鬼人の嘆き
タイトルが最近どんどん短くなっていっている.........
廊下を歩くもう一つの足音はルミナスたちがいる牢屋の目の前で止まった。
それはルミナスも一度は見た事のある顔だった。しかしその直後ルミナスは眠る。
何が起きたか分からなかったが彼女は眠った。薄れゆく意識の中彼女は謝る。
「ねえさま、ごめんなさい.........」
何も分からなかった。しかし一つだけわかっていたことがあった。
全て黒幕の想定通りだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
剣と刀がぶつかり合い、甲高い金属音がこの地下通路を響き渡る。
そのぶつかり合いに一番驚いていたのは当事者でもあるユーゴレスだった。
こいつなんて野郎だ。一瞬でも気を抜くと死んじまう!
彼はそのことを本能で感じ取っていた。
しかし徐々に徐々に押されていく。
彼は形勢を変える為に魔法を使いたいがそれは不可能である。今この瞬間魔法を使えば彼は巻き添いを喰らってしまうからだ。それほど彼らは至近距離で戦い続けていた。
しかし事実を言うとユーゴレスは善戦していた。
技量は互角では無いものの、鬼人の体格で彼より力は勝っているように見える。素人から見れば、まさに互角というに相応しい戦いだろう。
しかし力が同等では無いことはユーゴレスが一番わかっていた。相手は手を抜いている。それはユーゴレスが一番わかっていた。しかし彼は戦い続けなければならない。
それが、それだけが彼が地獄のどん底から救い出してくれた主の為なのだ。
そしてユーゴレスは力を振り絞る。
そして渾身の一撃。
それが目の前の敵に入ったのだ。それも割といい所に。彼は吹き飛ぶ。
しかしすぐに体勢を整えて着地しユーゴレスにカウンターを仕掛ける。
「グハッ!」
ユーゴレスは勢いよく壁に激突する。口から血を吐き地面に膝から倒れ込む。
「お、お前、な、何者だ.........」
ユーゴレスは今にでも消えてしまいそうな声で、再三目の前にいる彼、いやバケモノにそう問いかける。
しかし問いには答えず彼は言う。
「もう終わりなのか?」
そう言われた瞬間ユーゴレスは立ち上がる。たとえ実力が劣っていても、惨めでも、醜くても立ち上がる。
しかしユーゴレスが使う大太刀を彼は刀で軽く受け止める。そして驚くべきことはそれに魔力は使われていなかった。ユーゴレスは言う。
「貴様、なぜ魔力を使わない!」
その声には少しの苛立ちの怒りが混じっていた。しかし彼はユーゴレスの感情などどでもよく、言う。
「お前たちは魔力に依存しすぎている。攻撃するのも躱わすのも、そして相手を認識するのも。」
その瞬間彼の姿が消えた。ユーゴレスは周りの魔力を探すが近くに彼はいない、そう認識した。だがそれは間違いだった。ユーゴレスの背中が彼に斬り捨てられる。
「今もそうだ。お前は僕の姿を探すのに魔力を探った。しかし今は僕は魔力など使っていない。お前たちの弱点は長所でもある魔力だ!」
彼は一撃二撃と攻撃を入れる。ユーゴレスはたまらず後退する。そして彼は呆れた顔をする。
「はぁ、お前はもういい。楽しくなくなった」
そして彼はユーゴレスの脳天をかち割るために剣を振りかぶる。
そしてその瞬間ユーゴレスは自分の命を諦める決断をする。
絶対にこいつを殺す。
彼はただそれだけの為にこの力を使う。ユーゴレスは魔力を高める。
そしてある術を発動させる。
「魔女召喚」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「成功したか」
「はい。見事に爆発しました」
闇の中に蠢く影が二つ。今回の陽動作戦の決行者である。彼らは嬉々として爆発の様子を見る。
「では次のところはどこにする?」
「そうですね、いっそのこと学園をボン!と一発やっちゃいませんか?」
「おお、そうしよう」
と彼が指を鳴らそうとし腕をあげる。腕はなかった。切られたと思わしき傷だけが彼の右腕に残る。
「は?」
目の前の仲間を見る。仲間は首がない。そして仲間の首にも切り傷だけが残っている。
「へ?」
「なるほど次の場所が学園とな、ワシらも舐められたものじゃな」
そこには白いスーツを着こなした老人が立っていた。
しかしただの老人ではないことは彼の目の前にいる時点でわかる。
そした彼の右腕の痛みが今になって込み上げる。
「グオオオオッ!」
「フォッフォッフォッ、痛いじゃろ痛いじゃろ。」
彼は治癒魔法で自分の右腕を応急措置しながら目の前の老人に悪態をつく。彼は命知らずだった。
「くそ、何しやがるんだじじ、」
バン!と音をたて彼の頭は吹き飛ぶ。これが命取りだった。
「口に気を付けろや。若造が」
と彼は言い、目の前の死体から奪った、地図を広げる。それには陽動部隊の居場所がハッキリと写っていた。
「なるほどなるほどこういう作戦だったのか」
彼はもう先ほどの怒りなど忘れ四柱の命令を果たそうとしている。そして彼の周りに一般構成員が集まってくる。
彼女ら彼らは皆の主と同じ仮面、を額、顔の上半分につけている。
「イケさん、どうですか?」
それと彼は部下からもあだ名で呼ばれている。彼のフルネームを知っているものは数少ないだろう。
「そうじゃな、ワシが指示を出すからその通りに動くと良いぞ。」
「わかりました。」
そして部下たちが何かを言いたそうにしている。それをイケさんは知っていた。
「この魔力じゃな。」
「そ、そうです。この魔力は、主様がいる方から」
「それは十分ワシもわかっておる。だが、我らが主は最強だから大丈夫じゃ」
「ですがこれほどの魔力、もしかしたら魔女でしょうか?」
「魔女か........」
「それにもしその魔女が二つ名持ちだったら。」
「一応四柱の皆様方に報告しますか?」
「だが四柱の皆様は今国外にいる。これで報告すると邪魔になってしまうかもしれないな。まあ今回は報告しなくていいわい。」
「わかりました。では作戦を予定通り実行します。」
「よろしく頼むのじゃ」
「ハッ!」
彼らは去っていく。
「それともう一つ、懸念があるのですが.........」
一人の構成員が去る間際に聞く。
「あの仮説は?」
「ああ、正しいそうじゃよ」
「だから奴が動いたと言うことですか?」
「そうじゃ。ルミナス王女や他の生徒たちも、もう運ばれておる。」
「そうですか。それなら主様は急がなくてはなりませんね。」
「そうじゃな。もう実験に使われておるかもしれんし。」




