黒の奇術師ことクロさん
「んん〜」
と僕はベットの上で気持ちよく伸びをする。あ、そして気づく。
昨日寝るときは隣にいなかったバスローブ姿のディオを揺らす。
「ディオ、流石にそれは僕がヤバくなっちゃうから早くどいて」
「むにゃむにゃ」
と寝息を立てている。
チッ、と僕は心の中で舌打ちをする。
「はあー」
と僕はため息を吐きベッドから降りる。そしてめんどくさいから魔法で服を変える。
今日はタピオカを片手に街を少し見て回ろうと思う。僕は部屋を出る前に魔法でディオを浮かせる。
はぁー僕の部屋のベットに彼女がいたら、いらん誤解が広がりそうだから彼女の部屋まで運ぼうか。
自分の部屋で寝ろや。
僕は彼女を自分の部屋まで運ぶ。そして
「起きてるでしょディオ」
僕は彼女に声をかける。
「ば、バレてましたか」
「しかも最初からね」
僕は付け加える。
「下すよ」
僕は彼女を地面に下ろす。彼女は
「ありがとうございます」
とお礼を言う。
「じゃあ、僕は街ブラしてくるから」
と僕は彼女に声をかけう。
「では私は少しやる事と、お風呂に入らなければなりませんから、申し訳ありませんが付いてはいけません。ごめんなさい」
「うん、なんか僕が断られたみたいだけど、僕は今日は少し気になるところがあるから一人で行ってくる」
「わかりました!行ってらっしゃいませ」
「うん、行ってきます」
そして僕は廊下を歩き出す。ディオはお風呂の清掃道具を抱えていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕は現代日本で少し前に流行ったタピオカを片手に街ブラをする。だけど今回は表通りではなく裏通り。
押し売りが面倒だったからね。僕は仮面をつけ、タピオカを飲む。
そして絡まれる。
「おうおう兄ちゃんよ高そうな仮面をつかてるじゃねえか」
そうだろそうだろ、これはエナから貰ったものだけど僕の鑑定では100万ゼニはくだらないからね。
「それ、くれねえかな?」
男たちが僕に言う。僕は少し残念に思う。
「表通りは押し売り、裏路地は押しどり、めんどくさい街だな」
「な、なんだと兄ちゃんよ!?」
「殺されてえのか?」
随分な物言いですね。僕は少し面倒くさくなり、刀を魔法で取り出そうとする。
「お兄さんたち、やめなさい」
後ろから女性の声が聞こえる。僕はチラリと見る。それは豪華な服装をしたエルフの女の子だった。
服装から彼女は高貴な人間だろうか?
そんな人間がなぜ裏路地にいるのか?色々分からないが、まあ僕には関係のない事だからどうでもいい。
「おうおうなんなんだ?お嬢さんよ?」
「俺らが用があんのはそこの兄ちゃんなんだよ!」
その瞬間エルフの少女が小袋を地面に投げる。
「その中に100万ゼニ入っているわ。それを持って、もう行きなさい。」
「人を舐めるのもいい加減に、」
その瞬間チンピラの男の首に護衛の女の人が剣を突き立てる。なかなかの強さだ。
「聞こえなかったんですか?さっさと往ね」
「わ、わかりました!」
と言いチンピラの男三人衆はその場から去った。
僕は別に助けはいらなかったが一応助けてくれたのでお礼を言う。
「ありがとうございました」
「いえ、当たり前のことをしたまでです」
護衛さんが一歩前に出る。姫さんとは逆にこの護衛の人の視線は鋭い。
まあこんな怪しい仮面をつけている人物がいたら、まあ警戒するよね。
「それであなたは何者ですか?」
「ちょっとサテルス、失礼な事言わないの!」
「失礼しました、姫様」
護衛の彼女が謝罪をする。だけど謝罪の心がない。まあいいけど。
「では僕はこれで」
「待って、また絡まれたら大変でしょ?送っってあげますよ」
「あ、いえ僕は、」
その時サテルスさんの剣が僕の首に突き立てる。
「姫様のご厚意、素直にお受けしろ」
「はい」
僕は連行された。僕は馬車に乗る。彼女は僕の目の前の席に座る。彼女の隣にはサテルスさんが。
僕を監視しているのだろう。僕はまず気になることを聞く。
「失礼ですが、貴方のお名前は?」
「あ、私は.......」
その時サテルスさんが言う。
「このお方はエルフの王国、アルプス王国の、王位継承権第一位保持者アルフス様です」
なるほど、知らん。
そもそも僕はまだ人間の国から出たことがない。今度の休みに行くのもありかもな、とか考える。
「それで貴方は?」
アルフスさんが僕に聞く。僕は少し考える。
「生憎、名乗れるような名前は持ち合わせておりませんが、そうですね、黒の奇術師とでも名乗っておきましょうか」
「黒の奇術師さん........クロさんですね!」
うん、なんか犬の名前みたいだけどまあいいか。毎回、黒の奇術師と呼ばれるのは気が引けるしね。
それと護衛の人が僕を見る目が更に鋭くなった。まあ名乗れる名前を持っていないとか怪しすぎるか。
「それで、クロさんはどこに行くんですか?」
「それは、もちろん魔女の塔です」
その時サテルスさんの雰囲気が変わる。更に険しくなった。
「つまり、魔女の試練に参加なされるんですか?」
「もちろんです」
魔女の試練とは魔女の塔内部で行われている魔女が開催する試練のことだ。
魔女の塔内は外の世界とは違う世界が広がっておりそこには色々な種類の魔物が生息しているらしい。らしい。
そしてその魔物たちを倒すと強さに応じて金品や、魔道具が塔を退出するときに自動的に手元に出るらしい。
なのでこの街には一攫千金を目指したくさんの人間が集まる。
簡単に言うとダンジョンみたいな場所だ。
だけど塔の内部の情報や金品に関してはこの世に知らされていない。
塔に入る時に魔女に誓う誓約書に書かれている条件で塔に関しての情報は一部以外は全て喋れないらしい。
だから魔女の塔は謎に包まれている。なので僕は魔女の塔について気になるから今回魔女の試練に参加することに決めたのだ。
それと普通にお金が欲しい。
「でも、危なくありませんか?」
アルフスさんが口を開く。
「魔女の試練は圧倒的に入場した人より退出する人の方が圧倒的に少ないと聞きます。それはつまり........たくさんの死亡者や行方不明者が続出していると言うことですよ。それでも試練を受けるのですか?」
「もちろんです」
それと僕は気になることがある。
「アルフスさん、なぜ君は先ほど出会ったばかりの僕の身をそんなに心配するのですか?」
なぜなのだろう?
僕は素直に疑問に思った。
「なぜ、そんなこと聞くんですか?一度関わった相手の心配をするのは当たり前じゃないですか!」
僕は少し圧倒される。そして言葉続ける。
「ご心配をしていただき、ありがとうございます。ですが僕は今日、絶対に魔女の試練に参加するので」
「そんな命を無駄にするような行為!」
彼女は声を上げる。それを護衛のサテルスさんが制止する。
「姫様、自分の実力もわからず試練に挑むバカの身を案じるのは結構ですが、あまり深い入りをされませんように」
「あ、サテルス........」
実力をわかってないバカは余計だけどこれでやっと別れられそうだ。それとこのお嬢様、何か訳ありそうだ。
その後僕はその後魔女の塔の近くまで送ってもらった。
「じゃあ僕はこれで」
僕は馬車を降りる。
「あ、クロさん!気をつけてください!」
彼女は馬車から体を乗り出し、手を振る、僕はその手に答えるように手を振った。
だけど彼女の方には振り向かなかった。




