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さぁ!念願のスローライフスタート?

 この馬車の揺れの少なさ。それはある意味丁寧に護送していると言っていいだろう。囚人としてだけどね。


 今、僕が乗っている馬車の周りには100人ぐらい騎士がいる。みんながみんな、実力者だ。


 だけど多分騎士の人たちは運んでいる囚人の正体を知らないだろう。


 宰相たちからは多分ただの犯罪者と言われているだろ。じゃないと6歳の子供を運んでいるだけなのにこんなに緊張するはずがないのだ。


 なんか申し訳なくなってきた。


 でもこの馬車の内部の音が外に漏れるがずがない。なぜならそういう結界がこの馬車には仕掛けられている。


 そして中からは外の様子を見ることができるけど外から中の様子は見れないはずだ。


 それなら子供だと気づくしね。


 まあ今回は大人しく追放してもらう予定だし別にいいか。


 ちなみに食事は生産ガチャの力でどうにかしろと言われている。別に減る物でもないしいいかと承諾した。


 でも結構美味しい。カスカスのパンだけとかではなく、ちゃんとあったかいスープも出てくる。


 ちなみにガチャから直接食べ物が出る音ではなくカードで出てくる。まあそっちの方が保管しやすいしね。


「ごちそうさま」


 綺麗に手を合わせた後、役目を終えた食器たちは光の粒子となり消えていった。この消える消えないは主人がいるかいらないかで、決まるらしい。それももう実験済みだ。


 馬車の椅子に寝っ転がる。不毛の大地までは約一カ月。今は一週間ぐらい経った。まだ全然距離がある。


 こんなに遅いなら僕が本気で走ったほうが早くつく。


 話は変わるがこの世界には魔力と魔法という存在がある。魔法は魔力を使い起こす現象だ。だが魔力は人間の感覚を極限まで極めたり身体能力を強化したりできる。


 使いやすいのはどちらかというと魔力の方だ。


 魔力は近接戦闘の時に役に立つけどやはり魔法が直撃したら耐えられない。強さでは魔法だけど使い勝手は魔力の方が上だな。と言うことを色々実験して気づいた。


 ちなみにこの世界では魔法をうまく扱えることができればエリートと呼ばれる。個人的には魔力の方が使いやすいけどね。


 そして遂に不毛の大地についた。ちょうどピッタリ一カ月。今はまだ冬と春の間なので少し涼しく快適だった。そして馬車が止まる。そして騎士そして僕がいた馬車を引っ張ってくれていた馬もどんどん帰路に着く。


 そして最後の一人もいなくなった。そして馬車から出る。そして僕はカードを空高く掲げる。


 そのカードには SSS+ と記号が書かれていた。


 その記号は虹色に輝いていた。息を吸う。


「顕現せよ ルクス四柱 一忠のエナ!」


 俺はカードに書かれている文字をそのまま言う。


 顕現は何となく付け足した。


 そして辺りは眩い光に包み込まれた。


 そして光が収まった頃に目の前に美少女がいた。髪は綺麗で主張が少なく鮮やかな金色だった。


 目は鮮やかな水色。


 遠目で見ても美人だとわかる容姿を彼女はしていた。年齢は15歳ぐらいだろうか?


 そして彼女は辺りを見渡し唇を噛む。そして彼女は口を開く。


「申し訳ありません。神のような力を持つ主さまをこのような場所に............どうか私の償いは奴ら全員を私が葬った後にしていただけないでしょうか?」


 いいねいいね〜正にザッ!テンプレって感じ〜ではその渾身の演技に僕も乗るとしよう。


「いや、殺すだけでは生温い。」


「それはつまり!?」


 エナは嬉しそうに顔を上げる。演技に乗ってくれたのがそんなに嬉しかったのかな?


「奴らには死にたくても死ねないと生き地獄という名の ”復讐〟 を与えてやる!」


「おおー!!」


 エナはあからさまに喜ぶ。僕もノリノリで演技を続ける。そうこれが生産ガチャの隠されていた能力。


 人間を出せるのだ。


 それもとても強い。多分この子もめっちゃ強い。多分この世界では最高峰の実力だ。


 まあ僕の方が強いけど。


 でもまさかそのカードから出た人間にこれほどの演技力があるなんて。


 多分数日もしたら復讐のことなんか忘れてスローライフを送っていると思う。


 遂に念願のスローライフだ!



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



ーーー9年後


 僕は今日も寮の自室で目を覚す。部屋のドアにはルクスと書かれた小さな板がぶら下がっている。


 もちろんそれがかかっているのは部屋の外側だ。


 そして僕は着替えるために大きな鏡の前に立つ。そこに写っていたのは黒髪黒目の少年だ。


 多分これが金髪のフソーラ王国のルクス王子だと言われても誰も信じないだろう。僕は制服の袖に手を通す。


 まさかこっちの世界に来て学生になるとは夢にも思わなかった。僕は目を閉じあの頃を思い出す。

 

 あれは確か九年前。まだこの不毛の大地に追放されたばかりの頃。




「主様。私が意見などおこがましいのですが、一つ助言宜しいでしょうか?」


 エナは不毛の大地1日目の夜食を摂り終わった僕に話かける。


「いいだろう」


 僕はゆったりと迫力を出して言う。


「この先、主様の復讐を果たすためには圧倒的に人員が足りません」


 まあそれはそうだろう。だって今二人しかいないし。多分負けることはないけどそれでもいつかは限界が来る。


 まあ復讐なんてするつもりは無いけど。まだ演技を続けるのかな?


「まあそうだな」


 返事を適当に返す。


「なので主さまのスキル 生産ガチャ の力の一端を少し貸して欲しいのです。もちろん主さまには負担をかけません。ダメでしょうか?」


「いや、まあいいけど。」


「ありがとうございます!」


 エナはお辞儀をする。生産ガチャはスキルの主が承諾すればガチャを貸すことができる。


 ちなみにスキルの主が承諾しなければ触るのはおろか、存在を見ることもできない。


 王国ではこれがこのスキルの唯一の長所だと言われていた。


 そしてその日からエナにガチャを使うことを許可した。


 ちなみにこの許可は取り消すことができる。やはり便利なスキルだ。

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