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この戦いがあと数年遅かったら........

「あれが君?」


「さあ?あなたはどう思うの?」


「え、君だと思うけど」


「そう。ならそうなんじゃない?」


「ふーん」


 僕は隣にいる紫髪の女性と会話をする。


 僕たち二人の視線は目の前ではしゃいでいる紫髪の少女に留まっている。そして僕は気になることを聞く。


「君、誰?」


 そしたら彼女が微笑む。


「もしかして結構前から気づいてた?」


 彼女はお淑やかな雰囲気を出しながら微笑む。


「それはもちろん。途中から仕草が違うでしょ?」


「さすがだね。黒の紳士さん」


 彼女は笑うように喋る。


「それで君は何人目なの?」


「ああーそっこまで気っ付いてったの?」


 もう既に彼女の喋り方は先程とは口調が違う。笑い方も違う。僕は少し眉を細める。なんかカッコいいかも?


「わったしは7人っ目」


「認めるんだ」


 僕が言うと彼女は頷く。


「主人っがいいと言っているっらね」


「ちなみに、君たちは何人までいるの?」


「わったしが最後」


「つまり」


「そう主人も。合わせて8人」


 すべての辻褄が合う。


「君は、いや君たちは多重人格なんだね?」


「そっう、と言いたっいけど少っし違う」


「違う?あってるでしょ?」


「私たちが彼女の中で生まれたの」


「生まれた?」


「そう」


「つまり君たちは違う存在ということ?」


「そっの通り」


 その瞬間彼女の姿が変わる。彼女は長髪の金髪で目はギラギラと殺気を放っていた。


 だがその殺気は僕に向けられてはいない。


 こう言う感じでいつも殺気を放っている人は異世界でよく見る。僕は頷きながら答える。


「姿も違うね」


「そっう。わたっしたちは、彼っ女に守っられているの」


 僕は頷きながら喋る。彼女はニンマリしながら言う。


「こっう言う存っ在を何っていうかしってる?」


「いや」


 僕は知らないアピールをする。すると彼女が「しょうがないな」の顔をし口を開く。


「それは......」


 その瞬間小さい彼女が住んでいる村で警報が鳴る。


 僕たちは話の途中だがそちらの方を見る。村人たちは家から出て煙が上がっている方を見ていた。


 僕たちもすかさず、そちらの方を見る。


 村では男たちが杖やら剣やらを持ち向かっていた。ちなみに僕たちの姿はこの人たちには見えていないようだ。


 僕たちが触っても彼らは気づかない。ちなみに触ったところは肩だ。隣で彼女が


「なっんだ。胸ぐらいさっわるかと思ったのに」


 とか言ってるけど僕にそう言う欲はないから大丈夫。僕は彼女の言葉には反応せず話を変える。


「僕たちも行ってみない?」


「そうね」


 彼女の顔と雰囲気が変わっている。


「あ、戻ってるんだ」


 僕たちは歩きながら現場に向かった。


 その瞬間場面が変わった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 僕たちはそこで凄いものを目撃する。


 それは人間だった。この人結構強そうだ。エナ達とも普通に戦えそう。


 あの人の格好から予測すると人間達の間では英雄とか勇者とか剣(・)聖(・)とか呼ばれてそうだ。


 そんな感じのキラキラした格好をしている。キラキラしているけどしつこい感じはせず顔も爽やか、性格が良さそうだ。でもなんかあの人と村の人たちは仲が良さそうではない。


 何でだろうか?


 僕は考えたがわからなかった。


「始まるわよ」


「ん、ああ」


 と僕は考えるのをやめ僕は彼らの方を見る。僕はふと思い彼女に聞く。


「そう言えば君、名前は?」


 彼女は僕の前に出ようとしていたが足を止め僕の方へ振り向く。そして僕に言う。


「ウィオラ。私の名前はウィオラ」


「ウィオラ.......」


 僕はその言葉を反復した。そして僕たちは彼らの方に視線を移した。


 ーーウィオラ。


 この言葉教科書に乗ってた気が........


 だが僕はその考えを否定する。


 もし載ってたとしても多分、名前が同じだけだ。僕は至って普通の考えに辿り着き彼らを眺めた。


 村人たちの顔は険しかったが僕の視線は彼らをみていない。僕はその近くの茂みで隠れて様子を伺っている紫髪の少女に視線が留まっていた。


 そして村人達の魔力が高まる。その瞬間爆風が吹く。


 村人達は空中で浮遊している。浮遊魔法を使えるなんて、この人たち結構強いかも?


 と僕は考える。


 ちなみに浮遊魔法を使える人が珍しいのを知ったのは最近である。


 だけどこの剣聖みたいな人の方が圧倒的に強い。爽やか英雄が村人達より高く飛んでおり彼らはそれに気づくのが少し遅かった。


 まず一人が気絶させられ二人三人、四人、そしてあっという間に剣を使わず村人達を制圧した。


 これで戦いは決したかと思ったがそうではない。まだ一人残っていた。


 それは紫髪の少女。彼もその存在に気づき彼女に歩み寄る。


 彼は敵対意識がないことをアピールするがそれはもちろん通用しない。


 彼女は数千本、いや数万本の氷の柱を生成する。


 これには彼もそして僕も驚く。彼は剣を抜く。そして氷の柱全てが彼を襲う。だがそれを彼は全て撃ち落とす。


 彼女も結構強いけどまだ彼には及ばない。


 この戦いがもし一年、いや半年も遅ければ結果はわからなかっただろう。


 だけど今はまだ彼の方が強い。少女は爽やか英雄を仕留めてないことに今気づく。だけどその時にはもう彼女の首には剣が突き立てられていた。


「ーーッ」


 彼女は涙目になりながら両手を上げる。そして男は剣をしまい彼女を縄で締める。


 彼女はまだ肉体的には幼い。逃げ出せないだろう。戦いは決したようだ。


 そして場面が変わる。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 僕たちの目の前には燃え落ちた村の光景が広がっていた。


 そして紫髪の少女がそこで立ち尽くしてる。その顔は放心状態だ。


 僕は隣にいる紫髪の女性を見る。


「現実って残酷ね」


 と彼女はなぜか他人事のようなコメントをする。まあ僕も正直それくらいの感想しか出ない。


「なんでこんなになってるんだろう?」


「さあ?あの男が村を燃やしたんじゃない?」


 と彼女は言いその場でしゃがみ込む。彼女の顔は僕には見えない。


「あの人はそう言うことをやらなそうに見えたけど。戦っていた男の人たちも殺してなかったし」


「それなら彼の部下達とか」


 と彼女は言う。


 僕は聞き逃さなかった。彼女の、最後の方の声が少し裏返っていた。


 僕には彼女の顔が見えない。表情も分からない。感情も分からない。だけどこれだけはわかる。彼女は静かに、悟られないように泣いていた。


 そして僕はその事について言及しなかった。僕はまた村の方を見た。


 そして気づく。


 紫髪の少女も彼女と同様に泣いていた。そして空間が崩壊した。


 元の白い空間に戻る。

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