お尋ね者?お前が!?
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ルミナスはチラリと目の前の黄色い髪の少女を見る。そして彼女もチラリ。
二人の目が予想外のところであった。
「「あ、あの」」
声が重なり気まずくなり、両者また下を向く。
高級レストランで後ろの少女、アルフスに話しかけホテルの彼女の部屋で対面、まで漕ぎ付けられたのは良かったがどのように会話をすれば良いのか、ルミナスはわからなかった。
それもそうだ。彼女はここ数年同世代の友達と会話をほぼしていなかった。
いや、厳密に言うとあるのだが、それは上辺だけの関係だった。
だが今回ルミナスは彼女と上辺だけの関係ではなく本心を隠さずに付き合いたいと思っていた。
そのため彼女は今、どのように会話をすれば良いのか困っていた。そしてルミナスは決めた。
目の前にいる彼女の話題を振って貰おうと。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
アルフスはチラリと目の前のオレンジ髪の少女を見る。
そして彼女もチラリ。
二人の目が予想外の所であってしまった。
「「あ、あの」」
二人の声が重なりさらに気まずくなる。そして両者また下を向く。
高級レストランで後ろにいた気品のある少女、ルミナスに話しかけアルフスが止まっているホテルの部屋で対面、まで漕ぎ付けられたのは良かったがどのように会話を始めれば良いのか、アルフスはわからなかった。
それもそのはず、彼女は同世代の女性と気軽に話した事がないのだ。
アルフスは同世代の人間関係には奥手の方だ。そんな彼女が自分から会話を切り崩せるわけがない。
彼女は黙り込む。
そして当然、彼女は最後の手段にすがる。
目の前のオレンジ色の紙の少女に何か話しやすい話題を振って貰おうと。
そしてぜひその時は会話を弾ませたいと。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
サテルスは二人の少女の
『会話 後だし 頭脳戦』
が繰り広げられているのを眺めていた。
これが高みの見物なのだろうか、と彼女は思い、そして同時に情けなさを感じる。
この目の前にいる少女二人はこれでも両方大国の王位継承権保持者なのだ。
そんな彼女達が二人しかいないこの場で両方とも話を切り崩せるただただ黙っている状況に彼女は少し嘆いていた。
ちなみにこの部屋にはルミナスと、アルフス、そしてサテルスの三人しかおらずルミナスの配下達は皆、建物の外で待たされている。
これはルミナス自身が申し出たことだ。
サテルスはどうせ配下達のなかに間者でもいるのだろうと、予想する。
そしてサテルスはまた目の前の状況に意識を戻す。
状況は変わらず両者黙り込み会話や関係に何の発展もなかった。サテルスは考えた。
ここで自分の主のために一肌脱いでやろうと。
「ルミナス・アモール様お初にお目にかかります。わたくしはアルプス王国第一王女 アルフス・アルプス の護衛であります 剣聖 サテルス・ドミヌス・グラディイと申します。以後お見知り置きを」
サテルスは深々と優雅にお辞儀をする。
そしてそれでルミナスとアルフスは正気を取り戻したようだ。
最初ルミナスがスカートの袖を広げ優雅にお辞儀をしながら自己紹介をする。
「初めまして。私はアモール王国の第四王女 ルミナス・アモールと申します。」
そして次はアルフスが立ち。
「ご挨拶ありがとうございます。わたくしはアルプス王国第一王女 アルフス・アルプスと言います。好きな食べ物はカレー、ラーメン、うどん、たこ焼きです。よろしくお願いします」
とアルフスがユーモア溢れる挨拶をしたためルミナスが噴き出す。
「フフ」
とルミナスが笑い、アルフスは恥ずかしくなり顔を赤くする。
そしてサテルスはこの状況を微笑ましく思った。早速ルミナスが話を変える。
「急に話を変えてごめんなさい、」
「ルミナス。敬語使わなくていいよ?私たち友達になるんだもん」
その時ルミナスの心にかかっていたモヤが一瞬で晴れた気がした。
「そ、そうね」
と彼女は前置きし
「それじゃあ敬語なしで話させてもらうわ」
「喜んで」
とアルフスは笑う。
「私最近調べている人物がいるんだけど.......」
そう言い、ルミナスは自分のポーチから何かの紙を取り出す。
そこにはアルフスに取って驚くべき内容が書かれていた。紙の内容は
『WANTED 黒の奇術師 賞金7000万ゼニ (生死問わず)』
と書かれてあるポスターだった。そして黒の奇術師の似顔絵らしきものがあるが仮面でその顔は確認しづらく、全体的にわかりずらい似顔絵だったがアルフスとサテルスに二人は絵ではなくその内容に驚いていた。
先日一緒に活動をしていたあの男が懸賞金を掛けられている犯罪者だったのだ。
アルフスとサテルスの二人は息を呑む。
しかし彼女達は本当に彼が犯罪者なのか確かめなければならなかった。なのでサテルスは会話に入る。
「つまり、あなたはその人物の賞金を狙ってこの街にやってきたと言う事ですか?」
「それは違う。私はこの人に恩がある、と思うの。あ、まず経緯を教えます」
そしてルミナスは黒の奇術師と自分の関係について語った。
自分が誘拐されたこと、その自分を助けてくれたこと、このポスターはフソーラ王国が発行していること。
そして全てを話し終えアルフスとサテルスは目を合わせる。そして頷く。
彼女達も自分たちと黒の奇術師の接点について話した。
彼が絡まれているのを助けたこと、魔女の塔を一緒に攻略したこと、そして中々の好青年だったこと。
そして全てを話し終えた後にルミナスは口を開く。
「つまりまだこの街に黒の奇術師が止まっている確率は高い、と」
「そうですね。私たちが最後に黒の奇術師さんをお見かけしたのは別れた昨日でした。なのでまだこの街もしくは周辺にいると思うの。サテルスはどう?」
「私はそれよりあの者がそれほどの実力を持っているのが驚きです。なぜ彼は私たちに実力を隠し行動を共にしたのか。その理由は明白ですよアルフス様」
「え!そうなの?」
アルフスは目を丸くし驚く。
「そうです。つまり彼の今回の狙いはアルフス様と接近しアルフス様がどのような人物なのか確かめようとした、と想像できます」
「確かに」
冷静そうにルミナスは頷く。アルフスだけがオドオドとしていた。
「なので彼にはまだこの街にやるべきことがあると見ます。なので私も彼がまだこの街に留まっている可能性が高いと思います」
サテルスが自分の仮説を話し終える。
「そ、そうよね!」
アルフスは話に途中からついて行けていなかったが力強く頷いた。そして彼女達は明日も会う約束を取り付けた。
だがその約束が果たされる事はなかった。
因習が始まる.........




