出会いは大胆に別れは切なく
最近主演のチーズケーキの出番が少なくなっている........
サテルスが魔物を切り刻む。僕も魔物を斬る。
だけどサテルスの方が切り刻む魔物の数が多い。さすが剣聖。その銀髪が神聖感を際立てる。
手を抜いているとは言え僕より多く魔物を倒している所は正に称賛に値すると言っても過言ではないだろう。
うん、なんか上から目線の評価だけど僕の方が強い方いいでしょ。そして僕たちは魔物の群れを壊滅される。
それをアルフスはただただ見ていた。
「二人ともすごい!!」
アルフスが黄色い髪を揺らしながら僕らに近寄り拍手をする。
「お褒めの言葉ありがとうございます」
とサテルスがお辞儀をしながら言う。アルフスは言葉を続ける。
「クロさんもお強いんですね!」
「ええぇ、まあ」
「そうですか?彼、私に遅れをとっていましたが」
「ちょっとサテルス、そんなこと言わないの!あなたは剣聖でしょ?強いのは当たり前じゃない!」
「失礼いたしました」
サテルスはアルフスの言うことは聞くんだな、と僕は思う。
「サテルス、そろそろ次の階に行かない?」
ん?
「そうですねアルフス様」
「次の階?」
僕は最後を疑問形で締め括ることで分からないことを強調する。
「まさか階層のことも知らないんですか?」
サテルスさんが僕を呆れた目で見てくる。
いや、この街には来たばかりだから知らなくて当然でしょ!
と僕は心の中だけで反論する。アルフスさんが説明をしてくれる。ありがたい。
「魔女の塔内部には階層があって上に行けば行くほど魔物達の強さは上がり下に行けば行くほど魔物の弱さは下がっていくらしいです」
「ふーん」
と僕は少し疑問に思うことを聞く。
「そもそも魔女の塔内部の情報は喋れないはずなのに何でそんなに魔女の塔内部の情報が外に漏れてるの?」
「それは詳しくはわかりません。これは魔女の塔の運営委員会からの情報です。しかしその運営委員会の方達がどのようにして情報を得ているのかは分かりません」
「なるほど、その情報が正確かは分からないのか」
「その通りです。なので私たちも良いペースで攻略を出来ていますが、ここからも最新の注意を払いましょう」
「そうですね、アルフス様」
サテルスもアルフスの言葉に同意する。そして僕たちは一階層の中央ぐらいの場所にある階段を上がり二階層に到着した。
そこは一面中の海だった。
やはり、森の次は海。テンプレ通りだ。僕はウンウンと頷く。
「それにしても困りましたね。私たちは海用の道具を持ってきておりません。それにこの階の攻略とてつもない時間をかけると思います」
「そうね........サテルス、短くてもどのくらいかかると思う?」
「そうですね.......二ヶ月ほどはかかると思います」
僕はその予想に驚き異論を唱える。
「浮遊魔法で飛んでいったら?」
「浮遊魔法?クロさんそんな魔法あるの?」
へ?アルフスさんは僕に聞く。
「浮遊魔法、それは伝説の魔法ですよ?今では使い手がいません。寝ぼけているのですか?それともそんな魔法があなたに使えるのですか?」
え、みんな使えないの!?
僕は驚くがその表情は仮面により隠された。そして僕は少し考えいう。
「いや、冗談だよ」
僕はそう言う。黒の奇術師の時なら別に浮遊魔法を使ってもいい。だけど僕は使わないことを選んだ。
どこで僕の正体がバレるか分からない以上、この二人とはそんなに長い間いたくないからだ。
僕の計画だと今日中にこの二人とは別れる計画だ。
「そう.......」
とアルフスさんは残念そうに言うが僕は考えを変えない。
なぜなら僕が彼女達にそれほどしてやる義理はないからである。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕たちは今回の攻略をここまでにする事にし、塔から出る事にした。
僕たちは歩きながらお金の分配について話し合う。
「クロの功績からして分前は私たちが9、クロが1ですかね?」
サテルスが言う。
「あれ、思ったより評価されてない?」
僕は少し驚く。
「サテルスそんなこと言わないの。クロさんの頑張りは結構大きいから分け前は7:3だと思うの」
うん、それでも結構低い。だけど実際そんなもんかもしれない。僕はその分配で納得する。お金は欲しいが。
「それにしても二階層が全て海だったなんて」
と僕。
「そうね、それは驚きだったわ」
とアルフス。
「クロの言葉ではなくアルフス様の言葉に同意です」
とサテルス。サテルスあのね、いちいちそう言うこと言わんで良いよ、とサテルスにこれも心の中だけでツッコミを入れる。
「サテルス、そこまで言わなくても良いんじゃない?」
アルフスがサテルスに突っ込む。いいぞアルフス!
だけどサテルスはポカンとした顔をしアルフスの方を見る。
「なぜですか?アルフス様?」
「なぜって......何でだろう?」
いや、もう少し頑張ってくれよと僕は思う。
「良いよアルフス僕の方を待たなくても。正直サテルスの僕に対する評価は正しいし」
僕は少し呆れアルフスに言う。
「あ、そう?」
と彼女はいう。そして魔女の塔の出口と思わしきものが見えてくる。
「今回はありがとうございました。それと入場料助かりました」
僕はこの二日間のお礼を述べる。
「いえいえ良いですよ。こちらも一緒に探索していただきありがとうざいました」
「また機会がありましたらお会いしましょう」
僕はアルフスに別れの言葉を言う。
そして彼女も別れの言葉を言う。その言葉は短かったが重みがあった。
「さよなら、紳士様」
そして僕たちは魔女の塔の出口を潜り抜けた。空は夕焼けで赤く染まっていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「不思議な人でしたね」
アルフスは謎の紳士と別れた後馬車の中でサテルスに言う。
「そうですね。素性のしれない怪しい男でした」
「サテルスはそう思ったの?」
「護衛として怪しいものから姫様を守り抜くのが仕事ですから」
「ふふ、そうね」
アルフスは彼女の言葉に頷く。アルフスは言葉を続ける。
「でも、悪い人だとは思わなかったな」
「まあ、それは同感です。怪しかったですが敵意は感じられませんでした。いや、そう言うよりも、」
「興味がない、ってところ?」
サテルスの言葉をアルフスが遮る。それはサテルスが続けようとした言葉と一緒だった。
「そうです。彼からは心からの感情が感じられませんでした。なので私にはあの者はより一層怪しく見えました」
「そうかもしれない。だけどやっぱり、いい人だったよね」
「そうですね」
サテルスは彼女の主の言葉に頷く。それは本心から来たものだった。
「それに結構強かったし」
サテルスは無言で頷く。そしてアルフスは言葉を続ける。
「また会ってみたいな。クロさんに」
頭に仮面をつけた一人の紳士が思い浮かぶ。
そしてその背中ははるかに遠く感じた。
もう永遠に会えないかのように。
そしてアルフスは目を瞑る。丸い丸い月を眺めながら。
思ったより早くルクス達が塔から出てしまったと思う方が大勢いると思いますが、ここからの展開が面白いので引き続きこの作品をお願いします。




