーはそうじゃなかった。
「エリシャ.........そしてその格好。もしかして七剣人の飛龍 エリシャさんですか?」
何か気付いたようだ。だが僕にはそれが何かわからない。
「・・・・・」
彼女は黙る。僕は七剣人と言う単語に聞き覚えがなかった。
「七剣人とはなんなんだい?」
「ええ!フラウス知らないの?」
「うん」
「七剣人。それはフソーラ王国の近くの国であるガルバン共和国の武の象徴。ガルバン共和国は国王や皇帝がいないその政治体制から他国の絶対王政の国から危険視されています」
「なるほど」
なんか前世でも聞いたような話だ。
「なのでガルバン共和国は敵対国が多いのです。ですがそんな国が生名が得られているのは七剣人のおかげなんです。その圧倒的武力は剣聖たちにも引けを取らないとか。そんな人が目の前にいるんですよ!」
「だが今となってはどうでもいい。すでに捨てた名だ」
「なるほど」
いいね。捨てた名だ。カッコいいぞ?
僕もいつかこのセリフ使ってみたい!
まあ今は僕は謎の好青年を演じなくてはならない。
僕は彼女たちの話にうんうんと頷く。メアリーがさらに切り込む。
「そんなエリシャさんがなんでこの大会に?」
「剣鬼が出るからです」
「剣鬼........」
僕の口からその単語が漏れる。
「剣鬼を知っているの?」
「あ、はい。この前、街に流れた放送でどうやらアペクスさんが大会に出る理由もその剣鬼が出場するから、とか言ってましたね」
「そうですか.........アペクスが」
と彼女は難しそうな顔を作りながら言う。
「もしかしてその剣鬼さんと過去に何かあったんですか?」
メアリーが僕が聞きたかったことにズバッ!と切り込む。その空気を読まない感じ嫌いじゃないぜ。
僕はメアリーに対する評価を改める。エリシャさんは答える。
「まあ色々あってね」
でたー!
この色々あった感を出すこのセリフ!大体重要なセリフは文字数が少ない。
彼女も例外ではなかったようだ。僕のテンションが上がる。僕は異世界ライフを今の所満喫できている。
そしてエリシャさんが話を変える。
「そんな二人はなんでこの大会に出場するんですか?」
エリシャがまずメアリーに聞く。メアリーはエリシャと同じような表情を作りこう言う。
「まあ色々あってね」
とこれは。僕は空気が読める人間だ。僕に話をふられる。
この場合僕が取るべく最善の選択肢は.......!
「まあ色々あってね」




