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悪いことってすればするほど罪悪感を感じないよね

 僕はメアリーとの待ち合わせ場所であるシチ公と呼ばれている犬の銅像の前でメアリーが来るのを待っていた。


 だけどもうこの時点で1時間は待っている。


 今日は武器の調達や連携の仕方などお互いを知る回なのに。と僕は残念がる。


 それにしても彼女遅いぞ?


 僕は近くにある時計を見る。待ち合わせ時間から1時間以上。


 面倒なことになってきた。と思ったその時彼女はやってきた。


 僕は不満を全てぶち撒けたかったが心にしまっておいた。憎しみからは何も生まないらしいから。


「遅かったね?何かあったのかい?」


 と僕は優男風を演じメアリーに語りかける。彼女は言う。


「それがチンピラたちに絡まれて。倒しても良かったのだけど、そうもいかず.......」


「騎士団か」


「そうですの」


 彼女は頷く。


 喧嘩両成敗。これが国際騎士団、そしてフソーラ王国の騎士団たちのモットー。疑わしきは罰する。


 とこんな感じに彼らは理不尽の象徴として市民たちに恐れられている。


 なので彼女も完全に自分が悪くない状況を作り出さねばならなかったのだろう。


 見えないが彼女には殴られた傷が複数確認できる。


「大丈夫かい?」


 といい僕は彼女の腕に回復魔法をかける。


「ありがとうございます」


 彼女は素直にお礼を言う。まあ正直無事で良かった。


 僕は安堵する。正直大会出場者のほぼ全員は相棒が決まっている状況だ。


 そんな中僕だけが決まってないとなると集中的に狙われるだろう。正直予選の序盤では目立ちたくない。


 僕にはシナリオがあるのだから。


 あ、そうだ。僕は午後にまだメアリーに伝えていない用事があったことを思い出した。


「今日、僕、午後用事あるから」


「あ、わかりましたの。フラウス」


「フラウス?」


 僕は咄嗟に口に出す。


「どうしたの?あなたの名前でしょ」


「あ、そうそう僕の名前だった。少し寝ぼけていたようだ」


「大丈夫ですの?」


「大丈夫大丈夫」


 と僕は返事をする。


 危うく名前が偽名だとバレるところだった。僕は用心して彼女との会話に臨むようにする。


 それにしても午後の用事は面倒だな。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「こうして会うのは久しぶりね」


「そだねー」


 僕はルクスの格好になってカフェの席で一人の少女と話をする。


 それこそが今回の厄介な、面倒な、案件。ルミナスだった。僕は手紙で彼女の呼び出されたのだ。


 この国に来てと。


 と言う設定。


 僕はまた身分証明証を偽造した。


 悪いことを沢山やると感覚って鈍るよね。と僕は犯罪者にしか共通できない感覚を考える。


 それと僕は文句を言いにここにきた。


「それでなんで僕をこの国に呼び出したんだ。こっちだって暇じゃないんだぞ?」


「あなた暇でしょ?それに今回ルクス君を呼び出したのは訳があるの」


「その訳とは?」


 僕は唾を飲む。


「使いっ走りになってもらいたいの」


「お断りする」


「そう言わないで。王女たちの使いっ走りよ?光栄でしょう?」


「そんなの不名誉の何物でもないね」


 僕はここで少し引っかかる。


「ちょっと待て。王女た(・)ち(・)ってどう言うことだ?」


「何もかも、言葉の通りだけど?」


 その時カフェに二人の女性が入店する。それは黄色い髪のエルフと銀髪のエルフだった。


「紹介するわ。黄色の方がアルフス王女」


「こんにちわ」


 アルフスがお辞儀をする。


「こっちはサテルス」


「お初にお目にかかります。ルクス様」


 と彼女は優雅に一礼。様になっている。


「ど、どどどどどどどどど、どう言うことだ?」


 僕はアクセントを刻みルミナスに聞く。


「簡単に言うとあなたの役割は情報収集。WKCの。そして黒の奇術師の」


 僕は少し気になる言葉がる。


「黒の奇術師?なんだそれ?」


 僕は知らないアピールをしながらルミナスに聞く。


「わかりやすく言うと私たちの恩人よ」


「何の?」


「命の」


 僕はそれを聞きヘラヘラという。


「それはそれは、さぞすごい御仁なのでしょう」


「真面目にやってね」


「報酬は?」


「軽く10億ゼニ」


「やりましょう。僕に任せてください」


 こういい僕はこの場を立ち去った。


 彼女たちはなぜかあっけに取られていた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「それにしても清々しいまで金のために動いていましたよね。あの男」


 サテルスがカフェに椅子に座って目の前にいるルミナスにいう。


「そうね。でもだからこそ信用もできる」


「そうですね。欲に忠実。そうならば行動も簡単に計測できますから!」


 と可愛らしい声、可愛らしい顔で恐ろしいことをアルフスが言う。


「まあ、どっちみち黒の奇術師は大会参加者に混じっているでしょう」


「その可能性が非常に高いと思います」


 とルミナスが言う。


「そうですね」


 とアルフス。サテルスは難しい顔をしてルミナスを見る。


「どうするんだ?」


「うん?」


 とルミナスが疑問形で答える。


「黒の奇術師を見つけたとしてどうする?私たちにどうにかできる存在ではないですよ?」


「そうね。だけどまずお礼を言いたい。そうじゃなきゃいつまでも姉様のことは吹っ切れないと思うの。それと........」


 ルミナスが言葉に澱む。


「それと?」


 サテルスとアルフスが聞き入る。


「兄様のことが」


「兄様って前、話していたフェンリル王子のこと?」


「そう」


 ルミナスは頷く。サテルスたちには彼女がこの後喋ることがなんなのかわからなかった。


 なので驚きも倍増する。


「それがフェンリル兄様とデオさんが話していた『ジョウジン』と言う単語」


「それがどうしたの?」


 アルフスが聞く。


「関係があると思うの」


「え?なにと?」


 アルフスが驚いたように聞く。これにはいつもクールなサテルスでさえも目を少し見開いている。


「デオさんが喋ってたことは少ししか聞こえなかったんだけど.......」


「だけど?」


 アルフスとサテルスが急かすようにルミナスに近づく。これに少しルミナスは圧倒される。


 しかし答えは出す。


「デオさんがジョウジンについて詳しく言っていたところが少し聞こえたんだ」


「それが!?」


 サテルスとアルフスはもう無意識だが前屈みになっている。


「一つの体に二つの意識が存在する人間」


 アルフスが思い出しながら言う。


「確か、フェンリル王子は急に人格が変わったように、あ!」


 アルフスもサテルスも気付いたようだ。


「そうフェンリル兄様はジョウジンかもしれない」

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