合体より融合の方がカッコいいし響きも良い
ディオは魔女の塔の一階層の森林を攻略中だった。
ディオの部下達が先導しそれをディオやルミナス、サテルスが付いていく、と言う表現はディオにとっては少し不本意である。
だがその不満を隠しながら彼女は主の為に行動する。
そして魔物達の襲撃も収まり会話をするほどの余裕が生まれた。
その瞬間を見計らってか、ルミナスが言う。
「どこに向かってるの?」
ディオの耳が少し動く。そして睨むようにルミナスに対し振り返る。ルミナスは少し怖気付くがすぐに顔を険しくし質問をする。
「私たちアルフスの奪還を目指しているんですよね?デオさん?」
ルミナスはディオを睨み返す。ちなみにデオはディオの偽名である。だがディオは全くそれに怖気付かない。
「あなた達の目的はそうかもしれませんけど、私たちは違います」
「なっ!?」
ディオの言葉に一番反応し驚いたのはサテルスだった。なぜなら彼女が一番アルフスの身を案じている。
そんな彼女が今ので驚くのは必然だった。だがディオはそれに見向きもせず話を進める。
「私たちの目的はこの塔自体。あなた達と共同戦線を組んだのは利害が一致していただけです」
「そんなっ!?」
サテルスの顔がどんどん歪む。彼女はとにかく不安そうだ。
ルミナスも俯く。
そしてルミナスがディオに言う。
「あなた達なら別に私たちと共同戦線を張らなくても魔女の塔を攻略できたんじゃないですか?」
ディオは喋らない。
そしてルミナスは勢いずく。
「それならなぜ私たちに手を貸すような真似をしたんですか!?」
ルミナスがそういうとディオがゆっくりと口を開く。
「あの方の意思だから。理由はこれだけです」
ディオはそう簡潔に答える。ルミナスは更に勢い付く。
「それじゃあ何の説明にもならない!あの方って誰?何で助けるの?何で、何で私たちを.......見捨てなかったの?」
ルミナスは最後は、細い声でディオに聞く。
サテルスもそのやり取りを心配そうに見つめる。ディオの部下達も驚き様子を眺める。だが返事はこれだけ。
「あの方の意思だからです」
「ッ!!」
ルミナスは圧倒される。
その意志の強さに。その心強さに。その信念に。ただただ圧倒された。
そして彼女達はまた黙って歩き出す。
そして彼女達は二階層に上がる階段には登らず、そのまま真っ直ぐ進んだ。ルミナスとサテルスは困惑していた。
彼女達はまた質問する。
「何で階段を上がらないの?」
「上の方にはアルフスさんはいません」
「どう言うこと?」
ディオがはぁ、とため息を吐き説明する。
「まずですね、私たちがこれから目指すのは魔女の塔一階層にある魔女の祠です」
「魔女の祠?」
サテルスがディオの言葉を反復する。
「そうです。その祠の付近、もしくは祠の上にアルフスさんがいる可能性が高いです」
「なぜ?」
ルミナスがすかさず質問を入れる。
「えー、今回アルフス様が誘拐された理由はアルフス様が適合者だからです」
「適合者?」
ルミナスが言う。
「適合者それは因果と言ってもいいでしょう。アルフスさんは魔女達の精神と適合できる唯一の肉体保持者なのです」
「魔女と適合.......?」
サテルスが震える声で言う。
「ええ」
とディオの声も少し真面目になってくる。
「アルフスさんは簡単に言えば魔女が肉体を持って復活するためにアルフス様を攫ったのです」
ディオがそう、説明する。サテルスは絶句していた。
そしてルミナスも状況が整理できていない。ディオが二人の状況をそう察知しもっと簡単に説明する。
「つまり、アルフスさんと幸せな明日を迎えたいなら、魔女の精神とアルフスさんの肉体が融合する前に取り戻さないと『ダメ』という事です」
ディオが説明し終える。
「うそ.......」
サテルスはまだ現実と向き合えていられないようだった。
そしてディオは歩きを早める。ディオは心の中で彼女二人に同情する。
そしてディオは作り物の空を見つめる。
空は澄んでいた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕はまた白い空間に戻ったからまた椅子に座った。
彼女も泣き止んだようでやっと僕の方を見る。その目は少し充血していた。
そして彼女は恥ずかしくなったのか、急に話題を逸らせようとしてくる。
僕もこのままでは気まずいからその案に乗る。
「どうだった?」
「君の過去?」
「違う」
彼女は少し機嫌悪そうに答える。何で機嫌を損ねたのか分からない。
「じゃあ何?」
僕は諦め聞く。
「あの男」
僕は彼女のあの爽やかイケメン英雄さんについての分析を求められた。
僕はやっと合点がいく。だけど少し困る。
なので僕はこう答える。
「どうって言われても.......」
と僕はお手本のような回答をするがこれは違ったようだ。
僕は仕方なく彼についての分析を話す。
「彼、結構強いかな」
「だからどのくらい?」
彼女は少し呆れるように言う。
僕は前置きなどせず今度から結論だけ話そうと決意する。
「君を殺せるくらい」
彼女の眉は少しも動かず結果だけを受け止めていた。そして彼女が息を吐く。
「だけど私、彼には殺されてないわよ」
「彼にはか」
僕が言う。彼女は頬を膨らませ怒ったように言う。
「なんか文句あるの?」
僕は彼女が少し幼く見えた。
お淑やかに見えたり幼く見えたり、不思議な人物だ、と僕はぼんやり考える。
そして僕は今回の本題に入る。
「それで終わらせるの?」
「そうね.......どうしようかしら?」
「僕個人としてはどっちでもいいかな」
「あら、そうなの?薄情な人ね」
と彼女が笑う。僕は真顔で答える。
「だけどこう言うのはテンプレ的には止めなくてはならないんだ」
僕は世界の真理を言う。世界の真理もこんなもんだ。
「世界の真理が何を指しているのか分からないけど、止めると言うことね?」
「そうだね」
僕は頷く。
「あなたにお願いがあるの」
「戦わないで、なんてのは通用しないよ」
「そう言うのじゃないわ」
と彼女は爽やかに答える。
「じゃあ何なの?」
僕は分からないから聞く。
だけど彼女は意地が悪そうな笑顔でこう答える。
「それは全てが終わったらね」
そして僕は刀を抜く。
衝撃が空間を走る。




