↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/50

因縁は深く長く

 僕の用事それは、情報収集。


 大会のルールとか出場者とかそう言うの諸々。僕はそれをベルスにお願いする。


 そしたら彼女は気前よく「喜んで」と言い資料みたいなものを見してくれる。


 今回僕が一番知りたいことは大会のルール。


 正直出場者の実力とかはどうでもいい。


 僕は今回の終わり方を考えている。


 僕が考えている案は三つ。


 ・僕が優勝する


 ・人間の剣聖と戦い勝ち姿を消す


 ・メアリーと直接対決をしワザと負け彼女の花束を持たせる


 この三つだ。


 テンプレとしては人間の剣聖を破り、本当の正体つまり黒の奇術師となり黒の奇術師をただの愉快犯などとせず伝説的な存在にすること。


 それとメアリーに花束を持たせること。


 の二つかな?


 正直最初の選択肢は論外。まるで何もわかっていない。僕はそんな愚かな真似をしない。


 この世界の最強の存在である人間の剣聖を破り観客や国民に恐怖を与えて去る。我ながらカッコいいぞ。


 でもメアリーと後々師弟関係を作り、最後の修行として負けるのもあり。


 いやーどちらも捨てがたい。だけど個人的には人間の剣聖を破る方かな。


 その方がカッコいいと思うし、僕個人、黒の奇術師としての株も上がる。


 よし!


 今回の大会の方針は人間の剣聖を破り、本当の姿を表し、去る。の方針でいこう。


 それにしても大会予選が非常に楽しみだ。と思いながら僕は資料集のページを捲る。


 ルールを頭の中に叩き込みながら。そして一つ発見が。


 『魔力の量は個人差を出しすぎない為制限させる』


 僕は愕然とした。正直めんどくさいしそれだと面白くならないと思う。僕は心の中で大会運営に批判を唱えた。僕のそんな気も知らずベルスは僕に熱々のお茶を差し出した。


 僕はそれを啜る。


 うん、普通に美味しい。


 僕はちゃんと彼女にお礼を言う。


「ありがと」


「どういたしました」


 ちなみに現在僕が座っているところは畳。まさに和風建築。


 懐かしい。僕は前世を思い出す。


 僕は少し大会出場者で気になった人がいたから聞く。


「この剣鬼エンシス・フソーラって強いの?」


「剣鬼ですか、主様も今回は彼の行動に注目しているのですね」


 別にそう言うわけではないが一応有力な情報は聞いておこう。僕は彼女の話に耳を傾ける。


「剣鬼エンシス・フソーラ。彼は自分の実力、剣技に圧倒的自信を誇っておりモットーは弱肉強食。弱い者は強気ものに呑まれ強気ものは貪る。そういう事らしいです。そして彼の中でも彼は貪る側。なかなかの自信かでまさに唯我独尊。しかしその実力は人間の剣聖アペクスも一目置いており、今回の台風の目として賭けをしている人間たちからは人気が高いそうです」


「なるほど」


 僕は顎に手をそい相槌を打つ。


 そんなにすごい人なのか。僕はシナリオに彼も追加をし考える。


 そして僕の頭脳が閃く。天才的なストーリーは生まれた。それには予選で数々の伏線を仕込まなければ。


 僕は早速思考する。


 夜は更けていった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 ここはフソーラ王国の宮殿内のとある廊下である。


 そこを国際騎士団の制服を纏った赤髪のイケメン甘いマスクをしたアペクスが歩く。


 彼は視線を全くずらさず強者の雰囲気を出しながら歩く。彼の目は少し曇ってもいなかった。


 そして彼は足を止める。


 横には扉があり彼はノックをする。


「失礼します」


 彼はそう言い扉を開ける。返事を待たないのは彼が呼ばれてきたからだ。


 ならば返事を聞く必要はない。その通りである。


 アペクスは極めて合理的で素直なようだ。


「よく来たな」


 部屋に設置されているソファーに座っている一人の青年が彼に声を掛ける。


 彼はまず礼儀をし顔を上げる。その目は闘志に染まっていた。


「ええ、久しぶりですねエンシス様」


「そうだな久しぶりだ。アペクス。あれはエルフの森大遠征の時だっけか?」


「そうですね。それほど前です」


「それで俺が呼んだ用事はわかっているよな?」


「はい。だいたい察しがつきます」


「そうだ。俺と相棒を組め、アペクス」


「それはそれは嬉しい誘い、などではありません」


「だろうな!」


 エンシスは鼻で笑う。この状況を心底面白がっているそうだ。


「僕があなたと手を組むなんて考えられません。あなたの申し出など、もちろん断ります」


「そうだよな。だけどお前と相棒を組みたがる奴なんて沢山いるぞ?なんせ最強の剣聖様だからな」


 彼はニタリとした笑顔でアペクスの顔を覗き込む。


「それが何か?」


「その相手全員殺してもいいんだぜ?」


 アペクスが勝ち誇った顔をする。それにはアペクスも動揺を隠せない。


「・・・・・」


 最強の剣聖様は押し黙る。エンシスは更に汚い笑みを浮かべる。


「俺と組め。そして俺を優勝させろ。アペクス」


 彼は単刀直入にアペクスに言う。


 あとはアペクスが首を縦に振るだけ。それでエンシスの望みは果たされる。しかしそうはならない。


 現実は思い通りにいかないものだ。


「お断りかな。君は僕との因縁を忘れたのかい?」


「あんなことまだ覚えているのか?めんどくさい奴だな」


「君にとっては出来事の一つかもしれない。しかし僕には今でも昨日のように思い出す!」


 アペクスが言う。その声は少し熱くなっていた。


 エンシスは無言でアペクスを睨む。


「おい、前も言ったよな?この世は弱肉強食、強い奴が偉い、そして弱い奴はどんなに呑んでもいいってよ?」


「それは君の一方的な意見だろ?」


 アペクスはあの放送からは想像できないほどの冷たい視線をエンシスに向ける。


 彼もこれには少し動揺したようだ。


「それがなんだよ?」


「僕は君のその主張は完全に完璧に全てを否定する」


「そうかそうか。アペクスの考えはよく分かった。それで?どうすんだ?」


 エンシスは立ち上がり、彼を見下す。


 それは一般人では失神してしまうほどの威圧感があった。


 エンシスの耳につけているピアスが振動する。しかしそれにもアペクスは少しも揺らがない。


 これこそが強者の余裕である。


「あなたを、殺すまでだ」


 アペクスが冷たく言い放つ。


「殺ってみろ」


 エンシスもそれに応えるかのように言う。


 そしてアペクスは扉をあけ、部屋から去っていった。


 部屋には先程までのやり取りの緊張感だけが残った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。