猫のように飄々とした性格は空気を読めない証拠
サテルスは上級精霊に対し先手を取る。
サテルスは踏み込み敵を間合いに捉える。
そして斬撃。
だがその一撃を上級精霊、もとい少年はそれを片手で受け止めていた。
「サテルス気をつけて!」
アルフスがサテルスに言う。サテルスはただ頷いた。
「凄いですねーこれでまだ16年しか生きていないなんて。エルフだから潜在能力は高そうで、末恐ろしいですね」
少年はニコニコしながら言う。サテルスは剣を下ろす。
「聞きたいことが山ほどあるんだけど、まずあなたは何者?」
サテルスは厳しい目つきで少年を睨む。だが少年は何も臆さず淡々と答える。
「あ、これはご挨拶が遅れました。私は精霊の名前はファンタシア・マレフィカと申します。精霊なので性別は無し。年齢はそうですね.......1000歳ほどでしょうか?以後お見知り置きを」
彼は優雅に一礼をし、その凛とした顔でサテルスを見る。
彼から上品な品格が伝わってくる。
彼女は相手の空気に呑まれないように質問をどんどん続ける。
「質問その②」
「なんか尋問みたいな形式の質問のしかたですね」
ファンタシア少し苦笑しながら、サテルスにツッコミを入れるがサテルスは無反応。
「では、あなたはなんの理由でアルフス様を連れ去ろうとするのですか?」
サテルスはさっきよりも格段に厳しい目つきで少年を睨む。
そのことは彼も感じ取ったようで少し対応がギココチなかった。
「なぜ......難しい質問ですね。多分この質問の答えをどんな丁寧に答えてもあなたは怒るかもしれませんし、誤魔化しても後々あなたに恨まれる。どうしたものでしょうか?」
少年は回りくどい言い方をする。そんな彼に呆れサテルスが補助を出す。
「怒らないから理由を答えなさい。言えないなら、この場で排除する」
彼女は真剣なトーンで彼に恐怖を与えようとするがもちろんそれは彼には通用しない。
彼は飄々と猫のように気ままに答える。空気を読まない人間の特徴だ。
「簡単に言うと、私の意思と言うよりかは魔女の意思ですね」
それはサテルスにも驚きの展開であった。
「魔女の意思?だけど魔女達は絶滅したはずじゃ?」
その時その場の空気が変わる。
「........おい口には気をつけろ」
彼のトーンが変わる。
「お前如きが魔女達は、あの方達を語るな」
「だが絶滅した。これが真実じゃないの?」
サテルスが彼に聞く。
「それもそうですね。今回は僕に非がありました。謝罪します」
彼は頭を下げる。
「意外と素直なのね」
サテルスは笑うように言う。
「それが紳士ですから」
「そう。だけど生憎、紳士様の願いは聞けませんね。なぜならアルフス様は行きたがっておられませんから」
「そうですか。では強制的にお招きします」
「出来るものならやってみろ!!」
サテルスはファンタシアに切り掛かる。
だがこれも彼は素手で受け止める。
だが次の瞬間ファンタシアの手のひらが炎に包まれる。その手を他人事のようにファンタシアは観測している。
「へぇ〜その年でこれが出来るんですか。なるほど、剣聖ですね」
彼は妙に納得したかのように頷き自分の手を切る。
「これで片手。案外上級精霊様も大した事ないんですね」
「そうですかね?それはこれからの結果で決まるんじゃないですか?ですがあなたはやはり秀才ですね。魔法効果を剣に付与をできるなんて」
「こんなの基礎中の基礎でしょ。さあ次!」
そしてサテルスはファンタシアと斬り合う。
戦況はサテルスに有利に見えたがなぜかサテルスの戦況は悪かった。
なんで?どうして?
戸惑いの感情だけが彼女の心にある。
「なぜ、自分の力が通用しないのか。戸惑っているようですね」
「ッ!!」
「簡単に言うと僕は結界を張ったんです。だからダメージは少ない。それに比べてあなたは全てのダメージをそのまま受けている。このままではあなた大切な人を守りきれず、死にますよ?」
彼は視線をアルフスに向ける。
それはアルフスを誘っているかのようだった。
そしてその誘いに彼女は乗ってしまう。
「待ってください。私があなたについて行けばあなたは私とサテルスの命を保証してくれますか?」
彼はアルフスを見る。
「ええ、もちろん」
「なッ!?ダメですよ!アルフス様!」
「大丈夫サテルス。今はこうするしかないの。だけど、いつかでいいから、」
アルフスはサテルスに近づき耳の近くで囁くように言う。
「助けてね」
「だめ、アルフス様」
アルフスは彼と一緒に同じスピードで同じ方向に歩き始める。
「ダメ、ダメ、ダメ」
だがアルフス振り返らない。
「イヤだ、イヤだ」
アルフスは歩く速さを早める。
「アルフス!」
サテルスが叫ぶ。アルフスは振りかえそうになる。
だがその瞬間、転移の魔法が発動される。
ファンタシアの顔には悪魔のような笑顔がついていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「つまりアルフスは攫われたってこと?でもなんで?」
サテルスはルミナスにこれまで経緯を大体話し終え一緒に今回の出来事についての考察、それとこれからについて考えていた。
「ファンタシアは魔女の意思と言っていた。だから私としては魔女の塔を目指すべきところにすればいいと思うの。」
ルミナスはサテルスに作戦を持ちかける。
「だけど塔に入ってどうやってアルフス様を助けるの?居場所も魔女の塔内部がどうなっているのかもわからないのに」
だがルミナスは首を横にふる。
「唯一簡単に魔女の塔を攻略できる手段があるかも知れないの」
ルミナスは言う。
「それはどこ!?」
サテルスは前のめりになって聞く。ルミナスは勿体ぶらずに言う。
「それは魔女の塔の外部。つまり魔女の塔を攻略するんじゃなくて登るの。外側を」
「つまり塔の中には入らないで外を自力で登るってこと?」
「その通り」
サテルスは絶句する。
そんな事不可能だ。魔女側も馬鹿ではない。結界や色々小細工などが仕掛けられているに違いない。
だがそれでもサテルスはやらなくてはならない。
愛する妹のためにも。
そして彼女の父のためにも母のためにも。そして目の前にいる友人のためにも。
「わかった。登ろう、魔女の塔」
そして彼女達は塔に登る決心を固める。
そして次の瞬間塔の方で鈍い破壊音、衝撃音が響き渡った。




