イベントは起きるものではなく、起こすものだ
今回はすみませんが番外編はありません。第三章突入。
「ルクス君どこに行ってたんですか?」
とメガネ。
「本当にお前が連絡をくれないせいで大変な目に遭ったんだぞ?」
とイキオ。
命の恩人のその聞き方は如何なものか?
と僕は心の中で目の前で迫るメガネとイキオに聞く。
現在夏休みも、もう少しで折り返し地点、僕は次のイベントが来るのを待っていた。僕は片手にチーズケーキ、そしてそれを齧りながら彼らの愚痴を自分の部屋で宥めながら聞く。
だが一向にイベントは来ない。
僕はさすがに彼らに付き合うのが飽きたため、彼らの文句を流しながら窓の外の景色を眺める。
日照りが少し強くまさに夏。僕は季節ながらの暑さを感じる。
今日もこんな感じの普通のノンビリとした、異世界ライフを送っている。まるで夏休み前半のあの怒涛のイベント達が夢のようだ。
僕はボッ〜と考え、そして決心をする。
イベントは起こるのを待つのではなく、起こすものだと。
こうなったら最近で一番大きな大会が起きる国、僕の祖国、フソーラ王国に行くしかないか。
そう『WKC』の舞台に上がるしかないだろう。
黒の奇術師として。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「身分証明証の偽造ですか.........」
トリアが言う。現在僕はフソーラ王国に渡るためにトリアに身分証明証を偽造するためにお願いをしている。
別に密航しても良いんだけど、そしたら面倒なことになりそうだ。
僕はそう結論に至ったから今に至る。
「わかりました」
「え。いいの?」
「それはもちろん主様の願いはなんでも聞きますよ」
「さすがトリア」
と僕はとりあえず彼女を褒める。そしたら彼女は嬉しそうに言う。
「滅相もございません」
本心はわからないけど。
「じゃあお願いするよ」
「わかりました。ではいつ頃に完成させればよろしいでしょうか?」
「最短はいつ?」
「そうですね........では今日の午後3時にまたここに来て頂けませんか?」
いいねトリア。察しが良い。僕は感心する。
「オッケー、じゃあ午後3時になったらまたここに来るよ」
僕は時計を確認する。時計の針は午前12時を刺していた。
「じゃあ、また後で」
「はい、あ、名前はどうしますか?」
「そうだな.......」
僕はここで名案を思い付く。
「名前は.......」
そして僕はその場を後にした。
午後3時にちゃんと身分証明証は完成していた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『WKCの今回の注目選手はなんといっても国際騎士団の団長そして歴代最強の剣聖と言う呼び名を欲しいままにするアペクス・スペス・マクシムムさんに、今回ゲストとして来ていただきました!』
と魔音伝達機、つまりラジオのようなものでその番組の司会者、パーソナリティーがテンション高めに言う。
『この紹介の後では少し恥ずかしいですし、僕が歴代剣聖の中で最強と言うのも恐れ多いのですが、まずは自己紹介を』
と彼は優雅に、そして華麗に前置きをし自分の紹介、つまり自己紹介を行う。
『私の名前はアペクス・スペス・マクシシムと申します。年齢は17歳です。趣味は剣術の鍛錬稽古、それと、お茶会ですかね?』
とこの街、フソーラ王国の王都に様々な所に設置されている、緊急放送用の魔音伝達機で彼の自己紹介が街中に流れる。
その度に街中の年若い女性達が「キャー!!」と悲鳴に近い正に、ある意味悶絶の声を出す。
その光景を見た若い男達はアペクスに殺意を覚える。そんな事は露知らず彼らは話を進める。
『いやーそれにしても、どうして今回はこれまで出場を辞退されていたWKCに出場しようと思ったのですか?』
司会の男が聞く。それは正に視聴者たちの聞きたいことでもあった。
それはこれまでWKCに出場を辞退してきたアペクスがなぜ、今回の大会に限って出場しようと思ったのか?
アペクスが頷きながら答える。
『そうですね、僕が今回出場しようと思った理由は、今回あの人が出場をするからです』
『あの人、あああ!つまりあの人ですか!』
『そうです』
とアペクスは何も隠さず答える。
『視聴者の皆さんも既にお分かりでしょうが、アペクスさん、答えをよろしくお願いします!』
『僕が出場を決めた理由はフソーラ王室の剣鬼とも呼ばれているエンシス・フソーラ様です』
そのアペクスの言葉が王都中を流れた時歓声が上がる。
「ついに直接対決が見れるのか!!」
「これは絶対に見に行かないと!」
「めっちゃ楽しみだぜ!」
などなど、様々な歓声が街中を駆け巡る。
『なるほど、これは今回のWKCは見逃がせそうにないぜ!』
と司会が興奮気味に伝える。視聴者達の気分も上々だそして締めくくる。
『それでは、皆様、会場でお会いしましょう!』
そしてスポンサー紹介が行われ、番組は締め括られた。
それを一人の獣人の少女が聴いていた。
そんな彼女の表情は他の視聴者達とは違く、険しい表情だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「はあ、お腹すいたな」
獣人の少女がフソーラ王国の王都の路地裏で耳をピコピコさせながらそう呟く。
それもそのはず、彼女はここ数日、ほぼ何も食べていなかった。お腹がなる。
彼女の顔は汚れているがそれもよく見るとなかなかの美人だった。
現在彼女の年齢は15。これからもまだまだ美人になるだろうが、顔が汚れていては意味がない。
しかし彼女は自分の顔にそこまで興味はなかった。彼女の興味があるのは、強くなり、大会に勝ち、その賞金で生きること。この二つを達成するために彼女は現在、絶賛努力中だった。
だが腹が空いたら何もできない。彼女は壁に背をつけ、蹲り、出来るだけエネルギーを使わないようにする。
だがその考えは外的要因のせいで成し得る事はできなかった。剣が彼女の首に迫る。
彼女はそれを自分の背中にある剣で防ぐ。
「何者ですの?」
「おっと、これを防ぐか.......やるな」
「質問に答えてください。何者ですか?言わねば騎士団に突き出しますよ」
「まあ簡単に言うと俺らは商人に雇られた人間だな」
「奴隷商の方にですか?」
「御名答!頭がいいな嬢ちゃん。もしかして良いとこの出か?」
「それをあなた方に答える義理はありませんわ。即刻この場を立ち去ってください」
「そんなことするわけねえだろ?」
彼らはニタニタとした笑顔で彼女に近づく。数的そして体格的にも彼女は不利だった。
だがそこにまたしても外的要因が。彼らの首が飛んだ。獣人の少女には何が起きたのか分からなかった。
しかし暗闇から一人の青年が出てくる。彼の両目には刀傷があり前が見えてなさそうだった。
しかし彼には圧倒的強者の風格が漂っていた。




