ラミアを出る前に何かしらのイベント求む!
「ハァ〜」
と僕は歩きながらため息を吐く。
僕は今日この街でもしかしたら何かしらの大きなイベントが起きることを信じて町中の商店街で押し売りもされながらも粘り強く練り歩いた。
だけど今のところこの街では大きなイベントはもとより、小さなイベントさえも起こらない。
あのさ、こう言う感じの街だと何かしらの因習、なにかしらの宗教が広がっていてそれを僕が阻止するべく暗躍するんじゃないの?
と僕は思う。
まさかそれらがあると思ってるのは、僕だけなのか?
と僕は前世のゲームし知識や小説知識のテンプレを駆使した予想が外れたことに悪態をつく。
そして僕は今日はもうイベントが起きないと思い、諦めてホテルの方へ足を向ける。
空は少しずつ少しずつ暗くなっていたがまだまだ明るかった。
そして僕は押し売りをなんとか回避しながらホテルの目の前まで来る。
ふいに空を見上げる。
その時には空はもう暗く黒くなっていた。そしてその中で一点の光が。
尋常じゃないほど黄色く輝く月が今夜は非常に綺麗だった。
僕はホテルの扉を素早く開け中に入る。
少しでも僕がこのホテルを利用したと言うことを隠したい。目立ったら嫌だしね。
そしてなぜか今日の夕食はとてもとても豪華だった。
イケさんが言うには観光が今日と明日の昼までらしい。
まだ大きなイベントには遭遇してないし色々心残りはあるがこれでも予定がない夏休みを埋めることができたのだ。
ここはありがたくこのご厚意を頂くとしよう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕は夕食を食べ終え温泉に入るためにホテルの廊下を歩いていた。
もしかしたらこの入浴がこの街で最後になるかも知れないと僕は思う。せめてゆっくりと入ろうと決意する。
そして前の方から人物が一人。その男は背が高く、まさに少女漫画に出てくるような顔立ち、長くもあり短くもある髪型に、それをさらに目立たせる金髪。
外に出たら目立つの間違いなしの人物。
それがセブンナンバーの一人 SS+ ホスト アモルである。
向こうも僕に気付いたようだ。
「コンニチハ。アルジサマ」
と彼はやる気がない挨拶をする。
僕は「お、おう」と冷笑で返事を返した。
僕はできるなら彼と関わりたくない。
そして多分向こうも僕が好きではない。アモルは小さく呟くが僕には聞こえてしまった。
「チッ、あの女に寄生するしか脳の無いアニサキスが!」
よし、聞かなかったことにしよう、と僕は心に決める。
そして今の言動で確信する。
彼は僕の事をどちら方言うと嫌いだろう。
なぜなら彼は男は人間として認識できなく、自分以外の男はずべて羽虫以下だと思っているらしい。僕はその中でもアニサキス。
低いのか高いのかわからなかった。アモルが僕を見るなり、まさかゴキブリでも見たかのような顔をするのはそう言うことだ。
うん、流石にこの反応は僕でも傷つく。あからさま過ぎるからね。
そして彼は僕と反対方向へ走って行き姿を消した。
僕はなるべく彼と会ったことはを忘れようとしながら温泉方面へ歩き出した。
そして僕は脱衣所につき丁寧に服を脱いでは畳む。畳むのは小さい頃からの癖だ。
あ、今言う小さい時っていうのは前世の時ね?
そして僕は体にタオルを巻き扉を開ける。
タオルを巻く、それはつまり前回のようにディオがいるという事だ。
「あら主様奇遇ですね?」
「そだねー」
と僕は彼女を適当に躱わしつつ体を洗う。
昔一度体を洗うのも魔法でやろうと考えたけどそれは実現できなかったな、と思い出す。
そして僕は湯船に浸かる。ああ、ちょうどいい湯加減だ。
「主様、月が綺麗ですね.......」
とディオが。
これには僕も同感。
「そうだな」
と月を見る。
そして僕はおかしなことに気付く。
「ねぇディオ」
僕はディオになるべくく、動揺を悟られないように声をかける。
「なんでしょうか主様?はっ!もしかして遂に今夜、私と......」
違う。それは違う。何か盛大な勘違いをディオがしているようだが、今はそこには触れないでおく。
僕はそのまま話を続ける。
「今日さ、新月じゃない?」
僕は気になることを聞く。
「確かにそう言えば」
ディオは頷きながら真上にある月を見て、また僕に視線を戻す。
「じゃあさ、この月はなんだろう?」
そして僕らは黙り込みもう一度月を見上げる。
二人の視線は月に釘つけになっていた。
そしてその月らしきものは少しずつだが地上に近づいているようだった。
月は黄色く怪しげに輝いていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
少女が夜の街道を親に両脇を固めながら歩いていた。
今日は長く楽しい旅行が始まる日である。温泉に入る、それが彼らの今回の目的だった。
少女はふと空を見上げる。月が綺麗だ。
彼女はそう思いながら親の手を握る。そして親もまた少女の手を握り返す。
そして彼女達は歩いていた。幸せに。
よく人は幸せはいつ終わるか分からないというがこの幸せは永遠に終わらないだろうと彼女は確信していた。
それほど彼らは幸せの絶頂にいた。
そしてもちろん幸せには不幸が近づく。
次の瞬間親が少女手をさらに強く握りしめる。
それは少女にとって許容できる痛みではなく、傷みであった。
少女は親の手を振り払う。
親は少しして地面に膝をつき、動かなかくなった。
少女は困惑しまず親の肩を揺さぶってみた。反応はない。
少女は徐々に嫌な予感がしてくる。それを振り払うためにさらに強く彼らの肩を揺らす。
そして彼らの肩がピクリと動いた。少女は安堵する。
「お母さん、お父さん大丈夫?」
「な、何?」
それは捻じ曲がったような声で簡単に表すならその時もう二人は、人間じゃなかった。
だが少女はそのことに気づいていない。
そして彼らは立ち上がる。彼らは歯をガチガチと鳴らしながら少女の手を優しく握る。
それに少女はいつもの彼らの優しさを感じた。だがそれはもう既に造りものだった。
少女は彼らより一歩までに出て
「早く行こう!」
など言っている。そして彼らはこう返す。
「うん、今逝かせて上がるよ」
そして少女の背後から二人の口が迫る。それは多く開かれており、それは少女を捕食する為に開かれていた。
少女がそれに気づいた時はもう遅かった。少女は勢いよく瞼を閉じる。
そして血が飛ぶ。
だがその血は少女の血ではなかった。怪物の血である。
少女は閉じた瞼を恐る恐る開ける。目の前には夜の闇より黒い格好をした人物が立っていた。
顔には奇術師の様な仮面。
そして、その少年は怪しく笑っていた。
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