ジョウジン
魔女の塔が崩壊する少し前ディオたちは魔女の祠に辿り着いていた。
そしてそこには幼い少年姿の一人の上級精霊が。
「君たちなんなんですか?私は魔女の、母さんの夢を叶えてあげたいのに?」
少年の声は苛立っていた。だがそれでもディオの笑みは止まらない。
「ふふふ、不様ですね」
「何だとッ!?」
彼の声が苛立ちから怒りに変わる。だがそれすらもディオは楽しんでいた。
「自分の母親と幸せになるために健気に頑張る精霊.......何ともいいじゃないですか。まあ真意に気づいてない時点で減点ですが」
「真意?母さんの真意は生きたい、僕と生きたい事じゃないのか?」
彼は探るように言う。それをルミナスは眺めていた。サテルスは抜刀の構えに入る。
積年の恨みを晴らしたいようだ。
なぜなら彼の横には気絶しているのか動かないアルフスがいるからだ。これでもサテルスは気持ちを抑えている方である。
そんなことを考えずディオは話を進める。
「真意、簡単に言えば、あなたは利用されているだけです」
「なッ!?」
「ふふふ、驚かれているようですね?でもあなたも薄々感じているんじゃないですか?相手は魔女ですし?」
「お前、どこまでも、僕や、母さんを馬鹿にすれば気が済むんだ......」
少年の声が昂る。ディオは笑っている。
「許さない!!」
それは怒号だった。彼は一直線にディオに飛び向かう。
彼の顔から猫のような飄々とした笑みは消えている。
この速度はサテルスさえ反応できない速度だ。ディオの命運つきたり。もちろんそんな事はない。
彼はディオの手前で止まる。
結界だ。
そして彼は動けない。
「捕縛の結界です。注意を怠りましたね?」
彼女は空中で止まる精霊に話しかける。彼の目から涙が流れる。血の涙だ。
「許さない許さない許さない許さない許さない許さない」
「うるさい」
サテルスが両断。彼の体が半分に切れ彼は粒子のような物になり切り口から消えていく。
「違いますよね? か あ さ ま .......」
そして彼は消えた。アルフスのもとにルミナスとサテルスが駆け寄る。嫌の予感がした。
「アルフス様!アルフス様!?」
サテルスが呼びかける。
「アルフス、アルフス!」
ルミナスもまた同様に呼びかける。
その瞬間サテルスの腕の中でにいる少女の瞼が少し動いた。
「うーん、うるさいよ......」
彼女はまだ寝ぼけているようだ。
ルミナスとサテルスは向かい合い安堵の息を吐く。それをディオは眺めて、彼女の瞼が少し動いたのを確認した後、彼女は祠に書かれている古代文字を部下たちと共に読もうとする。
ちなみに古代文字はもう解読済みである。彼女は古代文字を解読する。
そこには衝撃の事実が書かれていた。
『私は魔女。私はジョウジン。私は過ちを起こした。ここで眠る。ここは儀式の会場。ここは死の終着点。ここはあの人との待ち合わせ場所。ここは世界の中心。私はジィウジン。ジョウジンは一つの体に』
ここで祠は削れ読めなくっていた。だがこの先は予想がつく。部下たちはディオの方を見る。
そしてディオは呟く。
「ジョウジンは一つの体に.......二つ以上の意識が存在する者」
部下たちがそれぞれのメモ帳にそれを記す。そしてディオはその場を離れこう呟く。
「魔女はジョウジンだった。それなら主様は.......」
彼女は上の方を向きそう呟いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
それから少し調査を行った後彼女たちは道を引き返し外に出ようとした。だがまさにその時である。
魔女の塔が揺れ始めたのだ。サテルスは抱えているアルフスを守ろうと体を丸めて体を張ろうとする。
流石にこの展開は彼女にとって予想外のことだ。いやそれでこそ主様だと、ディオは考える。
そして様々な天井が崩れてくる。木や、地面、魔物さえも崩壊していく。そしてついには彼女たちの足場さえも。
そしてその瞬間ディオは決断する。ディオの隣に黒い円が出る。それは移動魔法の一種だ。
「皆さん!この中に入ってください!」
「わかりました」
ディオの部下たちは彼女の言う通りに入っていく。
だがルミナスやサテルスは揺れが酷く身動きができない状況だ。ディオはため息を吐く。
そして魔力を高めサテルスとルミナスを浮かす。これには二人も驚愕の表情。
「浮遊魔法!?」
「そんな、あれは伝説の魔法のはずじゃ.......」
何か言ってるがこの魔法を使っている状況で手一杯のディオは耳に入っていなかった。
そして彼女たちはそのまま黒い円の中に入れた。そして自分も入る。そして円はしまった。
ディオとルミナスたちが合流することはもうなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ルミナスたちは黒い円の外に出る。そしてこの場には彼女を含め三人しかいなかった。彼女は辺りを見渡す。
だが人影はなし。それに彼女たちがいる所は街のはずれにある森の中だった。
向こうに緑の光に包まれる街が見える。そしてサテルスは起きる。同様にアルフスも目が覚めたようだ。
彼女たちは今でにも声をあげて喜びたい所だがそれどころではなかった。
彼女たちもルミナス同様に街の様子に目を奪われていたからだ。その神々しく慈悲深い緑の光に。
「これは黒の奇術師が........」
ルミナスが言う。そしてこの意見に前のように異を唱える者は誰もいなかった。
彼女たちは街を見ながら話を進める。
「私たち、ちっぽけな存在でしたね」
ルミナスが言う。
「そうですね。どこかで自意識過剰になっていたのかも知れませんね」
サテルスが言う。
「こんな感じでは、私たちは真実を知る資格もないのかもしれません」
寝起きのアルフスが言う。
真実を知る資格。
魔女の真実を知る資格。
デオについて知る資格。
そして黒の奇術師の真意について知る資格。
それは確かに彼女たちにはなかった。だが彼女たちは知りたかった。自分たちが何に巻き込まれているのか。彼らは何者なのか。そして自分たちは何をするべきなのか。
見極めたい。
その為には仲間が必要だ。彼女たちは向き合う。
そして手を繋ぐ。こうして彼女たちは真の意味での仲間になった。
真実は遥か先である。
この話で十万文字です!!
後少しで第二章が終わります!三章に入る際は少し日程を空けるかも知れません。ご了承ください。




